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[総体]華麗なる3発!麻布大附が「狙って」神奈川連覇!!

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[6.23 全国高校総体神奈川県決勝 向上高 1-3 麻布大附高 横須賀リーフ]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)への出場権2枠を懸けた神奈川県予選は23日に決勝を行い、向上高に3-1で勝った麻布大附高(旧・麻布大渕野辺高)が2年連続2回目の優勝を果たした。両校は前日の準決勝を勝利した時点で全国総体出場を決定。麻布大附は2年連続3回目、向上は25年ぶり4回目の全国総体出場となる。

 昨年は“ダークホース”のような存在ながらも圧倒的なポゼッションで混戦トーナメントを勝ち抜き、総体予選では初の神奈川制覇。麻布大附の安彦篤監督は言う。「今年は狙って獲ろうと。獲るべくして獲ろうとずっと言ってきた。狙って獲ることは難しい。でも選手たちが信じてやってくれた」。11年に桐蔭学園高、12年には三浦学苑高と全国優勝校を輩出しているほか、桐光学園高、湘南工科大附高と激戦区・プリンスリーグ関東を戦うチームもいる神奈川で連覇を果たすことは容易ではない。ただ、昨年から主力の半数を残す麻布大附は、自分たちのポゼッションスタイルを貫いて頂点に立った。

 前半6分、鮮やかなゴールでスコアは動いた。麻布大附は左サイドからのパスを受けたMF塚越亮(3年)のスルーパスをFW竿下征也(3年)が足裏で落とす。完全にDFが振られた中、左サイドから角度をつけて走りこんできたFW阿部速秀主将(3年)が抜け出し、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 先制した麻布大附はその後ボールを完全に支配する。MF宮澤博人とMF伊藤太玖のダブルボランチが前線の強力カルテットをフォローしながら、少ないタッチでパス交換。圧倒的にボールを保持しつつ、DFを剥がして、剥がして攻めようとする麻布大附の前に、向上は中盤の選手たちもディフェンスラインに吸収されるような形になった。がっちりと守りを固められ、スペースのない状況での攻撃となった麻布大附だが、その中でも20分に阿部のスルーパスに竿下が反応するなど攻め込んでいく。

 ただ「相手にいいところを出させて潰す。つかみどころがないのが向上のサッカー」(小林慶一郎監督)という戦いで、長年苦しんできた4強の壁を突破して代表権を掴んでいる向上は、相手にボールを握らせつつも、ボールを奪ってからの切り替えの速さ、相手の薄いサイドからの攻撃で攻め返す。オープンスペースへボールを動かし、迫力のある突破を繰り返していた左MF清水光やMF重田裕輝(ともに3年)が大きく前進。そして24分、麻布大附DFが自陣ゴール前で不用意なドリブルをしたところを右SB高橋司(3年)がチェイスしてインターセプトし、ペナルティーアークでFKを獲得する。このチャンスでキッカー、MF舟波大地(3年)が左足を振りぬくと、ボールはGKの手と右ポストを叩いてゴールへ吸い込まれた。

 司令塔の鮮やかな一撃で同点。その後もサイドからパワーのある攻撃を見せる向上は25分にも清水の豪快な突破から決定機を迎える。「途中、サイドを簡単にやられて、SBに高い位置を取らせるのを止めようかなと思った」と麻布大附の安彦監督は振り返ったものの、全国大会での戦いを想定して自分たちのスタイルを貫き、引かずにサイドも活用しながら攻め続ける。すると36分、再び鮮やかな崩しから麻布大附が得点を奪う。自陣から細かいパスを10本以上つなぐと、中央で竿下がボールを落とし、塚越がダイレクトで浮き球のスルーパス。ファーストタッチでGKをかわしたMF中山克広(3年)が右足でゴールへ流し込んで2-1とした。

 後半開始から2トップを入れ替えた向上はラインを上げて前から勢いのある守備。小林監督は「ボクの目指している守備はまだまだ。グループでどう取るか」と首を振るものの、前からの守備で試合の流れを引き寄せた向上が押し返して相手ゴールへ迫る。ただ、PAまでボールを運んで同点のチャンスをつくりながらも、CB岸星斗とCB藤田和樹、GK秋山直也(全て3年)中心に守る麻布大附からゴールを奪うことができない。逆にカウンターからピンチに陥った。GK石川僚也(2年)が決定的なシーンを防いで粘った向上だったが、麻布大附が三度狙い通りの崩しからダメ押し点を奪う。

 後半33分、麻布大附は左サイドで中山とパス交換した塚越がダイレクトで前方の阿部へ入れると、阿部がコントロールからスルーパス。これで抜け出した竿下がGKの股間を射抜くシュートを決めて麻布大附が連覇を果たした。

 麻布大附は昨年の全国総体1回戦で、星稜高(石川)にPK戦で敗退。選手権予選では初戦敗退した。一方で星稜は全国総体で8強入りし、選手権では全国大会で準優勝の結果を残している。入学当初から常に全国大会で勝つことを意識している星稜と、全国大会に出ることが目標だった自分たちとの差。チームはその意識を変え、県内3冠と日本一を掲げ、関東大会予選に続いて「狙って」神奈川一の座を奪った。阿部は「辛い思いや悔しい思いもしてきた。三送会(3年生を送る会)の時に自分たちの代は必ず3冠獲りますと宣言した。連覇は狙い通りでした」。次は全国でできるのか、どうかが試される。「昨年は初戦で負けて納得いかなかった」(中山)。「まず1勝。初戦に勝てば乗れると思う」(阿部)という神奈川王者が、今年は全国で勝つ姿を披露する。

(取材・文 吉田太郎)

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