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[MOM1029]矢板中央DF星キョーワァン(2年)_サッカー歴5年目で名門の守備の柱に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.10 関東大会栃木県予選準決勝 宇都宮高 0-2 矢板中央高 壬生町総合公園陸上競技場]

 本格的にサッカーを始めてまだ5年目という逸材CBが、栃木の名門・矢板中央高に堅守をもたらしている。185cmクラスの長身に加え、高校進学後に先輩アタッカーたちとの練習で学んだというタイミングのいい跳躍、そしてスライディングでのボール奪取も得意というコンゴ系DF星キョーワァン(2年)はこの日、南河内二中時代の先輩で国体栃木県選抜で10番をつけていたFW鯉沼優太とマッチアップ。最初の空中戦で鯉沼に頭で後方へそらされたが、その後は持ち味を発揮して相手に決定的な仕事をさせない。川上優樹との2年生CBコンビは互いに気合が入り過ぎていたということで不用意に食いついて剥がされてしまうシーンもあったが、「一発目で負けてそこから火がついて、ヘディングのタイミングとか合ってきて勝ててきた。自分の持ち味を出せたので良かったと思います。鯉沼先輩は中学校で良くしてくれた先輩。(その先輩との対戦で)気持ち昂ぶっていて、激しく、厳しくできたことは良かった」と先輩を封じての勝利を喜んだ。

 高橋健二監督が「高さはもちろん、リーダーシップがいい。次期キャプテン候補ですよ」と目を細める星。最終ラインから常に声をチームメートに届かせ、自らはピンチの芽をすばやく見つけてはコンタクトの強さと鋭い出足を活かして潰していく。昨年は膝、足首の負傷によって半年ほどプレーすることができなかったが、2年生になって自らに自信を持ち、ピッチで存在感を放ち始めている。今年は同じく2年生でコンビを組む川上や「幼馴染なんで、アイツが頑張っていると自分も刺激になって、自分ももっとやってやろうと思う」という大型FW森本ヒマン(2年)らとともにチームを全国上位へ導くつもりだ。

 視察した関係者が「もっと体が強くなれば、プロから声がかかってもおかしくない」と称賛していた才能。それもサッカーを始めてまだ5年目に入ったばかりというから驚きだ。本人は「小学校の時はずっとカードゲームとかしていて、サッカーは放課後遊ぶ程度。本格的にサッカーをはじめたのは中学校からです」と笑うが、南河内二中3年時には春夏とも栃木県大会を制して「まさか矢板中央に入ることができるとは思っていなかった」という憧れの名門でサッカーをするチャンスを得た。まだまだ経験が浅く、雑なプレーもあるだけに改善していかなければならないが、注目の素材は2年生にして早くも守備の軸になりつつある。

「Jリーグで好きな選手はFC東京の森重選手で、世界だとダビド・ルイスとかチアゴ・シルバとか激しいプレーするので好きですね」。まだサッカーを本格的に始めてわずかなだけに世界やJリーグでプレーする自分を想像するよりも「高校年代でまず結果を残したい。高校で頑張っていって次のことを考えていきたい」と目の前のことに意識を傾けている。まずは主力として戦う今大会で優勝して自信をつけること。11日は、新人戦決勝で3ゴールを奪われている佐野日大高との再戦。「あした、日大戦で櫻田(亮太)さんという10番のデカいFWがいるので、自分の持ち味である高さで競り勝って、激しいプレーしてチームに貢献できるようにしたい」。雪辱してチームにまず1冠をもたらす。  
(取材・文 吉田太郎)

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