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[女子アジア杯]CKから2得点。なでしこのひらめきが生んだ劇的勝利

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[5.22 女子アジア杯準決勝 日本2-1中国]

 気温30度超の中での120分間に及ぶ死闘、そのラストプレーだった。MF宮間あやの左CKがきれいな放物線を描きながらファーサイドに向かう。飛び込んだのはDF岩清水梓。最後の力を振り絞ったジャンプで頭を合せると、ボールはゴール右隅に気持ち良く吸い込まれた。劇的な決勝ゴールだった。

 宮間がボールをセットする直前の動きに、ゴールを呼び込むひらめきがあった。吉良知夏が岩清水に耳打ちした。「私がニアでつぶれるので、イワシさんはファーに行ってください」。とっさのポジション交換が功を奏しての決勝点だった。

 殊勲の岩清水は、「自分も皆もきつかったけど、PK戦にはしたくなかった。蹴りをつけたいと思っていたのでうれしい」と笑顔を浮かべた。

 試合終了の笛が鳴った瞬間、岩清水に泣きじゃくりながら抱きついたのはMF中島依美だ。1-0とリードしていた後半35分、相手にPKを与えるハンドの反則をしていた中島は、「うれしすぎて飛びついてしまった。自分のプレーで延長まで行ってしまったので…」と仲間に感謝した。

 決勝点がセットプレーからなら、後半6分の先制点も宮間の左CKからのゴールだった。MF澤穂希がニアに飛び込む形は、11年女子W杯決勝の米国戦で決めたシーンを彷彿させるもの。ゴール直後に両ひじを胸の前で折り曲げるガッツポーズもW杯と同じだった。

「相手のマークが厳しかったけど、イワシがブロックしてくれて前が空いた。あやもそこにしっかりボールを蹴ってくれた。あやのボールはいつも正確。こっちとしては飛び込んで当てるだけだった」(澤)

 CKからの2得点について聞かれた佐々木監督は「指示はしていない。彼女たちのアイデアと宮間の精度の高いキックがあっての得点。こういう試合はやはりセットプレーが勝負になるのかなと思った」と、選手を称える。

 若いメンバーが多く入った今大会のなでしこジャパン。決勝に駒を進める力となったのは新旧選手たちのチームワークと勝負勘だった。

(取材・文 矢内由美子)

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