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[MOM1033]静岡学園MF白川大吾廊(1年)_名門に現れた“変態ドリブラー”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.18 2014 Rookie League Aグループ第2節 市立船橋高 2-3 静岡学園高 裾野G]

 決定的なシーンを再三つくりながらシュートを決められなかっただけに、試合後本人は不満げだった。ただ、静岡学園高のスタッフたちが“変態ドリブラー”と評すのも十分に理解できるほどのプレーの連続。MF白川大吾廊(1年)が明らかに資質なドリブルテクニックで会場を沸かせた。

 取られない技術はすでに一級品だ。「相手を動かして、相手のいないところへ行くようにしている」。上体の細かい動きで相手を揺さぶりつつ、懐に置いたボールを絶対に離さない。相手が足を出せば簡単に逆側へボールを運びつつ、チャージされても受け流してスルスルと前へ出てしまう。すべてが局面の打開につながった訳ではなく、DFに囲まれてボールを奪われたシーンもあった。それでも仕掛けた回数、「抜いた」回数はダントツ。何度も何度も仕掛け続けた白川に対し、市立船橋も複数で上手くコースを切るなど対応していたが、白川は後半19分、右中間の仕掛けでDF数人を引き付けて逆サイドでフリーのMF稲葉将彰へラストパスを通す。これを稲葉が決めて決勝点をアシストした。

「きょうは結構できた。市船相手にできたのは自信になる」という白川について、齊藤興龍コーチは「(決勝アシストのように)ああいうところで出すこともできる。意外と判断もいいんです」と分析もする。突破力は「技巧派軍団」静岡学園の新入生の中でも随一。ドリブル一辺倒になりがちなところだが、彼はタイミング良くボールを離すセンスも持ち合わせているだけに周囲の期待も高まっている。

 白川は愛知県のKARIYA 81FCという街クラブ出身。幼稚園の時からドリブルを徹底的に磨き、同時にフットサルのトレーニングにも通って技術を高めてきた。ブリンカールFC U-15の一員として1月の全日本ユース(U-15)フットサル大会4強。また昨年、「シネマキャラバン×天下一武道会in名古屋」という3on3の大会に出場し、中学生ながら大人のチームを破って優勝したという経歴も持つ。本人は「(KARIYA 81FCには)自分よりもうまいヤツがいた」というが、名門校で見せる抜群のスキルによって注目されつつある。

 相手の守備が厳しくなり、よりフィジカル面も求められるトップチームでどれだけできるかは未知数だが、今年のうちにインパクトを残す可能性も十分。「(トップチームは)球際とか強いし、まだ体格とかスピードに慣れていない。(その中でも)仕掛けもできるし、1人で点も取れる。もっと相手が怖がるような選手になりたい」というMFはより得点力を磨いてチャンスを待つ。

(取材・文 吉田太郎)
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