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冴えわたるファン・ハール采配、GK交代の“奇策”が的中

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[7.5 ブラジルW杯準々決勝 オランダ0-0(PK4-3)コスタリカ サルバドル]

 またも采配が当たった。0-0のまま延長後半もアディショナルタイムに入ったとき、オランダは最後の交代枠でGKティム・クルル(ニューカッスル)をピッチに送った。これまでフル出場を続けてきた守護神のGKヤスパー・シレッセン(アヤックス)がベンチに下がる。ルイス・ファン・ハール監督の奇策とも言える采配だった。

 しかし、これが見事に的中した。コスタリカの2人目、5人目のキックをクルルがいずれも左に飛んでストップ。PK4-3で競り勝ち、2大会連続の4強入りを決めた。試合後、記者会見に臨んだファン・ハール監督は胸を張って言った。

「ティム・クルルはペナルティーキックを止めるのに最も適したゴールキーパーだ。彼はより長いリーチを持っており、PKを止めることでは他のゴールキーパーよりも良い記録を持っていた。クルルは(キッカーから見て)右のコーナーに毎回毎回、飛んだ。そして2本止めたんだ」

 PK戦直前に交代を命じられたシレッセンは驚きの表情を浮かべ、ベンチではペットボトルを蹴る仕草も見せた。不満がないはずはない。それでも指揮官は「交代は、監督である私が決める」としたうえで、「シレッセンには事前に何も伝えていなかった。試合前にこうした情報に触れるのはよくない。彼にとっては失望であり、彼の準備と集中を邪魔したくなかったからだ」と明かした。

 PK戦に突入すると、シレッセンも気持ちを切り替え、クルルのセービングとチームの勝利を祈っていた。コスタリカの5人目、DFマイケル・ウマーニャのキックをクルルが弾き出すと、他のチームメイトとともにシレッセンも全速力でクルルのもとへ駆け寄った。

 次期マンチェスター・ユナイテッド監督はシレッセンへのフォローも忘れない。「次の試合、だれが先発するかということに疑問の余地はない。シレッセンだよ」。GKの交代という“賭け”に勝った名将は「チームスピリット、団結力という意味で、このチームは私がこれまでに率いてきたチームの中でもベストなグループだ」と、確かな自信を深めていた。

(取材・文 西山紘平)

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