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[MOM1110]東福岡MF増山朝陽(3年)_Jも注目の破壊力持つ“ヒガシのクリロナ”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.6 全国高校総体準々決勝 鹿児島実高 2-4 東福岡高 韮崎中央公園陸上競技場]

 たたずまい、仕草、ヘアスタイルは意識的に「好きな選手」である本家に似せているのだろうが、迫力のある突破と相手に当たられてもビクともしない跳躍からのヘディングもFWクリスティアーノ・ロナウドを彷彿とさせる。J1の複数クラブが熱視線を送る東福岡高(福岡)の逸材MF増山朝陽(3年)が「全然ダメでした」と首を振りながらも、サイドの守りを破壊する圧巻の突破力に空中戦の強さも合わせて2アシスト。東福岡の17年ぶりとなる4強入りに大きく貢献した。 

 前半2分にMF赤木翼の左クロスをファーサイドで頭で落としてMF中村健人の先制ヘッドをアシスト。チームに先制点をもらたした後は、「正直キツイっす」と苦笑いしながらも右タッチライン際から何度も何度もスペースへ飛び出し、背後からの難しい浮き球も足先での巧みなボールコントロールで止め、そこからパワフル且つスピード抜群のドリブルを繰り出した。そして2-0から1点返された直後の前半30分には右サイドを縦にえぐり、FW木藤舜介のゴールを再びアシスト。反撃ムード高まる鹿児島実を一瞬で沈黙させる貴重な突破とアシストだった。

 ほかにも、決定的なラストパスを通し、シュートの精度さえ高ければ、もう1、2点アシストしていたような活躍だった。また鋭い飛び出しであわやPKというシーンをつくり、後半6分には左FKでDFに身体を当てられながらも、それをものともしない跳躍から決定的なヘディングシュート。直後にピッチを後にしたが、存在感は群を抜いていた。

 特に目立つのはその馬力の強さだ。関東Jクラブのスカウトが「人工芝のグラウンドよりも、(より踏み込みなどが必要となる)天然芝でのプレーの方が全然いいプレーをする」と語る脚力は、高校だけでなく、上のレベルでも間違いなく力を発揮しそう。97年の早生まれで東京五輪世代でもあるアタッカーは今後の活躍にも要注目だ。

「最近球離れが悪いのでもっとシンプルにしていかないといけない。相手も(警戒して)3、4人で挟み込みに来ているのでDFを剥がしていかなかければいけない。行くところといかないところの判断をしっかりとしていかないといけないというのは自分の中でずっと持っている課題なのでもっと周りを見てプレーしていない」。現在持っている課題克服を果たしてよりチームの勝利に貢献できる選手になること。そして対戦相手を恐怖に陥れている今大会、頂点までの残り2試合でも“ヒガシのクリロナ”は自分の強みを存分に発揮して東福岡に全国タイトルをもたらす。 

(取材・文 吉田太郎)
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