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狂ったファン・ハールの歯車…元教え子のPKストップに「PKの止め方は教えてない」

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[7.9 ブラジルW杯準決勝 オランダ0-0(PK2-4)アルゼンチン サンパウロ]

 もう交代枠は残っていなかった。準々決勝のコスタリカ戦に続いて2試合連続でPK戦に突入したオランダ。コスタリカ戦ではPK戦目前の延長後半アディショナルタイムにGKイェスパー・シレッセンに代えてGKティム・クルルを投入し、クルルがPK2本をストップする活躍を見せた。しかし、ルイス・ファン・ハール監督は動けなかった。動きたくても動けなかった。

「もしイェスパー(・シレッセン)を代えるチャンスがあれば、そうしていただろう。しかし、すでに3枚の交代枠を使っていたので、それはできなかった」

 後半開始から「イエローカードをもらっていた」DFルーノ・マルティンス・インディを下げ、DFダリル・ヤンマートを投入。後半17分には故障明けのMFナイジェル・デ・ヨングを「リスクを冒したくなかった」と、MFヨルディ・クラーシに代えた。延長前半6分には3枚目の交代カードを使い、「非常に疲れていた」というFWロビン・ファン・ペルシーを下げてFWクラース・ヤン・フンテラールを投入した。

 延長戦で勝負を決めたかったのか。確かに、何度も腰に手を当てるなど、ほぼ棒立ち状態となっていたファン・ペルシーは疲労の限界だった。しかし、コスタリカ戦ではPK戦の1人目としても成功させていたキャプテンの交代は、さまざまな形で歯車を狂わせた。

 先攻のオランダは、1人目のキッカーにDFロン・フラールを送った。「フラールはピッチ上でベストの選手だった。そして、自信も持っていた」。しかし、フラールのキックはGKセルヒオ・ロメロに阻まれる。「だれもが知っているように、PKは簡単ではない」。指揮官はそうかばったが、3人目のMFヴェスレイ・スナイデルもロメロに止められ、PK2-4。「アルゼンチンはトップのチームであり、トップの選手たちがいる。我々はそのチームに負けなかった。PK戦は運に左右される」と強がった名将は「PK戦で負けるというシナリオは最悪だ。大きな失望だ」とうなだれた。

 指揮官にとって、ロメロはかつての教え子でもあった。ロメロが20歳のとき、アルゼンチンのラシンから移籍したのがオランダのAZ。当時の監督がファン・ハールだった。「素晴らしい才能を持っている選手だったので、我々が彼をヨーロッパに連れてきた。AZが彼にとって初めてのヨーロッパのクラブであり、そこでの監督が私だった」。あまりにも皮肉な結末。記者から「PKの止め方も教えたのか?」と聞かれたファン・ハール監督は「失礼な質問だ」と表情を一変させ、「私はジョークは嫌いだ。彼にPKの止め方は教えていない」と憮然と答えた。

(取材・文 西山紘平)

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