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[総体]選手権4強・四日市中央工が5-0で全国王手:三重

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[5.31 全国高校総体三重県予選準決勝 四日市中央工高 5-0 近大高専 鈴鹿スポーツガーデン]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)三重県予選は30日、準決勝を行い、昨年度全国高校選手権4強の四日市中央工高が5-0で近大高専に勝利。6月1日に行う決勝戦へと駒を進めた。四中工は決勝で海星高と対戦する。

「全国に行ってしまえば、伸び伸びと出来るが、県内だと全チームがチャレンジャーとしてウチに挑んでくるので、県内の試合が一番、難しい」。樋口士郎監督が県予選を突破する難しさを口にする中、四中工が危なげない戦いぶりで全国まであと一歩の所へ進んだ。

 開始早々、チャンスを作ったのはその四中工だった。5分、左サイドの高い位置でMF加藤慧がスローインを受けると、細かい足技で、相手DFをかわし、ゴール前へとパス。PA左で受けたFW上條翔太が倒れながらも左足を振り抜いたシュートがゴール右隅に突き刺さり、四中工が先制する。この1点で勢いに乗ったチームは10分にもMF大屋光希が中盤左寄りでボールを受けると、中央のスペースへと展開。走り込んだFW小林颯がそのまま中央を前進し、右サイドの転がすと、反応した加藤が右足を振り抜き、リードを広げた。

 幸先の良いスタートを切った四中工だったが、「早い段階で点数が動くと、どうしても楽をしようとしてしまって、これまで出来ていたボールを引き出す動きや、相手へのプレッシャーが無くなってしまった」と樋口監督がこぼしたように、攻撃の勢いが低下。細かいパス回しから、空いたスペースを攻略し、飛び込んだアタッカー陣が仕掛けるという、ここまで機能していた攻撃が機能しなくなった。27分にも右サイドでボールを受けたMF柳田大輝が中央の加藤との大きなワンツーでゴール前に飛び出し、シュートを狙うなどしたが、追加点が奪えない。

 エンドが代わった後半は、立ち上がりこそ、アンカーに入った福岡大芽を中心にボールの奪い所を限定し、2列目の中野翔大らによるボール回しから攻める近大高専に押される時間帯があった。だが、樋口監督が「彼が中盤に入り、守備が安定した」と評したように、四中工は5月頭にDFからボランチにコンバートされたばかりの柳田を中心に冷静に対応。攻撃へと転じ、後半4分には左サイドを上がったDF中田永一主将が上げたクロスを加藤が合わせて、3点目を奪う。

 以降は、「今の時期は3年生を日替わりで使いながら、競争を促している。この時期のメンバーと選手権のメンバーはまったく違う。皆で競争しているんだよというメッセージを与えている」という指揮官の言葉通り、積極的に控え選手を投入した四中工が、疲れから足の止まった近大高専を圧倒。後半27分には途中出場のFW小道場時が右から入れたボールをMF川村悠輔が決めると、後半32分には左サイド、川村からのパスを加藤が合わせて、5-0でタイムアップ。6月1日に行われる決勝に向けて、弾みのつくゴールラッシュで試合を終えた。

 主将の中田が「ムラがあるチーム。1試合通じて、良い試合というのがなかなかない」と説明したように、ここまで前後半の質が大きく変わるなど、波が激しい試合展開が続く。樋口監督も「後半はノープレッシャーになったので、もうちょっと出来ないといけない。その中でも、判断力を高めて欲しいし、まだまだミスも多い」と苦言を呈したように、大勝したこの日も満足の行く内容とは言えなかった。一方で、「失点ゼロで来ているし、我慢の出来るチームになってきている」(樋口監督)、「無失点で終われる試合が増えてきた」(中田)と声を揃えたように今大会無失点を続ける守備を中心に手応えも掴みつつある。残す戦いは後一つ。慢心のない戦いで、全国行きの切符を狙う。

[写真]先制点を奪ったFW上條を四中工イレブンが祝福

(取材・文 森田将義)

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