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[Fリーグ]今季初出場の湘南FP久光重「真剣勝負を楽しめた」

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[7.12 Fリーグ2014/15 第4節 湘南0-6名古屋 小田原]

 自身のいるべき場所に、戻って来た。肺ガンを抱えながら現役選手としてプレーを続けている湘南ベルマーレ(Fリーグ)のFP久光重貴は、12日に行われたFリーグ第4節の名古屋オーシャンズ戦でベンチ入りし、前半9分に最初の出場機会を与えられると、約2分間の出場機会を4度与えられた。チームはFリーグ7連覇中の絶対王者に0-6で敗れたが、久光重もフィジカルの強さや安定したボール回しを見せて存在感を示した。

 ホーム開幕戦での出場に向けて、コンディションを調整してきた久光は、「楽しめましたよ」と、まずはピッチに立てたことを喜んだ。

「楽しかったし、今日やれたことがあったし、また一つ見えたことがあった。それを毎日、毎日、発見しながらやっていきたい。僕なりにね。体が動くうちに、どれだけできるのかなっていうのはあるけど、何より、今日までプレーできない期間がすごく長かったから楽しかったし、この真剣勝負を楽しめた。同じスポーツを、同じことを毎日やっているかもしれないけど、真剣にやるから、『勝った』『負けた』があるし、『勝った』『負けた』で、また『楽しい』『悔しい』がある。それをまた味わえた」

 ピッチに入った直後から、アグレッシブにボールを奪いに行き、ボールを前へ運ぼうとした久光重は、そのプレーの意図を説明する。「やっぱり、後ろ向きになりたくなかった。何でも前に、前に、やりたかった。自分の良さもそこにあると思うし、自分の気持ちとしても、前に1回出たら引くとか、構えるのではなくて、守備でも攻撃でも前に出続けて勝負したいなと。それを真剣勝負の中でやりたかったし、今日の試合に関しては、逃げたくなかった」。

 ただし、そこに発見があったと苦笑する。

「逃げたくなかった…。だけど、ときには逃げる勇気も必要なんだっていうのが、今日の発見だよね。今までも、『諦める勇気』とかは発見してきたけど、『逃げる勇気』も必要だなと。今日の一つのプレーで言うと、前でボールをキープして、(北原)亘にボールを取られて、僕がファウルしちゃった場面。やっぱりあそこで、自分が見えていなかったというか。何も選択肢がなくなったときに、外に(ボールを)出して、自分も良い状態でDFをするのか。無理に何かをやろうとして、ボールを取られて後ろからファウルをしてしまうのか。『これは、何もできないな』って感じたときには、逃げることをしないといけないなと思ったね」

 この点は、湘南にとっての一つの課題でもある。前半、後半を通じて、湘南は早い時間帯にファウルを重ねて、相手に第2PKを与えてしまった。実際に3失点目は、日本代表FP森岡薫に第2PKを決められたものだ。勝利できていない焦りもあり、一人ひとりが何かをしないといけないと強く感じ、攻守に無理をして、ファウルをしてしまう。この名古屋戦では、そんな悪循環に陥っていた。

 圧倒的な雰囲気をつくってくれたサポーターに、勝利を届けられなかったこと。もう一つ、久光重には悔やまれることがある。「今日、シュートを1本も打てなかった。1本でも打っていれば、入っていただろうなって思うんだよね。この小田原アリーナの雰囲気だったらって思っていたんだけど、そのチャンスすらもらえないと、やっぱり…次につなげないとね」。

 次節も湘南は小田原アリーナで、ホームゲームを戦う。「今回、試合に出られなかった選手も、また練習から必死になると思うし、僕もそういう選手たちにプレッシャーを与えていきたい。今日、久しぶりにプレーして試合の雰囲気というか、感覚もつかんだし、前も復帰2試合目でゴールを決めたのでね。楽しみますよ」。フットサル選手の日常に戻った久光重は、「じゃあ、また」と言って、チームメイトの待つロッカールームへ向かった。

(取材・文 河合拓)

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