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[総体]柳ヶ浦が大分工との延長戦制し、初の全国総体出場に王手!:大分

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[6.1 全国高校総体大分県予選準決勝 大分工高 2-3(延長)柳ヶ浦高 大分スポーツ公園]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)大分県予選は1日、準決勝を行い、87年以来27年ぶりの全国大会出場を目指す大分工高と初の全国総体出場を狙う柳ヶ浦高との一戦は延長戦の末、柳ヶ浦が3-2で勝った。柳ヶ浦は2日の決勝で大分西高と対戦する。

 県北部の宇佐市に位置する柳ヶ浦が05年度の高校選手権に続く全国大会出場へ王手をかけた。互いに球際激しく、またミスもあってなかなか自分たちの時間帯をつくれないまま序盤を終えた試合は前半20分、柳ヶ浦がチャンスを迎える。ペルー出身のCBルハン・アントニオ(3年)が相手DFの背後へ入れたボールからFW小野田将人主将(3年)が左足シュート。これをDF山崎康輔(3年)がブロックしてピンチを脱した大分工は、DF間に入っていく頭脳的な動きと技術の高さが印象的だったMF飯田佳亮(3年)や力強く前へ出てくるFW田崎翔太、FW池邉雅也(ともに3年)を軸に攻め返すと、31分には速攻から池邉が左足シュートを放ち、35分には飯田の右足FKが枠を捉えた。

 先制したのはその大分工だった。後半10分、飯田の左FKからGKの前に飛び込んだ田崎が頭で貴重な一撃を叩き込む。他の部活動の生徒も動員して大応援を繰り広げていた大分工スタンドが俄然盛り上がる。対する柳ヶ浦は野口健太郎監督が「普段ならば相手を見ながら、もっとボールを動かしながらできるけれど…内容としては最悪のゲームですね」と思うような攻撃ができていなかったが、後半に入ってエンジンがかかってきた注目FW小野田がFW崎元大輔(3年)とのコンビからシュートを放つなど反撃。ただ、逆に背後を突かれて大分工・池邉にポスト直撃のシュートを撃たれるなど苦しい展開となった。それでも福岡の名門・東海大五高、国士舘大で主将を務めていた経歴を持つ指揮官が「勝負強いところがあると思う」と認める柳ヶ浦は同点に追いつく。

 16分、左サイドからMF土谷陵(2年)が入れたボールをPAでコントロールした崎元がDFに倒されてPKを獲得。これを小野田が右足でゴールへ沈めるとグリーンの歓喜の輪ができた。1-1。追いつかれた大分工は24分に池邉が強引に中央突破を図り、24分にはMF米津大貴が、26分には10番MF新田優作(ともに3年)がそれぞれ右足シュートを放つ。ただより多くのシュートシーンをつくりながらも2点目が奪えない大分工に対し、柳ヶ浦も34分に交代出場のDF松尾隆蔵(3年)の縦パスから崎元が抜けだしたが、大分工GK山崎竜久斗(2年)に距離を詰められて決めることができない。柳ヶ浦は35分に小野田が直接狙った左CKもクロスバー直撃。互いに決定打なく、試合は準決勝第1試合の大分高対大分西高戦に続いて延長戦にもつれ込んだ。

 延長戦も先にチャンスをつくったのは大分工。1分に池邉がDFの背後へ抜け出してシュートまで持ち込み、2分にも右サイドを抜け出した池邉が切り返しから左足シュートを放つ。ただ至近距離からの2本のシュートをブロックしたGK碩和哉(3年)をはじめ、空中戦で抜群の高さを示すルハン・アントニオらがゴールを守る柳ヶ浦が、エースのファインショットと狙い通りのセットプレーで古豪をねじ伏せた。

 延長前半10分、混戦からいち早くルーズボールに反応した小野田が左足ダイレクトでゴール左隅へ勝ち越しゴールを決める。応援の数、声の量では相手に劣っていたものの、熱い応援を繰り広げいてた応援団の下へ駆けつける10番と柳ヶ浦イレブン。エースの鮮やかな一撃で勝ち越した柳ヶ浦はさらに後半3分にも小野田の左CKにファーサイドから入ってきたルハン・アントニオが豪快に頭でゴールへ叩き込んで3-1とした。この後、右SB廣岡豊基(3年)のキープ力などを活かして時間を進める柳ヶ浦に対し、大分工もアディショナルタイム突入後の13分にFKから交代出場のDF大津健琉(2年)が頭で1点を返す。だが、逃げ切った柳ヶ浦が決勝進出を決めた。

 柳ヶ浦は野口監督が就任した20年前、サッカー部員は5、6人ほどで地域の育成のサッカー環境もまだまだ整っていなかったという。そこから「焦らず、急がず」(野口監督)地域とともに地道に強化し、新人戦で頂点に立ち、またプリンスリーグ九州に参戦するなど存在感を示してきている。ターゲットは指揮官が「人口も違いますし、クラブで育てられた選手たちが入ってくる。大分市内のチームに勝つのは大変」と口にする大分市内のチームだ。柳ヶ浦や2年連続で全国高校選手権出場中の中津東高といった県北勢は大分鶴崎高や大分高、情報科学高など大分市内のチームに負けじと強化を図ってきた。そして柳ヶ浦は今大会、大分鶴崎、大分工に競り勝ち、全国王手。「東京を経由して山梨へ行くぞ!」と意気込む柳ヶ浦が、大分市内の新鋭・大分西との決勝も制して全国切符を掴む。

[写真]延長後半3分、柳ヶ浦はルハン・アントニオ(左)がダメ押しの3点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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