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[MOM1053]金光大阪MF山田楓真(2年)_味方を活かす、実力派の守備職人

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[6.7 全国高校総体大阪府予選決勝リーグ第2節 金光大阪高 6-1 大塚高 J-GREEN堺]

 金光大阪高が6ゴールを奪って快勝できたのは、決して目立たないながらも、気の利いた仕事でチームを支えたMF山田楓真(2年)の存在があったからだった。

 憧れの選手は激しいディフェンスから“闘犬”との異名を持った元イタリア代表のMFガットゥーゾ。「めっちゃハードワークしてくれるし、走ってくれる。運動量が多くて、守備のカバー範囲も広い良い選手だと思う」。千里丘FCに所属していた中学時代からプレーを共にする先輩のFW新家碧がそう賞賛したように、根っからの守備職人。その新家を始めたとしたスピードのある攻撃陣に目が行きがちな今年の金光大阪だが、彼らが伸び伸びとプレー出来るのは「味方が活きるプレーを心掛けている」という山田の存在が大きい。

 この日の試合で自らに課した仕事は「セカンドボールを拾う事と相手の真ん中の選手に仕事をさせない事」。ダブルボランチながらも、相方を務めるMF眞口幸太が積極的に前へと飛び出すため、広大に広がった中盤のエリアを一人でカバー。危険を事前に嗅ぎ付け、的確なポジショニングでルーズボールを拾ったかと思えば、激しい守りで相手攻撃陣をブロック。更には豊富な運動量で最終ラインまで落ちて味方が弾いたセカンドボールを回収した。

「ボールを奪った後のパスミスが多かったし、まだまだだと思う」と課題も口にしたが、後半に入ってから攻撃でも持ち味を披露。中盤でのボール奪取から素早く、両サイドへ「苦手」と口にするロングボールを正確に展開。スピードのある攻撃陣を巧みに操る場面も見られた。

 中学2年生の時にはナショナルトレセンU-14に入り、高校入学後も国体の大阪選抜候補に選ばれた事のある実力派だが、「まったく上手くないので、相手より走る事を意識している。(走ることは)武器なんで、人よりやらなければいけない」と控えめな言葉を口にする。だからこそ、自信のある運動量を伸ばすため、普段から走り込みを欠かさず続けており、中学時代は長距離走では誰にも負けなかったという。

 そんないぶし銀で努力家な彼だが、高校入学前はどこへ行きたいかも皆目見当もついていなかった。中学の指導者に進路を相談した所、「兄ちゃんがいるから、金光はどうや?と言われた」事が金光大阪入学のきっかけとなったという。2歳上でFWとして活躍した一喜(今年から大阪産業大へと進学)とは「あまり仲が良くない(笑)」ものの、「中学の時はボールを奪う時に相手の足を蹴ってしまっていたけど、清野拓コーチにしっかり指導してもらえた」と確かな成長を感じているため、金光大阪を選んだ事に満足している。

 最終日の対戦相手は大阪桐蔭高には国体選抜でプレーを共にした際に「自分より巧い」と感じたというMF久保田和音がいる。同じボランチ同士でマッチアップする回数も多いはずだが、「絶対に潰します」と力強く宣言したように、相手が上手かろうが気後れはない。チームを全国に導くために泥臭く、汗臭く残り一戦も戦い続ける。

(取材・文 森田将義)

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