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徹底マークも延長後半13分に決勝アシスト…「メッシは1秒で試合を決める」

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[7.1 ブラジルW杯決勝トーナメント1回戦 アルゼンチン1-0(延長)スイス サンパウロ]

 最後はやはりこの男だ。延長後半13分、アルゼンチンは中盤でボールを奪い、中央で横パスを受けたFWリオネル・メッシが前を向いてドリブルを開始した。

「最初は自分でシュートまで行こうかと思った。でも、ディ・マリアがいるのが見えたんだ。だからパスを選んだ」

 PA内右のスペースにフリーで走り込むMFアンヘル・ディ・マリアの動きを見逃さなかった。丁寧なスルーパスにディ・マリアが左足ダイレクトで合わせ、ゴール左隅に流し込む。PK戦突入かと思われた土壇場での決勝点だった。

「大事なのは次の試合に進めることだよ。簡単でないことは分かっていた」。グループリーグでは3戦連発の計4得点。4試合連続ゴールはならなかったが、試合終了間際にきっちりと仕事をした。

「なかなか点が取れずにナーバスになっていた。PK戦には行きたくなかった。延長戦で決着を付けたかった。今日は運が僕たちに味方したね。これはW杯だ。簡単な相手なんていない」

 FWゴンサロ・イグアインと縦関係の2トップを組んだメッシは攻撃時は中盤まで下がってボールを受け、何とか局面の打開を図ろうとした。しかし、ボールを持つたびに2人、3人とマークが付く。自由は奪われていた。

 スイス代表のオットマール・ヒッツフェルト監督は「3人、4人でマークすることがメッシを止める方法だった」と語った。117分間は、それがうまくいっていた。しかし、一瞬の隙を与えたことが致命傷となった。

「アルゼンチンはメッシだけではない。ディ・マリア、ラベッシ、マスチェラーノ……。素晴らしい選手たちがいる。すべての選手に注意しなければならない。一人ではないんだ」。メッシにだけ気を取られるわけにはいかない。それでもやはり、メッシだけは自由にしてはいけなかった。

「メッシは1秒で試合を決めることができる」。今大会限りでの勇退を表明していたヒッツフェルト監督はそう言って、自身を“引退”へと追い込んだアルゼンチンのエースを称えた。

(取材・文 西山紘平)

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