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先制“焦らし”弾の横浜FC MF寺田「体感で5秒くらいあった」

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[7.26 J2第23節 横浜FC4-0磐田 ニッパ球]

 まだか、まだか。そうやきもきした横浜FCのファン・サポーターも多かっただろう。前半22分、PA内に放り込んだクロスをジュビロ磐田GK八田直樹がパンチングして、MF寺田紳一がボールを回収したときのことだ。PA内でフリーになっていた寺田だが、ボールの処理に手間取り、なかなかシュートを打たなかった。その場面を、こう振り返る。

「GKが弾くとは思っていなかったので、正直、準備はしていませんでした。キャッチするかなと思っていたら、ボールが目の前に来たので『あ、どうしよう』と思って。もうオレの体感では5秒くらいありましたね。『めっちゃ空いているけど、どこに蹴ろう?』と思って(笑)。慌てることはなかったですが、『冷静に蹴れるからこそ、外しそうやな』と思ったんですけど、入ってくれて良かったです」

 山口素弘監督は「良い流れの中で、1点入るかどうかは非常に大きかった。前半、寺田が入れてくれた」と、この得点の意味の大きさを口にし、「今日に関しては点を取ってほしい選手が点を取ってくれた。それは他の選手にも大きいかなと。キャプテンの寺田も、ずっと悩んでいたかもしれない」と、10番を背負い、キャプテンマークを巻く寺田を気遣った。

 自身がゴールを挙げたことに加え、チームが一つの悪いパターンから脱け出せたことにも、寺田は満足する。「前回の磐田戦もそうだったのですが、1点取ってから、相手に点を取られてしまう。そういうクセが、今年は本当に多かったので。もう、そういうのは失くして、逆に『守備のことよりも、攻撃にもっと行こう』と、みんなで中で話していましたし、結果、そういうふうにできました。前半、最後の方はちょっと押された時間帯もありましたが、あそこをゼロで抑えられたのが、GKを含めてすごく良かったかなと思います」。

 横浜FCの課題は明白だ。前半戦を終えて失点数22は全体の10位だが、得点数はワースト4位の16点。いかに、良いリズムのときにゴールを決めきるかが重要になってくる。この磐田戦ではリーグ前半戦の4分の1に値する4ゴールを記録したが、先制後の良い流れの中でもサイドから入れたセンタリングが、PA内でフリーになっていた味方に合わずに、追加点を取れなかった。

 山口監督は「先制後も流れが良かったのに点が入らなかった。逆に、ハーフタイムに選手たちも『これじゃダメだ』という感じが見えた」と、後半に向けての発奮材料になったことを明かしたが、やはり点を取れるときにとっておかなければ、後々苦しむことになるだろう。

「今日に関しては、センタリングをもっとしっかり合わせていたら、(前半だけで)4点くらい取れていたような感覚もあった」と寺田も認める。そして、「ああいうところは、自分たちの足りない、甘い所かなと思います。先制して、前半のうちに2点目を取りたかったし、そこは意識して、最後の部分にもっと集中力を持っていきたい。あそこが一番大事な部分だと思うので、そこは練習から意識して、ただ単にシュート練習をこなすだけではなく、やります」。これまで負けて課題と向き合うことの多かったチームが、ようやく勝ち点3とともに課題に向き合えるようになってきた。

(取材・文 河合拓)

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