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[総体]先輩越えへ目標は全国2冠!星稜が森山2発で第1関門突破!!:石川

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[6.9 全国高校総体石川県予選決勝 星稜高 2-0 遊学館高 金沢市民]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)石川県予選決勝が9日に行われ、昨年度全国高校選手権準優勝の星稜高遊学館高が激突。FW森山泰希(3年)の2ゴールによって2-0で星稜が勝ち、3年連続23回目の全国大会出場を決めた。

 後半終了間際の連続失点で2-0から同点に追いつかれ、延長戦の末、富山一高に屈した国立ファイナルから約5か月。メンバーだった現2、3年生の10人は、全国決勝の夜に早くも新チーム最初のミーティングを行い、「先輩たちは全国制覇を掲げて準優勝だった。自分たちは先輩たちを越える目標を立てないと越えられない。だから夏、冬の全国2冠を目標にしようと決めました」(MF鈴木大誠主将、3年)と全国2冠を掲げてスタートを切った。その目標を達成するための第1関門となった県決勝の相手は、星稜が今年のプリンスリーグ北信越8試合で唯一引き分けている相手、遊学館。ただ星稜は難敵相手にも要所を締めて快勝した。

 試合は序盤から非常にアップテンポな展開で推移した。1分に遊学館FW浅沼大地(3年)が右足シュートを放つと、遊学館は6分にも浅沼が個人技で左サイドを切り崩し、FW小倉龍太(3年)がつないだボールをMF富田開斗(3年)が左足で狙う。遊学館は10分にもアタッキングサードで前を向いたMF谷口昂輝(3年)が右足シュートへ持ち込むなど、星稜撃破、00年以来となる全国出場への思いを込めた戦いを見せる。ただ遊学館の吉川幹大監督が「彼らは負けた悔しさを持っている。だから強いと思います」というように、悔しい敗戦からスタートしてきている星稜は相手の勢いを受けることなく、真っ向からテンポの速い展開に対抗していく。

 16分、左サイドからオーバーラップしたSB宮谷大進がMF藤島樹騎也(ともに3年)からのパス受けると、ひとつ中へ切れ込んでラストパス。このこぼれ球を藤島が狙うと、17分には右SB原田亘(3年)が遊学館の懐へ深く切れ込み、ファーサイドの森山が決定的なヘディングシュートを放った。星稜は21分にも敵陣でインターセプトした森山が右足シュート。これは遊学館の186cmGK三浦基瑛(3年)が横っ飛びで反応してゴールを許さなかったが28分、星稜が遊学館ゴールをこじ開ける。

 星稜はU-16日本代表MF阿部雅志(2年)がバイタルエリアをドリブル突破。それまでなかった攻撃の変化に対応が遅れた遊学館DFを尻目に、中央を切り裂いた阿部が森山へのスルーパスを通す。動きながらトラップする構えを見せた森山だが、GKとの距離が詰まっているという判断で、タッチする直前でトゥーキックでのシュートを選択。これで逆を突かれたGKはシュートに反応することができず、ボールはゴールラインを越えた。

 森山の頭脳的な一撃で先制した星稜は畳みかけるかのように、この日中盤で存在感を発揮していたレフティー、MF杉原啓太(3年)の左足ミドルや森山のラストパスを藤島が左足で叩いたシュートなどで一気に遊学館を飲み込もうとする。遊学館も後半2分にMF高田陸矢(3年)の左FKをファーサイドの右SB林尚佑(2年)が頭で合わせ、6分にはオフサイドの判定でノーゴールとなったものの、高田のスルーパスを右サイドからダイアゴナルの動きで飛び込んできた南谷が1タッチでゴールへ流し込む。そして8分には敵陣でインターセプトしたMF岸竜世(3年)のスルーパスに谷口が走りこんだ。

 ただこのピンチを原田のスライディングでのクリアで逃れた星稜は河崎護監督が「セカンドボールの勝負だと思っていた」というとおり、前半に続いて相手に攻撃時のセカンドボールをほとんど拾わせない。また守備時の空中戦ではCB鈴木が完勝し、今大会準決勝からCBに起用されたDF平田健人(3年)のカバーリングも安定。昨年度、国立でゴールを決めている森山とプリンスリーグ北信越で得点を量産しているFW大田賢生(3年)の2トップなど攻撃の破壊力がある一方、課題と言える星稜の守備だったが、この日は綻びを見せなかった。

 そして星稜は18分、エースが追加点を奪う。左中間で杉原が出したスルーパスから藤島が左足シュート。これはGKが止め、こぼれ球に突っ込んできた杉原の左足ループはクロスバーを叩く。ただ、この落下点にいた森山が右足ダイレクトでゴールへ押し込んで2-0。この後は星稜の2トップが次々とシュートを打ち込むなど遊学館を圧倒する。24分にスルーパスから大田が放った右足シュートがポストを叩くなど3点目を奪えない星稜に対し、遊学館も27分に抜け出したMF森嶋尚輝(3年)の右足シュートのこぼれ球に高田が反応したが、GK坂口瑠久(2年)にストップされて追撃する事ができない。危ないシーンもあったものの、ミスを犯さないスキルと力強さ、要所を逃さない経験値の高さなど星稜が相手との差をつくり出して全国切符を掴んだ。富山一が富山県予選準決勝で敗れ、同じく北信越の名門・丸岡高も福井県予選敗退。「気が引き締まりました」(河崎監督)という中で選手たちは逞しい戦いぶりを見せて勝利した。

 全国決勝での敗戦から切り替えている星稜だが、そのパワーの源になっているのはやはり選手権決勝で負けた悔しさだ。森山は「寝る前はあの決勝を思い出して、悔しさを思い返して、明日もまた上手くなるための準備をしている」。その思いをこの夏の全国大会にぶつけて頂点へ。まだまだ全国で勝つためには守備面の強化などやらなければならないことがある。また「(トップレベルとの対戦が少なく)どれだけ全国相手にできるか分からない」(鈴木)という懸念もある。それでも星稜史上最も日本一に近づいて自信をつけ、悔しい思いも経験し、大田や杉原ら新戦力も加えて逞しく成長してきた選手たちが夏の全国舞台で今度こそ日本一の歓喜を味わう。

(取材・文 吉田太郎)

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