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「adidas UEFA Young Champions 2014世界大会」3位の中学生選手たちに宮本恒靖“監督”がアドバイス

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 「adidas UEFA Young Champions 2014世界大会」で中学生6人による“日本代表”の指揮を執った元日本代表DF宮本恒靖監督は、3位に終わった大会後、選手たちに「悔しさ感じていることがあると思う。自分も初めて外国人と戦った時は難しさがあったし、みんなも難しかったと思う。(その中で)何が通用したのか、何ができなかったのか、それは忘れへんようにしよう」と言葉をかけた。

 本来彼らがプレーする11人制ではなく、5対5のミニゲーム形式で相手の頭上を越えるループパス禁止など制約もある中での3試合。それでも強豪・コリンチャンスの6人で臨んできたブラジルや、地元の名門・ベンフィカのメンバーで戦ったポルトガル、そして勢いのある攻守が印象的だったアメリカとポルトガルの地で戦った経験は間違いなく貴重なものになる。ただ、大事なことはこの“特別な経験”をした彼らが、良かったこと、悪かったことも忘れずに今後どう活かすか。W杯に2度出場し、日本代表主将も務めた宮本氏は現役引退した今でも覚えているシーンが数多くあるという。「ごまかしながらプレーしているとそれが出てしまう。何でドリブルやパスが引っ掛かってしまったのか考えてほしいし、そのシチュエーションを覚えておいてほしい」。体感するだけでなく、頭で考えて、インプットして同じシチュエーションが来たときに次はよりよいプレーをする。今回世界に挑戦した彼らはもちろん、他の選手たちも普段から頭を使って考えて、突き詰めてほしいという想いがある。

 大会終了後にはルイス・フィーゴやマヌエル・ルイ・コスタ、ファビオ・カンナバーロらかつてのスター選手たちが同じピッチで「Ultimate Champions Match」を行った。「彼らが何を考えながら、どこを見てプレーしているのかというところを見てほしい」と宮本氏。「adidas UEFA Young Champions 2014世界大会」では常に同じようなテンポで、どこかバタバタしてしまっていた日本に対し、「サッカーを知っていると思った」(宮本氏)というブラジルやポルトガルの選手はどこで落ち着かせて、どこでパワーを使うのか、理解している印象だった。ポルトガルを撃破するなど、優勝するだけの実力を十分に示した日本は他国の関係者から讃えられ、選手の進路について聞かれたスタッフもいたという。ただ、学ぶべきことはまだまだたくさんある。24日には「UEFA チャンピオンズリーグ(CL)2014」決勝観戦予定となっているが、目の前で繰り広げられる欧州クラブナンバー1決定戦という素晴らしい“教材”からも中学生選手たちは感じたことを持ち帰る。

 それぞれに課題と収穫があった国際舞台。「(過去に体験した海外遠征で)外国の選手たちがガツガツくることは予想できていた。ディフェンスするときに半身の状態で追い込むことはできた」という天野悠貴(FC東京U-15むさし)は「ディフェンスをどう工夫してやるか、今後はもっと出していきたい」と語り、水野裕太(駒沢サッカークラブ)は「ディフェンスで頑張ったけれど、もっとシュートを打てばよかった。これからは日々の練習から気を抜かないこと。世界行った人と見られるだろうし、あの程度とか言われるのは悔しいのでレベルアップしたい」。国内3か所で開催された「日本代表選抜大会」でいずれも元日本代表選手の宮本氏や小倉隆史氏、名波浩氏からプレーを評価されて世界切符を掴んだ選手たち。ポルトガル入り後、日に日に他国選手たちとコミュニケーションが向上するなど、目に見える変化もあった。帰国後、どんな形であれ、世界で学んだことをそれぞれの舞台で表現する。 

(取材・文 吉田太郎)

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