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[MOM1076]京都橘FW中野克哉(3年)_同級生たちと挑んだ戦いに燃えたエースが2発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.23 近畿高校選手権決勝 立命館宇治高 2-4 京都橘高]

 反撃の狼煙となる1点目、逆転弾となった3点目を、いずれも左足で決めたのが京都橘高FW中野克哉(3年)だ。

 1点目は後半15分。交代出場したばかりのFW久田和歩(3年)のシュートは相手守備陣に阻まれるが、そのこぼれ球を拾った2次攻撃から、最後は中野が冷静に左足で蹴り込んだ。2点目は延長前半開始直後の1分。久田が前線で起点となって最終ラインの裏へと走り出していた中野へパスを送り込み、GKとの1対1を制してネットを揺らしている。中野は「久田が入って、やりやすくなった」と後半途中から投入された大型FWの存在が自身の持ち味を引き出すことにつながったと賞賛。この2トップの活躍が、チームを大会初優勝へと導いた。

 今大会、中野はいつも以上に強い気持ちで試合に臨んでいる。それはGK一人を除く全員が3年生だったからだ。高校総体・本大会へのメンバー入りへ向けて最後のアピールの場であると同時に、入学から苦楽を共にしてきた同級生たちと一緒に戦える最後の舞台でもあった。「それが僕の中では一番のモチベーションだった。1日で2試合という日もあってホンマにしんどかったけど、チームには一体感があった」。そう話す中野からは“このメンバーでタイトルを獲れたんだ”という喜びが強く感じられた。

 そして、いつもは出場機会の無い選手の活躍についても自ら触れている。これまでBチームでプレーしていたFW大澤侑真(3年)は今大会、4試合で2得点。米澤一成監督も「今大会で成長した。苦しい試合で交代出場からゴールを決めてくれた」と評価しており、前述した久田も含めてポジション争いが活性化されることを「チームの底上げにつながる」(中野)と歓迎する。今季は岩崎悠人(1年)と前線でコンビを組む試合が多いが、タイプの違う選手が切磋琢磨することで個々は成長し、それがチームの飛躍につながることを理解しているのだ。

 選手層の厚みが増しつつあるが、その中でもドリブルと左足を武器にゴールを目指す中野に掛かる期待は大きい。「この勝利は“こういう勝ちパターンもあるんや”というのを見せられた。そういう意味でも大きな一勝」と語るアタッカーが見据えるのはプレミアリーグでの巻き返し、そして全国総体での躍進だ。

(取材・文 雨堤俊祐)

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