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[総体]2014夏、注目チーム特集:史上4校目の地元Vへ!山梨学院が地元への感謝示す

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 夏の高校サッカー日本一を争う平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技の開幕(8月1日:開会式、8月2日:1回戦)まであと1週間を切った。今回の開催地は山梨県。過去10大会の全国総体で開催地代表がベスト4へ進出したのは一度もなく、過去48回の歴史でも地元Vを成し遂げたのは75年の韮崎高(山梨)、91年の清水東高(静岡)、03年の国見高(長崎)の3校しかない。移動などもちろん地元に有利な面はあるものの、簡単に勝つことができないのが全国総体。だが今回、山梨第1代表として出場する山梨学院高はDF山中登士郎主将が「この暑い山梨。入りも難しいと思うけれど(地元で)詰めて準備できる。日本一を目指している」と語り、10番のMF小川雄大も「目標は日本一。高いところを目指したい」と日本一という目標を掲げてタイトルに挑戦する。

 07年大会以降、全国総体では7年連続で関東勢がタイトルを取り続けているが、それに続きそうなチームがこの山梨学院だ。09年度高校選手権で優勝した時の司令塔・MF碓井鉄平(現長崎)やFW加部未蘭(前北九州、現福岡大)、MF白崎凌兵(現富山)のようなずば抜けた存在こそいないが、激戦区のプリンスリーグ関東では前橋育英高に2-1で勝つなど対高校チーム勢は無敗で、サブ組中心で臨んだ天皇杯山梨県予選でも大学生、社会人を破って優勝するなど層厚く戦力は充実している。

 今大会を代表するDF渡辺剛と危機察知に優れた大野佑哉の両CBはともに高さを備え、中盤のキーマンであるMF大場祐樹や安定感の高いGK古屋俊樹も加えた守りは今大会トップレベル。攻撃陣にも188cmFW原拓人や快足MF伊藤大祐、MF小川雄大ら試合を決める選手がいる。また吉永一明監督が「絶対に逃げないし、気持ちを表現できる選手」というMF福森勇太や山中が闘争心を前面に出して戦う。地元の利、そして11年度の選手権以来遠ざかっていた全国舞台へのモチベーションも非常に高いだけに楽しみな存在だ。

 6月の全国総体出場決定後は天皇杯やプリンスリーグ関東という公式戦以外はトレーニング中心の調整。過去に出場した全国総体時のように大会直前に遠征・対外試合を行うということをほとんどせず、地元での大会へ向けて腰を据えてじっくりと調整を行ってきた。「強いとか上手いというチームが必ず勝っている大会ではないと思う。タフに戦えるチーム、頑張っているチームがベスト4に残っている。自分たちにもチャンスがない訳ではないと思っているし、5試合を戦うつもりで準備している」と吉永監督。その指揮官が「タフなヤツしか残さないつもりでやってきた」と語ったように、夏の連戦へ向けて長い距離を走るトレーニングやフィジカル強度の高いトレーニングを重ね、疲労の残った状態でも実戦でしっかりと戦ってきた選手たちがメンバー入りを勝ち取った。

 加えて7月に入り、チームが手ごたえを得た2試合がある。それは山梨県代表として出場した天皇杯1回戦の明治大戦とプリンスリーグ関東の前期最終戦となった湘南工科大附高戦だ。明治大戦は主将の山中らが不在だったものの、大学サッカー屈指の実力を持つ明大相手に0-2と善戦。3年前の選手権のヒーローであるFW和泉竜司にゴールを奪われたが、「センターが割られることはなかった」と吉永監督が振り返ったように渡辺と大野のCBコンビはここでも力を発揮した。それまでのハードトレが影響してか走力を発揮することができず、カウンターでやり切ることができないなど課題を残したが、指揮官も及第点を与える内容。そして全国総体前最後の公式戦だった湘南工科大附戦では守備の柱・渡辺を欠いたものの、1-1の後半アディショナルタイムにFW宇佐美佑樹が決勝点を奪って2-1で勝利。吉永監督は「いいゲームではなかったけれど、勝負強さを出せたことは凄い」と語り、渡辺不在でも勝ったことがチームに自信を植え付けた。

 そして22日からは自宅生の選手もサッカー部寮に入り、最終調整をスタート。チームの代表として臨むという責任感がまた増している。吉永監督は「地元開催ということでいろいろなお世話になっている人へ感謝の気持ちを表すチャンス。最終日まで残ることが大切。いつもは対戦しているような関係者にとっても地元のチームが残っていることがいい意味で刺激になると思う」という。昨年は部内の暴力問題が発覚。いろいろな人たちの支えのお蔭で全国大会まで戻ってきた。今大会はその人たちへの恩返し。そして観戦するであろう、地元の小学生や中学生たちが誇りに思えるような戦い、活躍を見せる。

(取材・文 吉田太郎)
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