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一時はドイツ代表待望論も出た酒井高徳はFIFAワールドカップで何を感じたのか

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 2014 FIFAワールドカップ ブラジルはドイツ代表の24年ぶりVで幕を閉じた。一方、日本代表はと言えば、1分2敗のグループリーグ敗退。世界との差を痛感させられる結果となった。チーム最年少で選出されたDF酒井高徳だが、昨年のFIFAコンフェデレーションズカップに続き、今夏のワールドカップでも出場機会が与えられることはなかった。一時はドイツ代表の待望論まで出た男は、今大会をどのように振り返るのか。ゲキサカが直撃した。

―2014 FIFAワールドカップ ブラジルが終わりました。今、率直にどんな心境ですか?
「終わってすぐはやっぱり悔しかった。出れなかったことももちろんですし、いろんな意味の悔しさがあった。でも少し時間も経った今はもう4年後までどうしていこうかなという風に目が向いています。新しいほうにスタートするというか、今では自分の中でも徐々に準備していっているという方が強いですね」

―酒井選手もプレーされているドイツが優勝するという結果に終わりました。ドイツ代表の強さをどのように感じましたか?
「ワールドカップを見ていて、前回大会から比べてもサッカーに向かう姿勢というかスタイルが明らかに違うなと感じました。本当にサッカーって難しいなと思った。なんで日本が結果が出なくて、ドイツが結果が出たかと言われると、ここっていうポイントだけじゃないと思うんです。例えば個人の差というのは絶対あったと思うし、各国のスターの選手というのは、明らかにレベルが違うなと感じましたし」

―個人の差という部分ですが、ドイツでプレーされている酒井選手は普段から感じることは多いと思います。
「予想を超えるような驚きはなかったのですが、個人的な選手に関してはレベルが違うなとは改めて感じました。日本と対戦したチームにも見られたし、ワールドカップ全体でも多く見られました。日本は全員で守って、全員で攻めるという意識が高すぎるせいか、個が飛び抜けた選手が少ないのかなと感じました。もちろん中心選手はいるし、それは間違いないのですが、例えばコロンビア戦でハメス・ロドリゲスが出てきたときみたいな違いを生み出せる選手が日本にいたかというと、いなかった。あれだけ流れを変えられる選手が日本にはいなかった。それは先発とか途中は関係ない。そういう選手がいるかいないかだったのかと考えると、個人に圧倒的な差があったのかなと思います」

―彼らのような選手が出てくるオーラというか雰囲気はピッチの中でも強烈に感じるものなんですか?
「ハメス・ロドリゲスが交代で入ってきたときに確実に変わりましたよね。ベンチにいた僕たちも、なんとなくヤバイなという雰囲気を感じた。嫌な選手だというのはスカウティングから分かっていたので、ここで使ってきたかと。実力はテレビでしか分かってなかったですけど、実際見るまではそこまでインパクトはなかった。でも入ってきて、見て、やっぱりすごいんだなと感じた。現時点では日本にはそういう選手がいないのかなと思います」

―普段のリーグ戦で対戦する中でも経験することはありますか?
「ありますね。無名と言ったら失礼ですけど、代表に入っていない選手でもそういった能力を持った選手は練習からも感じます。そういうことを感じる意味でも、向こうに行ってプレーすることは非常に大事。それは感じることもそうですけど、自分が表現するという意味でも、向こうにいなきゃ出来ないことなのかなと思います」

―向こうはそういった雰囲気を持った若くていい選手も次々に出てきています。
「下の世代から見ているわけではないので、はっきりとは分からないですけど、ただ1つ言えることは日本より若くていい選手が多いなという印象です。少し体が大きかったら有望に見られたりというのはありますけど、ユースの年代だったら、体の違う選手がどこにでもいる。そういった育成をしているからなのか、向こうの体質というか血なのかなとも思いますが…。でも日本がマネしなきゃいけない部分は必ずある。体的に無理なら、近づけるような育成プログラムを組まないといけないのかなと思います」

「フィジカルの差を言ってしまうと、今まで日本がやってきたことが違うとなってしまう。フィジカルコンタクトを避けて、全員で攻める、全員で守るという戦術をやるんだったら、もっと組織でプレーするサッカーに個で脅威を与えないといけないのかなと。選手の調子だったり、気候だったりで本調子じゃなかった選手もいると思いますけど、脅威になれる選手がいたかというといなかった。組織で戦ってて怖さがなかったら、全く意味がない。その怖さがあったかと言ったら…。考えるといろいろ出てきちゃいますけどね」

―日本も今回、サポートメンバーで高校生2人を帯同させました。
「サポートメンバーの2人と一緒に練習してみて感じたのは、すごく上手い。サポートメンバーの2人を17歳でこのレベルかと思うと、23歳の僕とそんなに変わんないなと思っちゃう。もっとやんなきゃいけないのかなと。今回のワールドカップ全体を見ても同世代が活躍している。下の世代を見ても思うところはある。若干焦ってるというか、もっと上手くならないとマズイぞ、と感じている。少しドイツに行って、試合に出れてるだけでいい選手であればそれでいいのかもしれないけど、俺はもっと上でやりたい。もっと引っ張ってやっていきたいと思っている。今回のワールドカップを経験できなかったことで、4年後に向けてもっと成長したというのがあるので」

―4年後にはいろんな意味でステップアップしていたいですね。
「今のクラブでしっかり結果を出したあとの話だと思いますけど、後々はクラブもステップアップしていきたい。脅威を与える選手の話をしましたけど、そういった選手に共通して言えるのはすごい経験をしている選手が多いということ。(内田)篤人くんだったりはそうですけど、UEFAチャンピオンズリーグなどで戦った経験値がワールドカップでは必要なのかなと思った。現に(日本代表では)篤人くんが個人的には一番パフォーマンスがいいと思いましたし。もちろん実力もあってのことですが、そういった大舞台で本領を発揮できる経験値とかメンタリティーだとかは、リーグでも上位を争っている経験値が国際舞台では生きるのかなと感じました。日本人選手はまだまだそういった経験値のある選手が少ないのかなと思います。個人的にもこの4年間で必要なことの一つなのかなと思っています」

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(取材・文 児玉幸洋)

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