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[総体]強豪対決は大津がPK戦で立正大淞南振り切る

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[8.3 全国高校総体2回戦 大津高 2-2(PK5-4)立正大淞南高 韮崎市営御勅使サッカー場]

 夏の高校日本一を争う平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技は3日に山梨県の各地で2回戦を行い、韮崎市営御勅使サッカー場の第1試合では、大津高(熊本)が2-2で突入したPK戦の末に立正大淞南高(島根)を5-4で下した。

「相手は人に対して、しつこく来るチーム。ウチのワンツーやパスにもついてくるので、背中(相手の背後)を使っていこう、という狙いだった」と振り返った大津の平岡和徳監督が、「うまく取れた」と語った先制点は、前半立ち上がりの9分に生まれた。DF倉本龍吾(3年)が最終ラインから、立正大淞南のCBの間にスルーパスを送ると、これに反応したFW一美和成(2年)が中央を割って抜け出し、最後は左足で流し込んでネットを揺らした。

 前日の1回戦で同じように前半に先制されながらも、後半にセットプレーで2得点を奪って逆転し、海星高(三重)を下している立正大淞南は、この日は前半から反撃に転じた。しかし、15分にCKからDF中村健人(3年)がネットを揺らしたものの、その前にオフサイドがあってノーゴール。17分にはDF平田健人(3年)のパスからMF藤井潤太(3年)が狙ったミドルシュートが左ポスト、27分には中村のセンタリングからFW井上直輝(2年)が放ったシュートが、今度はクロスバーに当たるなど、ツキにも見放されて得点できず、前半はそのまま0-1で終了した。

 大津はリードして迎えた後半、7分に追加点を奪う。MF河原創(2年)のセンタリングを中央で一美が落とし、これを受けたMF葛谷将平(3年)が左足を振り抜くと、低い弾道のシュートが鮮やかに右スミに決まった。「思いのほかうまく、早く入った」(平岡監督)2点目だったが、ここから試合の流れは一変する。

 立正大淞南の南健司監督はハーフタイム、選手たちに「0-2になっても絶対にいける。慌てずに落ち着いて、やってきたことをやれ」と指示を出しており、果たしてその通りになった直後から猛反撃が始まった。まずは10分、MF石丸正太郎(3年)の左からのセンタリングを、1回戦でも流れを引き寄せる同点ゴールを決めた井上がヘッドで決めて1点差。すぐさま1点差に追い上げたことで、立正大淞南の反撃モードが加速し、たたみかけるように17分には、藤井のセンタリングを石丸が蹴り込み、2失点目から10分間で2得点を挙げ、同点とした。

 その後も、立正大淞南が大津を圧倒。持ち味のドリブル突破やコンビネーションプレーを、両サイドや中央で何度も執ように繰り返し、セットプレーのチャンスも何度も迎えた。だが、再三のフリーでのシュートがジャストミートせずに枠を捉えないなど、決め切ることができず。結局、そのまま2-2で前後半を終了し、勝敗の行方はPK戦に持ち込まれた。

 先に外したのは後攻の大津の2人目、DF野田裕喜(2年)だが、ここで活躍したのが大津GK井野太貴(3年)だった。「サイズはない(身長174cm)けど、ボールストップの技術が高いので信頼して使っている」という平岡監督の期待に応え、立正大淞南の4人目、藤井のキックを止めると、6人目、MF上村大悟(2年)のキックもストップ。逆に大津は他の5人が全員成功し、PK戦5-4で競り勝って3回戦に駒を進めた。

 優勝候補の一角にも挙げられていた立正大淞南は、3回戦で敗れた昨年と同様にPK戦での敗退となった。蒸し暑さの中でも衰えない運動量、武器の一つであるセットプレーでのチャンス量産など、持ち味の攻撃力は発揮したものの、2点のビハインドからの逆転はならず。南監督は「勝てなかったのは、何かが足りなかったから」と語り、選手権に向けた巻き返しを誓った。

「2点目を奪った後の1失点目が早かった」と振り返った平岡監督は、「それまでのコンセプト通りに、長いボールを使って(2点目を奪った後の)5分、10分を警戒しておけば、苦労するゲームじゃなかった」と苦笑いを浮かべた。だが「トーナメントでは必ず1回はPK戦がある。1人は外したけど、そのほかは普段の練習通りに、しっかり決めてくれた」とも語り、競り合いを制した選手たちの奮闘を称えた。

 大津は4日の3回戦で、初芝橋本高(和歌山)と対戦する。3連戦の3試合目だが、平岡監督は「明日また新しい試合ができるのだから、僕たち(スタッフ)もモチベーションを作ってあげなければいけない。疲れている、で終わったらサッカーをやっている意味がない」と語り、運動量がポイントの一つになりそうな次戦を見据えていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』) 

(取材・文 石倉利英)
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