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[総体]涙の雪辱勝利!!栃木制した矢板中央が最終55番目の代表校に!

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[6.24 全国高校総体栃木県決勝 佐野日大高 1-2 矢板中央高 栃木]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)への最後の出場権を懸けた栃木県予選決勝が24日に行われ、矢板中央高佐野日大高に2-1で勝利。3年ぶり6回目の全国総体出場を決めた。全国大会は8月2日に1回戦を開催。全国大会の組み合わせは6月28日に決まる。

 意地の勝利だった。高橋健二監督が「頑張る気持ちだけで上回った。とにかく一生懸命守備をやった」と評した80分間。矢板中央が新人戦、関東大会予選の決勝でいずれも負けていた佐野日大に雪辱して全国切符を勝ち取った。

 たにかく立ち上がりから矢板中央の気迫が上回っていた。ラインをコンパクトに保ちつつ、FW関岡亮太主将(3年)を中心に前線から精力的なプレッシング。佐野日大が前線へ入れようとしたボール、ショートパスを何度も引っ掛けて相手の攻撃のリズムを崩していく。

 2回戦が雨で中止となり、その後のスケジュールが変更されたことで18日の初戦から7日間で4試合というハードスケジュール。特に佐野日大は、初戦の相手が昨年全国3位の真岡高で準決勝の宇都宮高もタレント擁する強敵と気の抜けない戦いを経ての決勝進出だった。斉藤芳幸監督は「1週間で4試合。全然動けなくて、運動量、スピードが使えなかった」と残念がったが、今年県内2冠のチームが動けず、全くいいところを出すことができない。

 佐野日大は立ち上がりの2分に右SB片倉佑基(3年)の右クロスからFW本多孝至(3年)が決定的な左足シュートを放ったものの、直後の3分にMF今泉航希(3年)の左ロングスローからMF石井雄大(3年)に決定的なシュートを放たれるなど矢板中央に押し込まれてしまう。怪我を抱え、この日ともに強行出場だった星キョーワァン川上優樹の2年生CBコンビが気迫の守りで相手の攻撃を跳ね返す矢板中央は、攻撃でも空中戦で奮闘する関岡を起点に石井やMF新藤瑠偉(3年)のミドルシュートなどで攻めていく。そして21分に先制点を奪った。
 
 自陣からGK櫻井武史(3年)がPAへ向けて蹴ったボールを関岡が競ると、こぼれ球を胸トラップしたFW江口大希(2年)が右足で鮮やかなドライブシュートをゴールへ叩き込む。過去の佐野日大との2試合でいずれも無得点だった矢板中央が、2年生FWのゴールで先制。スタンドへ向けて走り出した江口は控え選手たちの目の前でジャンプして右手を突き上げる。この試合に懸ける気迫が結実し、矢板中央がリードを奪った。

 一方、佐野日大はエースFW櫻田亮太(3年)の右足ミドルや、MF津布樂飛雅(3年)のロングスローのこぼれを左SB宇津木峻(3年)が左足で狙ったシュート、また右CKにCB國西達也主将(3年)が飛び込むなど矢板中央ゴールを目指していく。ただ「日本一の応援だと思っている。辛い時は仲間を見て、(ピッチ上のチームメートに)声をかけてやった」という星が入ってくるボールを声を上げながらのヘッドで跳ね返し、各選手が球際で必死に身体をぶつけるように守る矢板中央は得点を許さない。逆に後半10分、左SB秋山友宏(3年)が左サイド後方から入れたFKをファーサイドの関岡が頭で折り返すと、左サイドでフリーの川上が一度シュートミスしながらも右足でゴールへ押し込んで2点目を奪った。川上は「インターハイ予選は決勝しか出られなかった。ここまで連れてきてくれた先輩たちに恩返しできて良かった」とゴールを喜んだ。

 だが佐野日大も諦めない。序盤から続けていたハードワークが影響してか、運動量が徐々に落ちていった矢板中央に対し、交代出場のMF大石駿之介(3年)のキレのあるドリブル突破や左サイドでDFをかわした櫻田の強烈なシュートなど攻勢を強めていく。迎えた22分、右サイドで獲得したFKから、宇津木が左足で鋭いボールをゴール方向へ入れると、ボールは誰にも触れることなくそのままゴールネットへ吸い込まれた。

 1点差。これでさらに士気の上がった佐野日大は最前線で戦う櫻田やFW岩木艦(2年)にボールを集め、同点ゴールを目指した。30分に左クロスから櫻田がヘディングシュートを放ち、終盤は相手をPAに押し込んだ佐野日大だったが、ミスも多く逆にカウンターからピンチに陥るなど攻め切ることができない。そして試合終了の笛。守り切った矢板中央は半数以上の選手が涙を流して喜び、ピッチに突っ伏して感情を露わにしている選手もいた。関岡は「新人戦、関東大会予選で悔しい思いをしていたから本当に嬉しい。立ち上がりから行こうと決めていた。負けたくなかった」。そして、この日で引退するという一部の3年生とともに優勝を喜んだ。

 矢板中央は、まさしく意地の白星だった。栃木を代表する強豪として同じ相手に3度負ける訳にはいかなかった。高橋監督は「先輩たちが築いてくれた伝統がある。今シーズン、無冠で終わりたくないという気持ちだったと思います」と気迫で上回っていた選手たちに目を細めていた。星や川上のほかにも左SB水書祐季やMF藤田祐(ともに3年)が負傷と苦しい陣容だったが、その中で掴んだ全国切符。指揮官は「まだまだ成長する可能性がある。鍛え甲斐がありますよ」と全国総体、その先の選手権を見据えていた。

(取材・文 吉田太郎)

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