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[総体]西武台が埼玉栄との強豪対決制して埼玉8強入り

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[6.14 全国高校総体埼玉県予選3回戦 埼玉栄高 1-2 西武台高 西武台高第2G]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)埼玉県予選は14日、3回戦を行い、10年全国4強の西武台高埼玉栄高の強豪対決は西武台が2-1で制した。西武台は15日の準々決勝で成徳深谷高と対戦する。

 試合後、西武台の守屋保監督は「酷い試合でした。頑張るだけ。慌てずにもっと2対1をつくって、繋がせれば良かった。ただ気持ちの部分で最後までやってくれたことは評価したい」と語った。相手にボールを保持される時間帯が長い展開。それでも相手のミスに乗じて先制し、鮮やかな崩しでの得点や最後まで走りぬく姿勢も見せた西武台が8強へ駒を進めた。

 互いに慎重な立ち上がり。その中で高い位置からの守備でボールを奪ってサイド攻撃へ結びつける西武台に対し、埼玉栄はベンチから「自信を持ってやれ!」という声の後押しを受けながらポゼッションでボールをジワリジワリと推し進めていく。先制したのは西武台。前半17分、GKからのパスをインターセプトしたFW中山歩(3年)が豪快な左足シュートを決めて西武台がリードを奪った。
 
 ミスから先制された埼玉栄だが、司令塔のMF藤原唯壱とMF抜井光貴(ともに3年)を軸に反撃する。15分にはFW阿部和輝(3年)のポストから前を向いたMF加茂龍之介(3年)が左前方へラストパス。これを受けたMF遠藤響(3年)が縦への仕掛けから左足を振りぬく。西武台は長身GK井上禅(3年)の好セーブで難を逃れたものの、1分後にも加茂にサイドを突破され、危ないシーンが続いた。

 ただ西武台はMF及川皓平主将(3年)や前線で相手ボールを引っ掛ける中山らのインターセプトから、幅も使ったスピーディーな攻撃。また前線で抜群のキープ力を発揮する中山が相手DF陣を押し下げていた。28分にはPAで粘った中山の左足シュートのこぼれ球からMF荒田楓河(3年)がクロスバー直撃の左足ミドル。埼玉栄もDF間に斜めに入る選手にボールが届き、チャンスをつくり返す。30分には加茂が獲得したFKを藤原が右足で直接狙い、34分には抜井の縦へのスルーパスに左サイドから走りこんだ阿部が右足ダイレクトでシュート。ゴール左へ外れてしまったが、ビッグチャンスをつくって前半を終えた。

 埼玉栄は後半9分にも右サイドを駆け上がったSB矢部晃太(3年)が切り返しからクロスを入れると阿部が決定的なヘディングシュート。西武台も厳しいプレスでボールを奪うと、ショートカウンターから中山が放ったシュートやセットプレーから撃ちこんだCB恩田拓実(3年)の決定的なヘッドなど、2点目を奪いに行く。互いに十分に相手を仕留められるだけの力を見せあって迎えた後半22分、西武台は自陣右サイドからFW新行内一輝(2年)がDFのプレスを剥がして持ち上がると、MF久保龍希(3年)を経由して中央の交代出場MF木榑兼吾(2年)へボールをつなぐ。するとバイタルエリアを縦に仕掛けた木榑が中山とダイレクトのワンツーを完結。ゴール正面左寄りで抜け出した木榑が得意の左足ではなく、「ゴールへの角度を確保するためにはこっちの方がいい」という右足で2点目のゴールを流し込んだ。

 だが、試合は簡単には終わらない。慌てずに最終ラインからボールを動かして攻める埼玉栄は、失点直後に遠藤のシュートのこぼれ球を左SB本樫拓弥(3年)が押し込んで1点を返す。終盤はボールを握る埼玉栄が、西武台ゴールを何とかこじ開けようと攻め続けた。37分には交代出場のドリブラー、FW高橋利樹(2年)がインターセプトから1人交わして右足シュート。後半アディショナルタイムには連続のセットプレーから西武台ゴールへ押し寄せる。だが最前線で気迫溢れる動きを見せていた中山やカバーリングに長けたCB粕川智哉(3年)、及川中心に守った西武台が勝利。8強入りを果たした。

 西武台は4月の関東大会予選2回戦で優勝した正智深谷高にPK戦敗退。中山は「不甲斐なくて、チームの雰囲気も落ちていた」というが、「タイトルを獲りたいという気持ちでまとまった」(中山)と昨年は実施していなかったという朝練習を取り入れ、今大会に懸けてきた。ボールのつなぎの部分で課題が残るなど、まだまだタイトルを獲るためにはやらなければならないことがある。課題を改善すると同時に、この日も見せた戦う姿勢とまとまりの良さを前面に出しながら準々決勝、準決勝を戦い、全国切符(埼玉は2枠)を勝ち取る。

[写真]後半22分、勝ち越しゴールを決めた木榑中心に西武台の選手たちが喜ぶ

(取材・文 吉田太郎)

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