beacon

[MOM1036]東海学園MF渡辺柊斗(3年)_期待のレフティーが最終学年迎え変化

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.24 全国高校総体愛知県予選決勝L第1節 東海学園高 4-2 中京大中京高 名古屋市港]

 高校生活の最終学年を迎え、眠っていた才能が開花しつつある。「左利きならではのアイディアを持っていたり、人が持っていないセンスを持っている」と東海学園高・鶴田道弘監督がその能力の高さを認め、10番を与えるMF渡辺柊斗だ。前半は、右サイドでボールを持つと柔らかいタッチと小回りの効いたドリブル突破で相手陣内へと進入するも、PAで奪われ、シュートにまで結びつけず。中盤でもボールロスが目立ち、「何も出来ずに終わった」という本人だけでなく、鶴田監督も「奪われ過ぎていた」と振り返ったように、合格点を与えられる内容ではなかった。

 しかし、ハーフタイムに指揮官から激を飛ばされ一変。後半からはチームが持ち味を取り戻したのに合わせて、彼自身の持ち味も最大限に発揮し始めた。後半2分には「ヘディングした子(神谷凱士)が一番競れる子。GK前に入るという合図が合ったので、狙って蹴ったらイメージ通りだった」とピンポイントのFKをゴール前に入れて、ヘディングシュートをお膳立てすると、続く4分にも同じ位置からのFKを直接狙い、あわやというシーンを作った。「決められなかったのは悔しい」と話したものの、16分にも右CKからオウンゴールを誘い、流れを手繰り寄せると、セットプレーだけでなく、キープからのパスで周囲の突破を引き出すなど、攻撃陣を牽引し、勝利を手繰り寄せる要因となった。

 能力の高さはこれまでも評価されていたが、「チームスポーツなのに、自分がやらなければならない事よりも、自分のやりたいプレーを優勢して、状況判断が悪かった。凄いプレーもするし、凄いミスもするしという状態が続いていた」(鶴田監督)と定位置は奪えず。昨年の高校選手権でも同い年の森山巽貴らが主力としてプレーした一方、渡辺は途中出場で29分間のみの出場で終わった。

 だが、最終学年を迎えた今年は「だいぶプレーの整理が出来て、自分の役割を出来るようになってきた。学年が上がって、サッカーへの取り組み方も変わり、プレーも変わってきた」と指揮官が認めたように少しずつチームプレーをこなせるようになってきた。本人も「自分の中で、学年事の課題を決めていて、一年生の頃は自分のドリブルやキラーパスがどこまで通用するかチャレンジしたかった。自陣でボールを奪われる事も多く、先輩に怒られもしたけど、曲げたくなかったので、言い返したりもしていた。でも、高校最後の年になったので、自分が一番、仕事をしなきゃならない。これまでは自分で仕掛けるのが楽しかったけど、周りを使うのも楽しくなってきた」と変化を口にする。

 彼の変化は「チームのためにどのプレーを選択すれば良いのか分かるようになってきたと思う。僕たちFWは助かっている」と森山が話すように、チームにも還元されている。目標はプロ入り。「2年で試合に出られないとダメだと思っていた」と話すように、彼の描いたストーリーからは少し遅れている。描いた将来像に追いつくためにも、チームを全国の舞台に導くのは必須条件。残り2戦も勝利を目指し、チームのためにその左足を振り抜く。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2014

TOP