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酒井高徳直撃インタビュー「W杯はテレビで見るものだと思っていた」

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 南アフリカW杯ではサポートメンバーとして日本代表に帯同したDF酒井高徳(シュツットガルト)は、ドイツ移籍、ロンドン五輪出場を経験して確かな成長を遂げ、ブラジルW杯メンバー入りを果たした。子供の頃、W杯に出場する選手になれるとは思っていなかったという酒井。現実的な目標を一つひとつクリアすることで夢の舞台へと辿り着いた。両サイドを高次元でこなすユーティリティープレイヤーは、ゲキサカのインタビューに応じ、初のW杯で自分らしさを貫き、日本のために戦うことを誓った。

―代表発表は知り合いから聞いたようですね。実際に名前を呼ばれた瞬間の気持ちはいかがでしたか?
「家の電波が悪くてテレビが映らなかったので、知り合いからの電話を通じてメンバー発表を聞いていました。テレビのボリュームを大きくしてもらって、電話越しにザックさんの声を聞いたんです。呼ばれた瞬間はいろいろな気持ちがありましたが、とにかくホッとしましたね」

―日本代表にはコンスタントに招集されていましたが、不安もありましたか?
「Jリーグで活躍している選手の情報が入ってくる中で、自分自身のパフォーマンスがなかなか上がらず、チームも残留争いに巻き込まれる非常に苦しいシーズンを過ごしていたので、不安はありました。『コンディション面を不安視されるかも』と、自分の中で感じていた部分もあります。だから、メンバー発表のことはあまり考えずに、自分のプレーをしっかりすることだけを考えて、その日を待とうという気持ちが強かったですね。やれることはやってきたので、どんな結果になろうと悔いはなかったと思います。でも、メンバー発表のときはやっぱり緊張したし、選ばれて本当にホッとしたのが一番の気持ちです」

―ザッケローニ監督にどういう部分を評価されたと思いますか?
「いろいろな選考基準はあったと思いますが、一番はユーティリティー性だと感じています。ザッケローニ監督が『複数のポジションができる選手を大事にしたい』と言っていたので、左右でプレーできる点は有利だったと思います。監督は日本のスタイルは攻撃的なところだと言っていました。僕は守備はまだまだだと感じていますが、攻撃の部分では自信を持ってやれていますし、その攻撃的な部分を日本代表でも出せてきていると思うので、そこを評価してくれたのかなと感じています」

―4年前の南アフリカW杯のときにはサポートメンバーとして日本代表に帯同しました。
「スタンドから試合を見る形でしたが、フル代表のメンバーと練習して、プレーの質を肌で感じ、大会の雰囲気を味わうことで選手として大きく成長できたと思っています。特に世界を相手に戦いに行く姿勢、日本を背負って戦う責任感が伝わってきて、メンタルの部分はすごく勉強になりましたし、大会中のチーム内の雰囲気は本当に大事だと感じました。前回大会を肌で感じられたので、どういう雰囲気をつくらないといけないのか分かっていますし、試合に対する準備や姿勢もイメージできています。4年前の経験は自分の自信にもつながっています」

―南アフリカW杯後の4年間でロンドン五輪出場、海外移籍を経験しましたが、自分が一番成長できたと感じる部分はどこですか?
「ロンドン五輪やシュツットガルトへの移籍はいい経験になりましたが、いろいろ考えるのではなく、ガムシャラにやって這い上がってきた印象です。一番成長した部分を言葉で表すのは難しいですが、試合で出た課題に集中して取り組むことや、逆にできたと感じた部分を突き詰めていくという細かい部分を意識してやってきたのは良かったと思います。ロンドン五輪のアジア予選ではベンチ外になったこともありますし、本大会でも出場できない試合もありました。シュツットガルトでも試合に出られない時期があって悔しい思いもしましたが、『何をしたらいいのか』『どういうことを心掛ければいいのか』を日々考えて自分を奮い立たせ、次のステップに上がるための気持ちを常に持ち続けてやってきました。1試合1試合を積み上げてきた経験が大事だったと思います」

―試合に出場できない状況で、どういう気持ちでいることが大事だと感じましたか?
「試合に出られなかったときに『何で試合に出られないんだ』という感情を持つのではなく、『何が良くないのか』『どうやって自分の強みを出していくのか』を練習から考えて、試合に出たときには『こういうプレーをしたい』とイメージしながらやってきました。今季は先発を外れた試合もありましたが、最終的にはスタメンに復帰して試合に出続けることができました。苦境に立たされたときに、自分をどこまで奮い立たせることができるか。それが大事だと思いますし、W杯はチームが一丸となって戦わないといけません。みんなが試合に出たい中で、先発11人と交代出場の選手しかピッチには立てませんが、試合に出場できない選手の雰囲気がいかに大事かは南アフリカW杯やロンドン五輪でも感じたので、仮にそういう立場になってもチームを助けたいと思っています。ただ、選手として一番望んでいるのはプレーでチームに貢献することなので、ピッチに立つことを一番の目標としてやっていきたいと思います」

