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「野人」岡野雅行が、漁師に転身!? 鳥取が新プロジェクトを発表

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 ブラジルW杯の開幕が迫り、5大会連続5回目の出場となる日本も、直前合宿地のアメリカへと旅立った。そんな中、17年前の「ジョホールバルの歓喜」で、日本をW杯初出場に導くVゴールを決めた「野人」岡野雅行は、どうしているのかと思ったら…えっ、漁師に転身!?

 実はこれ、J3リーグに所属するガイナーレ鳥取が発表した「野人と漁師のツートップ プロジェクト!」の一環。昨季限りで現役を引退し、今季から鳥取のGMを務めている岡野が、チーム強化費の確保に向けて打ち出した企画だ。

「選手獲得資金かぁ。お金はないけど、うまい魚だったら、いっぱいあるで」

 今年3月、鳥取県境港(さかいみなと)市の企業を訪ねた岡野GMは、こんな言葉をかけられた。境港は古くから日本海屈指の良港として知られ、松葉ガニ、紅ズワイガニなどのカニと、生の本マグロの水揚げ量が日本一の漁港だ。そのとき岡野GMが、ふとひらめいた。

「寄付を広く募って、お礼に境港の海産物を贈るのはどうだろう?」
「ふるさと納税みたいな感じ? ダメでもともと、やってみよう!!」

 このアイディアを、境港水産物直売センターの皆さんが、ひと肌脱ごうと後押し。こうして“野人と漁師のツートップ”が誕生した、というわけだ。

 岡野GMのアイディア通り、各自治体に寄付金を送り、お礼として地元の名産品などをもらえる「ふるさと納税」と同様の方式となっている。全国から1口5000円の寄付を募り、2口以上の寄付には御礼として、境港産の海産物が贈られる(複数口の寄付については、2口につき1品が贈られる)。用意されている御礼品は「海産物詰め合わせ」「干物詰め合わせ」「紅ズワイガニ」など、いずれも5000円相当の豪華な品々で、境港水産物直売センターから直送される(御礼品の指定、発送日の指定は不可。6月下旬から7月中旬をめどに発送)。

 受け付け期間は、5月30日(金)から6月30日(月)まで。クラブ事務所や鳥取のホームゲーム会場のほか、オフィシャルグッズショップオンライン「GOGS ONLINE(www.gogs.jp)」(クラブ公式HPからのリンクあり)でのクレジット決済も可能だ。

 集まった寄付金から経費を差し引いた額を、7月に予定しているトップチーム戦力補強費として活用する(剰余が出た場合は練習環境の整備など、トップチーム強化費として活用)。獲得する選手像は「ガイナーレ鳥取の背番号10を背負うにふさわしい選手」「相手守備陣を破壊できる攻撃的な選手」。鳥取は13節終了時点で4位にとどまっており、上位追撃に向けて、11得点(12チーム中10位)に終わっている攻撃陣のテコ入れを目指す。

 会見で「現在いる選手たちも頑張ってくれていますが、1年でJ2に復帰するためには、劣勢の中でもワンチャンスで点を取れる選手、経験・実績のある選手、勝負どころを分かっている選手が必要。国籍は問いません。そうした選手を獲得するために、ぜひ協力をお願いします」と語った岡野GM。全国からの応募が可能ということもあり、「僕の古巣である浦和のファン・サポーターの皆さんにも協力してもらって、おいしい境港の海産物を味わってほしいですね」とも語り、広く協力を呼びかけた。

 日本サッカー界の歴史を変えた男が、Jクラブの強化の歴史も変えるのか? 「野人」の新たな挑戦に注目が集まる。

【岡野雅行GM コメント】
「明治安田生命J3リーグ戦も3分の1が過ぎ、ガイナーレ鳥取は目指す順位にいません。GMとしてチームを強化するために、空き番の『背番号10』を背負える選手を、どうしても連れてきたいと思っています。絶対に戦力になる選手を見つけて獲得しますので、そのための費用について、ご支援・ご協力をいただきたいです。一人でも多くの皆さんからのご寄付を、心よりお願いします。御礼の品は、僕が現地・境港でお願いしてきたもので、びっくりするぐらい良いものです。皆さんの力を貸してください。よろしくお願いします」

(取材・文 石倉利英)

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