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[総体]ユース取材ライター陣が推薦する「全国総体一押し選手」vol.2:前橋育英MF渡邊凌磨(3年)

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平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技
特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国総体一押し選手』」
第2回:文・川端暁彦


 昨年のU-17ワールドカップ。16強進出を果たしたこの大会で主に左FWとしてプレーした渡邊凌磨(前橋育英高)は、まばゆい輝きを放った。記録したゴールはチーム最多の3つ。手応えを得て、その知名度も大いに高まったが、直後の高校サッカー選手権群馬県予選では自身の放ったシュートが不運の壁に跳ね返されて、敗退。大きな失意も味わった。

 クラブレジェンド熊谷という新設チームの一期生だった渡邊は、スタート時は決して強豪と言えなかったチームで心技体を磨いてきた選手だ。そういったチームにいたからこそ発掘されるまでに時間を要したタレントだったとも言えるが、結果として大きな責任を背負う中でプレーした経験は彼の中で確かに生きているように見える。

 もちろん、他人任せにしない気質がマイナスに作用してしまうシーンもあるのだけれど、たとえ局面で孤立しても動じることなく戦える姿勢は一個の特長だ。逆境で強さを見せるメンタリティーもまた、中学時代に養われた部分が大きかったのではないか。強いチームにずっといた選手は、どうしても厳しく押し込まれる展開や追い掛ける展開で、あるいは自身が組織の助けを得られずに孤立したときに弱さが出てしまうものだ。渡邉にはそれがない。

 今年の春、イギョラ杯で彼の姿を観たときは(実はその後に負傷してしまうのだが)FWとして孤軍奮闘する姿を見せていた。同時期に開催されたサニックス杯国際ユース大会へ僚友の鈴木徳真が招集されていたこともあって、自分で何とかしようという意識がより働いたのかもしれない。「彼は本当に良い選手ですね」と対戦した三菱養和ユースの指導者も舌を巻く技巧を見せ付けていたが、少し強引に過ぎたかもしれない。それが良さでもあるのだが、周囲との意思疎通が十分ではないように見えた。

 次に観たのはプリンスリーグ関東での一戦だ。対した相手は横浜FMユース。今度のポジションは左MFである。U-17代表でやっていた位置に近い。山田耕介監督は配置転換の理由を「やっぱり左サイドからキュッと入っていく形のほうが彼の個性が生きる。センターフォワードとして相手を背負ってもできないわけではないが、個性が出ない」と説明する。実際、この試合では外から中に入ってくる彼を相手DFが捕まえ切れず。神出鬼没の動き出しに加えて個での打開力もあるという彼の個性を生かせるのは、やはりサイドなのかもしれない。

 もう一つ、個人的に彼のプレーについて感じている特別な「資質」がある。それは浮き球の処理だ。ボレーシュートが上手く、実は試合の中での実戦的なヘディングも結構強いのはこれが大きいと見る。秀でた空間認知力はトラップでも生かされているが、逆サイドからのクロスに合わせるプレーも大きな脅威となることだろう。香川真司タイプかと思わせておいて、実は岡崎慎司的な資質もある。それが渡邊凌磨である。


執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』前編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動。『J論』( http://j-ron.jp/ )編集長を務めているほか、ライターとして各種媒体に寄稿。近著『Jの新人』(東邦出版)。

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【特設ページ】高校総体2014

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