―子供の頃、W杯に出場する選手になるイメージはありましたか?
「小学5年生からサッカーを始めたのですが、僕はちょっと足が速いくらいの選手だったので、日本代表、ましてやW杯に出場できる選手になれるとは思っていませんでした。日本代表の試合やW杯はテレビで見るものだと思っていて、違う世界というか、ここでプレーできる選手には絶対になれないんだろうなと感じていたんです」

―いつからW杯が現実的な目標になったのでしょう。
「年代別代表に呼ばれるようになって日本代表に対する思いは強くなっていきましたが、プロになっても実力的にはまだまだだとずっと感じていました。僕は遠い目標として『W杯出場』を掲げるのではなく、現実的な目標を立てて、一つひとつクリアしていくタイプなんです。プロになって新潟でプレーしているときに『海外でプレーしたい』と思うようになり、ドイツに渡ってからは『ここでレギュラーを奪って活躍したい』と思うようになりました。『W杯に出たい』と本気で思うようになったのは、ドイツに渡って日本代表に少しずつ呼ばれるようになってからですね。一つひとつ現実的な目標をクリアすることが、日本代表につながってきたんだと思います」

―コートジボワール代表であるチームメイトのアルトゥール・ボカ選手とは初戦で対戦しますが、何か話はされましたか?
「南アフリカW杯直前の親善試合でコートジボワールが日本に勝った印象が強いみたいで、『日本は弱い』と言われました(笑)。だから、『前回大会ではベスト16まで行ったし、今はもっと強くなっている。甘く見ないほうがいいよ』と言っておきました。試合に出てほしいですね、ボカに。彼が出たらそこがコートジボワールの弱点になるから、みんなに『あそこを狙え』と言いますよ(笑)。ただ、これが彼の本音になると思うのですが、『日本はいいチームに成長しているし、いいライバルになると思う』とも言っていました。もちろんジョークもありますが、若干、日本を下に見ているところは感じたので、初戦のコートジボワール戦に勝って、試合後に『日本の実力を見たか』と言ってやりたいですね(笑)」

―チームとしての目標を教えてください。
「僕は自分の名前が呼ばれたときから、本田(圭佑)さんや(長友)佑都くんが公言している『W杯優勝』を目標に掲げています。昨年11月の欧州遠征でオランダやベルギーと互角以上の試合ができたのは自信になりましたし、自分たちの力を少しでも世界に示せたはずです。チームとして日本代表のサッカーができたときは、どこが相手でも物怖じせずにプレーできる自信は選手個々が持っていると思います。だからW杯優勝という目標に辿り着くのは不可能ではないし、チームが一丸となって戦い抜いたら絶対に結果はついてくると信じています。僕らにはチャンスがあるので、W杯で優勝を目指したいですね」

―W杯で着用するスパイクも発表されましたが、白と黒のグラフィックが特徴的な「バトルコレクション」の印象はいかがですか?
「すごく斬新なデザインで、こういうデザインはあまり見たことがありません。率直な感想を言うと、攻撃的な雰囲気を感じるスパイクです。アグレッシブさがすごく伝わってきますし、インパクトもあります。『戦いに行くんだ』というイメージは、僕の攻撃的な姿勢にもマッチするので、自分の攻撃的な姿勢とスパイクのデザインから出るアグレッシブさをうまく一体化させて、W杯でも一緒に活躍したいですね」

―酒井選手が履く「ナイトロチャージ 1.0」はハードワーカータイプ向けのスパイクですね。
「激しい上下動が自分の売りでもありますし、そういうときにスパイクの働きは非常に大事だと思っています。実際に『ナイトロチャージ 1.0』を履いてみて、まず履き心地がいいなと感じました。ターンや切り返しの部分でのサポートを感じますし、ボールを蹴ったときのインパクトもいいです」

―このスパイクを履いて、ブラジルでどういうプレーを見せたいですか?
「自分の特長である攻撃的な部分を出していきたいですね。持ち味をしっかりと出すことでステップアップの道も開けてくると思うので、日本代表としての責任を持ち、酒井高徳らしいプレーをW杯で見せてきます」

(取材・文 折戸岳彦)

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