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[総体]佐賀商の堅守に苦しむも、全国4強入り狙う佐賀東が後半5発で全国へ:佐賀

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[6.3 全国高校総体佐賀県予選決勝 佐賀商高 0-5 佐賀東高 佐賀陸上]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)佐賀県予選は3日、決勝を行い、佐賀東高が後半の5得点によって5-0で佐賀商高に勝利。2年ぶり11回目の全国総体出場を決めた。

 準決勝までの4試合を1失点で乗り切ってきた前年王者・佐賀商と、幅を使った攻撃から4試合14得点とゴールを量産してきた選手権全国大会出場校・佐賀東との決勝。「今年はタレントがいない。勝ちにこだわってここまできた。守備を継続してきた」と相良利朗監督が語るように、人数をかけて守りを固めた佐賀商を佐賀東が攻め立てる展開となった。最終ラインからショートパスをつなぐ佐賀東は、MF井上達貴(2年)とMF田中辰季(3年)がタッチライン際に張る右SB福元仁基(3年)らへ再三距離の長いパスを展開。そこからのクロスやワンツーで佐賀商の分厚い守備網を切り崩そうとしてくる。

 前半9分には10番FW川内真一(3年)の右足ミドルがゴールを捉え、11分には右サイドからのワンツーで鋭く切れ込んできたMF田中優斗(3年)がPAわずか外側でFKを獲得。川内の右足シュートは正面だったが、その後も攻める佐賀東は16分にも右クロスからMF野口雄平(3年)が決定的なヘディングシュートを放った。ただ、佐賀商は準決勝で決勝FKのCB陣内祐亮(3年)らDF陣が奮闘。ディフェンスラインを破らせず、ミドルレンジからのシュートには好セーブを連発したGK藤原怜(3年)が立ちはだかった。

 そして佐賀商はGKから切り替え速くサイド、前線へとボールを運び、1チャンスをものにしようとする。22分、右サイドから中央へ切れ込んだMF松尾明篤(2年)が左足シュート。クリアボールを拾った1年生FW南里京介が当たりの強さを発揮して右サイドを打開し、ラストパスをニアサイドで陣内が合わせる。相手に当たったボールは右ポストを叩いてゴールの外側へ。自陣で守る時間帯が非常に長くなった佐賀商だったが、「一刺し」するだけの力があることを示して見せる。

 ベンチからの「我慢せえ、我慢せえ」の声の後押しを受ける佐賀商は前半アディショナルタイムにも切り返しでDFを外した川内に左足シュートを放たれたが、0-0で前半を折り返すと、後半は少しずつ前へ出ていく。開始45秒に10番MF森脇壱成(3年)が左足ミドルを撃つと、9分には松尾の右足シュートがゴールを捉える。ただ、「アイツ(西原)とは話をすることが多い。どっちも信じながらやった」という峯泰斗主将(3年)と西原悠晟(2年)のCBコンビを中心とした佐賀東守備陣は堅く、簡単にはこじ開けることができない。10分、右クロスからゴール至近距離で佐賀東・田中優に合わされたたシュートは藤原のビッグセーブで切り抜けた佐賀商だったが、雨中でパススピードの上がった佐賀東の横の揺さぶりの前に、ラインのスライドに遅れが生じてしまう。

 16分、ついに佐賀東が佐賀商の砦を打ち破った。左SB川口高良(2年)の滞空時間の長い左クロスをファーサイドのFW中原貴志(3年)が頭で叩きつけて先制ゴール。腰痛の影響でベンチスタートとなっていった選手権全国大会先発メンバーが「前半、点数が入っていなかったので自分が決めてやろうと思っていた」と意地のゴールでスコアを動かした。ようやく重い扉を開けた佐賀東はさらに18分、相手CBのキックをチャージした川内がこぼれ球を収めるとすかさずスルーパス。これで右中間を抜け出した田中優が右足でニアサイドを破って2-0とした。

 諦めない佐賀商は28分に交代出場のDF副島駿(3年)の左足シュートがクロスバーを叩く。終盤まで相手に食らいついた佐賀商だったが、「ボールを走らせて、相手を走らせることができた」と蒲原晶昭監督がいう佐賀東は終了間際に連続得点。33分に福元の右クロスをニアサイドで川内が合わせて3-0。さらにアディショナルタイムには交代出場2選手が結果を残した。37分、川口の左クロスをファーサイドのMF馬見塚祐太(2年)が頭で合わせると、40分にも右サイドを駆け上がった田中辰の右クロスをファーサイドのMF青木鳳大(3年)が押し込んで試合を締めた。

 結局交代出場選手の3発を含めて5ゴールで快勝。蒲原監督は「今年は誰が出てもいい状態」と選手層の厚さについて口にする。主将の峰でさえも「みんな上を目指している。意識が高い。油断したら下に追い抜かれるという危機感がある」と語るほどの競争。準決勝で先発した選手が決勝ではメンバー外になるほど、チーム内での激しい競争が佐賀東のレベルを引き上げている。そして「まだ理想には程遠い。3分の1くらい。状況判断して、ポゼッションして、いい形でゴールを取りたい」と峰主将が語るように、上を目指すチームは大勝にも気の緩みがなかった。

 昨年度は全国高校選手権で1勝した。10番の川内は「昨年のチームは弱いとか言われていたけれど、力のあるチームだったと思う。守備では粘り強く、身体張ってプレーしていた。自分らも見習いたい」。目標の全国ベスト4を達成するため、練習からより激しい競争を行い、全国では先輩たちのように粘り強く戦って多くの白星を掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)

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