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[プレミアリーグEAST]課題の守備安定し、1年生FWが決勝点!三菱養和SCユースが市立船橋下す

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[6.29 高円宮杯プレミアリーグEAST第6節 市立船橋高 0-1 三菱養和SCユース グラスポ]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEASTは29日、第6節を行い、3位・市立船橋高(千葉)と8位・三菱養和SCユース(東京)との一戦は1年生FW平山駿の決勝ゴールによって三菱養和が1-0で勝った。成績を2勝2分2敗のイーブンとした三菱養和は5位へ浮上している。

 プレミアリーグは5月11日の第5節から約1か月半ぶりに再開。その間、昨夏の全国高校総体覇者の市立船橋は激戦区・千葉県予選を突破して全国総体出場を決め、“街クラブの雄”三菱養和は日本クラブユース選手権の関東予選を勝ち抜いて本大会出場を決めた。プレミアリーグ序盤戦で出た課題を修正し、メンバーも入れ替わって迎えた再開初戦。実力派同士の戦いを制したのは三菱養和だった。

「両サイドのスピードを出すところやゆっくり攻めるところ、中断期間に攻撃の部分に取り組んできた」と山本信夫監督が語った三菱養和は序盤からボールを握り、キープ力を発揮していたMF高橋瞭斗、DF池田樹雷人主将の(ともに3年)左サイドで優位に立つと5分、左アーリークロスをファーサイドのMF相馬勇紀(3年)がヘディングシュート。これは好反応を見せた市立船橋の日本高校選抜GK志村滉(3年)がCKへ逃れるが、直後の右ショートコーナーからMF下田悠哉(3年)がヘディングシュートを放ち、7分にも大きな展開から右サイドを破った相馬が右足を振りぬくなど、「アウェーで圧倒してやろうというくらいの勢いがあった」(池田)という三菱養和が出足良く試合を進める。12分には12年U-16日本代表MF松井輝純(2年)の絶妙なスルーパスで抜け出した下田が決定的な左足シュート。ただ市立船橋は再び志村のビッグセーブで難を逃れる。

 市立船橋は、ポゼッションからオープンスペースへのボールを交えて相手を押し下げようとする。深い位置からのスローイン、CKをチャンスに結びつけた市立船橋は9分に左CKをファーサイドのMF椎橋慧也(2年)が頭で狙い、20分には右サイドを突いたFW永藤歩(2年)の折り返しをMF斉間隆希(3年)が右足で合わせる。DFのパスミスや対応の遅れでDFがひっくり返されるようなシーンもあったが、チームメートに厳しいゲキを飛ばしながらプレーしていたDF藤井拓主将(3年)や志村が致命傷になる前に傷口を塞ぐ。そして29分には左スローインから斉間がPAへボールを入れると、1年生MF高宇洋が粘って後方へ落とす。これに反応したFW北澤晃太(3年)の放った右足シュートが左ポストを叩くなど一刺しするシーンをつくり出した。

 相手の狙いに対して、声を掛け合いながら集中した対応を見せていた三菱養和は前半終盤、池田のクロスを下田が折り返し、左中間を縦についたFWディサロ燦シルヴァーノ(3年)が左足を振りぬく。またMF瀬古樹(2年)のセットプレーや池田のフィード、下田、松井の好パスなどから先制機をつくった。一方、ボールを握られる時間が長かったものの、我慢強く戦う市立船橋は後半開始からMF小林瑞知とDF打越大樹(ともに3年)を同時投入。「勝負の時間帯」へ向けて徐々にテンポを上げて行く。10分には左サイドから仕掛けた小林がDF2人を外してラストパス。17分にはポゼッションから縦に仕掛けた小林のクロスをFW矢村健(2年)が決定的な形で合わせた。そして28分には左中間から小林の放った右足シュートがゴールを捉える。ただ初先発のGK斉藤雄太(3年)の好セーブで凌いだ三菱養和は、終盤も抜群の高さを見せ続けていた池田やDF関野太聖(3年)、1年生DF杉山耕二が要所を締めて得点を与えない。

 迎えた35分、試合を動かしたのは1年生の一振りだった。下田が「クラブユース選手権予選から攻撃面でどこからでも取れる感じになっていた。後ろもビルドアップでミスらないし、手ごたえを感じている」と話した三菱養和は、MF齋藤一(1年)からパスを受けた下田が左中間から強引にドリブルで持ち込むと、「平山に託しました」(下田)と後方の平山へパス。これを「0-0で途中出場だった。一仕事しないといけない。決めてやろうと思っていた」という1年生FW平山が右足ダイレクトで打ち抜く。名手・志村の指先を抜けた一撃がゴール左隅へ突き刺さった。プレミアリーグ初得点の平山のゴールが決勝点。終盤、藤井を前線へ上げて三菱養和を攻略しようとした市立船橋だったが、1点をもぎ取ることはできず。三菱養和が1-0で逃げ切った。

 勝機を掴みかけながらも黒星に終わった市立船橋の朝岡隆蔵監督は「この配置で我慢強くやっていたし、守備の収穫はあった。(ただ、まだまだ)1試合通して力を示す力量はない。(また)ギアを入れないといけないところで自分たちでミスをしている」。個々の面でも自分の武器を出す一方で、ハードワークを欠いたり、準備が悪く味方のピンチを招くなど、課題を残す試合となった。

 一方、中断前の柏U-18戦で5失点を喫し、クラブユース選手権予選でも横浜FMユースに5ゴールを献上するなど、DF面に課題を残していた三菱養和。無失点で掴んだ勝ち点3に山本監督は「特に守備のところで粘り強く守ること。(これまでは)崩されるよりもあっけなくやられるところが多かった。準備の悪い失点は止めましょうと。レイソル戦も粘り強さを出せずに負けた。(今後も)何とかきょうのような戦いができたらいい」と今後もこの日のような守備を続けることを口にしていた。

 三菱養和は“街クラブ”でありながら毎年、プレミアリーグ初年度から続けて残留という結果を残し続けている。Jクラブユースや強豪校との戦いの中で残留を果たすことも非常に難しいが、選手たちはさらに上を目指している。池田は「毎年残留争いなので、少しでも上位に絡めるようにしたい。前期が終わるまでに勝ち点を重ねて、いい形で(7月末開幕の)クラブユース選手権に臨めたらいい」。この勝利を自信にしつつ、新たに出た課題をトレーニングで突き詰めて次戦の首位・清水ユース戦に臨む。

(取材・文 吉田太郎)

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