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[プレミアリーグEAST]勝負所で分かれた明暗、東京Vユースが青森山田に競り勝つ

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[7.6 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 東京Vユース 2-1 青森山田高 ヴェルディG]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEASTは6日、第7節を行い、6位の東京ヴェルディユース(東京)がホームに8位の青森山田高(青森)を迎え撃った一戦は、2-1で東京Vが制した。

 前半は東京Vがボールを握って攻め続けた。速いテンポで左右へ幅広くボールを動かし、局面ではFW神谷優太やMF井上潮音(ともに2年)、MF冨樫凌央(3年)が個人技でマークを外してダイレクトのパスワークやMF渡辺皓太(1年)のスルーパスなどで切り崩そうとする。U-19日本代表MF中野雅臣(3年)の中距離砲もゴールを脅かした。ただ、冨樫剛一監督が「山田さんは自分たちよりも準備が早い。自分たちは遅かったし、(攻撃で)上回ることができなかった」というように5バック気味に守り、隙を見せない青森山田に決定打を浴びせることができない。

 FW丹代藍人(3年)とDF常田克人(2年)が怪我で離脱中の青森山田は前半、自陣で我慢する時間帯が続いた。だが、ボールを奪うとポゼッションでリズムをつくり、右MF小笠原学主将(3年)の走力を活かすなど、一瞬のギアチェンジから一気に相手陣内へなだれ込んでいく。17分には小笠原の右クロスをMF山下優人(3年)が大外へ回りながらダイレクトで決定的な左足シュート。必死にコースを消した東京Vの守備の前に得点することはできなかったものの、縦パスからPAへ飛び込んだMF霞恵介(3年)が上手くボールを収めてシュートを放つなどチャンスもつくり出した。

 ただし、先制したのは東京Vだった。31分、右中間でFW室町仁紀(3年)がFKを獲得すると、キッカーは中野。「GKの位置は見ずにコースだけを狙って蹴りました」という一撃は、壁のわずかに上を越えてニアサイドのゴールネットへ吸い込まれた。エースの鮮やかな一撃で東京Vがリードを奪った。

 だが、後半は立ち上がりから青森山田がプッシュする。「前半は受け身になってしまったので前から奪いに行こうと話をした」と小笠原が振り返ったように、開始直後からエンジン全開の青森山田は小笠原がクロスへ持ち込むなど相手ゴールへ迫ると、山下の右CKをCB菊池流帆(3年)がヘディングシュート。このシーンではゴールライン手前でDFがクリアしたボールをMF野口雄輝(3年)が左足で狙うが、これもDFにかき出されてしまう。それでも4分、再び山下の右CKから186cmDF菊池がずば抜けた打点からヘディングシュートをゴールへ突き刺して同点に追いついた。

 この後試合展開は拮抗したが、流れは山下の1タッチパスや野口のドリブル突破などでボールを運び、敵陣でFK、CKを獲得した青森山田。前半よりも仕掛けの回数が増え、DF小坂悠登(3年)のヘディングシュートや野口のミドルシュートで勝ち越し点を狙う。そして26分には左サイドでボールを受けた野口がDFの前に潜り込んでスルーパス。これで抜け出した交代出場のMF野宮奨勝(3年)が右足を振りぬいた。だが、GKが弾いたボールはゴールマウスに直撃。跳ね返りに反応したFW松木駿之介(3年)の左足シュートも枠を捉えられなかった。

 勝負どころで決めきることのできなかった青森山田を、東京Vが仕留める。「きょうは苦しいゲームだったと思う。ただ(重要なことは)『苦しくて、何ができるか』。我慢して、相手が足止まったり、足を攣らせるまで自分たちでボールを動かしてスペースをつくったりしていた」(冨樫監督)と地道に攻め続けた東京Vが次の1点を奪った。後半39分、中野の右FKを中央でマークを外した安在達弥(3年)が決勝点となるヘディングシュート。右SBで先発し、後半途中からFWへポジションを移していた安在の一撃によって東京Vが勝ち越した。

 青森山田は40分に中盤で奮闘していたMF岸本悠生(3年)がMF谷口友星(3年)のドリブルを背後から止めて一発退場。数的不利となった中でも1年生GK廣末陸がビッグセーブを見せ45分にはPAのルーズボールを菊池が収め、交代出場のFW田中優勢が反転シュートを放ったが、追いつくことはできなかった。「90分という形で上手くコントロールできない。危ないところに対する危機感がない。同じことを繰り返している」と黒田剛監督が首を振った青森山田は勝負どころでの不用意な失点で2連敗。今季の全14失点中11失点が後半に集中と課題が浮き彫りになっている。

 一方、安在が「(今年のチームは)最後までみんなマジメに走るので、75分を過ぎてから点を取れたりする」と説明し、中野が「我慢して勝ったのは大きかった。難しい試合になればなるほど、みんな集中して『ここ踏ん張りどころ」と声をかけたり、勝敗を分けるところを意識してできている」と語った東京Vは3勝1分3敗のイーブンとして、巻き返しへ勢いをつけるゲームとした。

[写真]前半31分、東京Vユースは中野(右)が先制FK

(取材・文 吉田太郎)

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