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[総体]延長2発!明秀日立が前回優勝校撃破!!:茨城

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[6.18 全国高校総体茨城県予選準決勝 明秀日立高 3-1(延長)水戸啓明高 カシマ]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)茨城県予選は18日、準決勝を行い、2年ぶりの優勝を目指す明秀日立高が延長戦の末、昨年の代表校・水戸啓明高に3-1で勝利。明秀日立は22日の決勝で鹿島学園高と対戦する。

 厚い選手層と高い技術を備えた明秀日立が前回王者を延長戦でねじ伏せた。立ち上がりから、よりボール保持した明秀日立が局面でのドリブルや小気味いいパス交換でFKを獲得し、エースMF飯島脩斗(3年)の右足シュートなどでゴールを狙ったのに対し、全国高校選手権16強の水戸啓明は俊足FW高柳翔一とFW佐藤優一(ともに3年)が相手の背後へ飛び出したほか、走力のある右SB中島啓介(3年)や左のドリブラー、MF栗崎湧輝(3年)によるサイド攻撃で対抗。前半5分には栗崎が左サイド後方から放り込んだFKがDFと味方選手の頭上を越えてクロスバーを叩く。明秀日立の1年生MF前川翔梧や水戸啓明のMF石田勇大主将(3年)が特に精力的に動き回っていた序盤は、互いが球際の激しい攻防戦に。なかなか試合の軸を傾けるまで至らない展開の中、水戸啓明が相手のミスに乗じてリードを奪った。

 23分、水戸啓明はCB宗田優駿(3年)が前線へボールを放り込むと、高くバウンドしたボールを明秀日立守備陣が処理ミス。PAでボールを拾った佐藤が後方からタックルされながらも執念でボールをつなぐと、最後は高柳がゴールへ押し込んで先制した。このゴールで主導権も得た水戸啓明は24分に左サイドから切れ込んだ栗崎が右足を振りぬき、25分には右サイドからの折り返しを受けた石田が右足ミドル。27分にも相手DFのミスを突いた高柳が左サイドを抜け出して決定的な右足シュートを放つなど自分たちのペースで試合を進めていく。

 ミスでの失点後、やや受ける時間が増えてしまった明秀日立は後半開始から3人を交代。二卵性双生児の石瀧翼石瀧隼(ともに3年)のCBコンビからCB江本光(2年)の投入によって、石瀧隼をボランチに上げ、前線にはMF石川優吾とMF飯沼聖太(ともに3年)を配置する。これに伴い、1トップから2トップへ変更。サイドへ開いてビルドアップする相手CBへプレッシャーをかけたことで相手のボールの出所を封じ、高い位置でボールを奪った明秀日立は攻撃時間を増やすことに成功する。

 そして「どうせ負けるなら、思い切りやって負けた方がいい」(萬場努監督)と明秀日立らしい積極サッカーを展開。また石瀧翼が「準々決勝の古河一戦でも0-2から逆転していたし、余裕があった。自分たちを信じてやれば逆転できると思っていた」という明秀日立は前線から果敢にプレッシャーをかけ、奪ったボールをテンポよくつないでゴールを目指していく。6分に左SB石川慶人(2年)の左クロスにMF沼山和樹(3年)が飛び込んだシーンは惜しくも合わせられなかったが16分、中央で得たFKから飯島がゴール方向へボールを入れると、こぼれ球に反応した石瀧翼が左足で豪快に叩き込んで同点に追いついた。

 明秀日立は後半から左サイドへ開いた飯島やMF保土田颯人(3年)がスペースを上手く活用したパス交換で攻撃を活性化。最前線に入った石川優の馬力のある突破もアクセントに攻めていく。中盤の底の位置へ移った石瀧隼が「セカンドボールと球際で負けないようにした。ボランチに入った時もCBという意識でやっている」と“3人目のCB”として相手の攻撃を跳ね返し、セカンドボールを拾うなど守備もハマった茨城北部の新鋭へと試合の流れは傾いていく。明秀日立は26分に左FKを右SB内田航太(3年)が頭で合わせ、27分にも右クロスから内田がヘディングシュートを撃ちこむなど逆転を目指して攻め続けた。

 ただ、水戸啓明も高柳の強烈な右足ミドルがゴールを襲い、栗崎が個人技で右サイドを打開するなど負けていない。そしてサイドからチャンスをつくると、37分には左クロスからファーサイドのMF坂本信光(2年)が右足を振りぬき、38分にも右クロスの折り返しを交代出場のMF中山広貴(3年)が頭で狙った。ただ勝ち越し点は生まれず、明秀日立も39分に左FKを石瀧隼が頭で合わせたものの、シュートはわずかにクロスバーの上。1-1のまま80分間が終了し、勝敗の行方は延長戦に委ねられた。

 延長前半は水戸啓明が中山と左SB関根伶樹(2年)のコンビで左サイドを突破するが、得点は生まれず。迎えた延長後半3分にスコアが動いた。明秀日立は再び中央後方から飯島が右足でボールを入れると、石瀧翼がタイミングのいい跳躍から渾身のヘディングシュート。これがゴールを破り、明秀日立が逆転に成功した。「自分たちのところの(連係)ミスで失点した。逆転することができて本当に嬉しかった」という石瀧翼はベンチに向かって一直線で駆け寄り、チームメート、コーチングスタッフたちと喜びを爆発させる。この歓喜からわずか2分後の5分、明秀日立の白いユニフォームが再び舞う。自陣からのロングキックが相手ディフェンスラインの裏へ落ちると、対応の遅れた水戸啓明よりも早くボールに反応した飯沼がそのまま左足シュートをゴールへ叩き込んで3-1と突き放す。このゴールで勝負アリ。明秀日立が全国へ王手をかけた。

 明秀日立は一昨年、全国総体に初出場し、昨年も関東大会予選を初めて制した。水戸勢や東部の鹿島勢に比べて遅れをとっていた茨城北部から県トップレベルで戦うチームへと台頭してきている。就任8年目の萬場監督も「選手たちが自立してきた。(選手層が厚くなり)誰が出ても結果を出してくれるという信頼がある」と目を細める中、メンバーを入れ替えながら戦い全国総体出場へあと1勝。1年時に先発で全国舞台を経験した石瀧翼、飯沼、沼山、飯島の4人が残るなど経験もある今年の目標は茨城を制して全国8強以上だ。飯島は「今年、足元の技術があることに自信を持っている。まとまりを徹底すれば全国で戦える手ごたえがある。目標の全国ベスト8を上回れるようにやりたい」と宣言。決勝では2-1で勝った2年前と同じく、茨城を代表する強豪・鹿島学園を破って全国舞台に立つ。

[写真]延長後半5分、明秀日立は飯沼が左足で3点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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