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逆転負けも前向きに、U-21代表の手倉森監督「勘違いしなくて済む」

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[6.11 練習試合 U-21日本代表1-2大学選抜 J-GREEN堺]

 アマチュアの全日本大学選抜に1-2の逆転負けを喫したプロ集団のU-21日本代表を率いる手倉森誠監督は、この敗戦を前向きに捉えている。今回の招集メンバーの多くが出場した8日のJ3第15節琉球戦で6-0の快勝を収めていたチームに対して、「勘違いをしなくて済む」と語っている。

「J3で6点取って勝ち、今回こうやって負けたことは必要だったから負けたんだという話。自分たちが招いた結果だという話もしました。物事がうまく進んでいれば気持ち良く生活できるけど、思うようにいかなかったときに、どうするのかという挽回力がまだまだ必要だと気付かされたと思うし、この世代は何でもそろっているわけではないということも改めて気付かされたと思う。これに対して、皆がどう進むべきなのか気付いていかないといけない」

 試合は前半28分にDF岩波拓也のゴールで先制したものの、後半24分と同37分に失点して1-2の逆転負けを喫した。前半と後半でピッチに立った選手は総入れ替えされており、「前半と後半でコントロールの仕方が違っていた」と指揮官は話した。「自分たちは代表で、相手は大学選抜であり、プロとアマチュアです。どちらが優位かと勝手に判断したときに、『攻め込んで当たり前』『勝って当たり前』という心理が余計に働いたとき、正しいメンタリティーで試合が進まなくなるという話をしました」と説明しつつも、「でも今回そこまで教えることができたことを考えると、今日は負けて非常に良かったと思います」と敗戦は決してマイナスの要素だけではないことを強調した。

 そして、手応えをつかめた部分もあったと話す。「チームのコンセプトは『全員でサッカーをする』。全員攻撃、全員守備です。この世代にはスーパースターと言える選手はいませんが、力を持っている選手はそろっています。その中で、個人に頼るのではなく、全員でサッカーを作り上げたときに、そこがストロングポイントになっていきます。チーム全体で同じサッカーを描ける、強いチームになっていける手応えは感じています」。

 そして、違った方向からの収穫もあったようだ。この日の対戦相手である大学選抜は全員がリオ五輪世代であり、手倉森監督は「今回の大学選抜との練習試合は、私の中でも選考の要素がありました。全員がリオ世代でライバル同士。その狙いもありました。大学選抜には代表に勝ったことで、自分たちの可能性を見出して活動してほしい」と話すと、「印象に残った選手? そういう選手はいました。ここでは発言を控えさせて頂きますが、チェックしています」と新戦力という収穫を得たことも明かした。

(取材・文 折戸岳彦)

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