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[MOM1059]広島皆実DF北尾涼(3年)_「取り返さなければいけない」思い込めた劇的V弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.8 全国高校総体広島県予選決勝 広島皆実高 2-1 広島観音高 広島広域公園第一球技場]

 1-1で迎えた後半アディショナルタイム。右サイドでFKを得ると、広島皆実高DF北尾涼(3年)はゴール前へと攻め上がり、「キッカーの横路(翔太)を信じて飛び込んだ」。中央に飛んできたボールを高い打点のヘッドで合わせると、強烈なシュートがネットを揺らす。雄叫びを挙げながら応援スタンドに駆け寄っていく途中で、試合終了の笛が鳴った。

 この日の前半は攻守にミスを重ねていた。31分のセットプレーのチャンスで、ゴール前でフリーとなりながらも、左足のシュートが大きくバーの上を越えて先制ならず。さらに前半アディショナルタイムには、自陣でのボール処理を誤ってサイドからの突破を許し、先制点を奪われてしまう。

「前後半を通じて、センターバックとして致命的なミスが多かった。1失点目も自分のミスからだったので、気持ちを戻すのが大変でした」と振り返る。だが、「周りのみんながポジティブな声をかけてくれたので、『取り返さなければいけない』と思った」。1-1で迎えた後半アディショナルタイム、「自分の武器なので、これで決めるしかないと思っていた」というヘッドで決めた、汚名返上のゴールだった。

 藤井監督は「自作自演ですね」と笑いながらも、「よく『試合に戻ってきた』と思う。あのミスで、今までだったら崩れていたかもしれないけど、その後に我慢強く、しっかりプレーできたことが、最後の得点につながった」と評価した。一方で「チーム全体に言えることでもあるけど、ビルドアップをもう少しテンポ良くできないと、全国を相手にすると引っかかる」と課題を挙げる。ボール支配率を高めて主導権を握る広島皆実のスタイルを発揮する上で、最終ラインが刻む攻撃の第一歩は、チームの生命線でもあるからだ。
 
 劇的なゴールでつかんだ全国の舞台。「決めることができてよかった。ホッとしました」と語るときには笑顔も浮かべたが、「今回以上に厳しい戦いになると思う。もう一度、練習からしっかりやって、スキのないチームを作りたい」と、すぐに表情を引き締めていた。
 
(取材・文 石倉利英)

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