beacon

長谷部「未来の日本サッカーに示せるものを残したい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本にとって5度目のW杯を、未来への第一歩にしたい。キャプテンとしてザックジャパンを束ねてきたMF長谷部誠が、誇り高く宣言した。

「前回は自分たちのサッカーを追い求めて、(けれども)直前で戦術を変えて戦った」

 長谷部が述懐するように、2006年にスタートを切ったオシムジャパンは、イビチャ・オシム監督が打ち出した「日本人らしいサッカーの追求」という方向で前進を試みた。その考えは選手にもファンにも支持され、期待も大きかった。

 不運にも志半ばで病に伏したオシム元監督の哲学は、形を変えながら岡田ジャパンへと継承されていく。岡田武史前監督は「接近・展開・連続」をテーマに、ここでも「日本らしい」スタイルの追求を強調した。

 しかし、大会前の4連敗という現実を前に、最後はスタイルを守備的に変更せざるを得なかった。苦渋の思いを味わいながらの南アフリカW杯ベスト16。長谷部は、「前回の4年間」の積み重ねにも思いを馳せながら、さらに加えた。

「この4年間は自分たちに合った、自分たちが世界に勝つためのサッカーを追求し、それをずっと積み上げてきた。このW杯で、日本のサッカーの未来を自分たちがつくり上げていきたい」

 長谷部の胸には「例えばメキシコにはずっと伝統がある」という羨望がある。いわゆるサッカー大国とはおもむきの異なる、しかしながら独自のスタイルを貫き、コンスタントに力を示しているメキシコ。日本もいきなり大国になることはできないかもしれないが、今回、ブラジルの地で日本のスタイルを貫きながら勝つことで、後世に遺産を残していきたいと熱望しているのだ。

 個性の強い仲間の心を澄ませ、時に監督の信念とのすり合わせを行いながら、同じ方向を見つめる集団へと束ねたというプライドもあるはずだ。

「メキシコのような、伝統的スタイルというものを自分たちがつくり上げたいという気持ちがあった。そういう意味で、今、とても楽しみです。非常にワクワクしている。自分たちがどれだけこういう舞台で自分たちのサッカーをできるか。そして自分たちで日本のサッカーをどれだけ表現できるかが楽しみです」
 
 不安のあった右膝の状況についても「90分? 監督が決めることだと思いますけど、僕は行ける準備をしています」と力を込めた。ザックジャパンが日本の未来を示す準備は整った。

(取材・文 矢内由美子)

★大会日程やTV放送、最新情報をチェック!!
2014W杯ブラジル大会特設ページ

TOP