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[総体]大津が初のファイナル進出!!熊本県勢29年ぶりVへ王手!!

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[8.7 全国高校総体準決勝 大津高 1-0 前橋育英高 韮崎中央公園陸上競技場]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技は7日、準決勝を行い、大津高(熊本)対前橋育英高(群馬)戦は1-0で大津が勝ち、初の決勝進出を果たした。熊本県代表の決勝進出は85年大会で優勝した九州学院高以来、29年ぶり。大津は8日、初優勝を懸けて東福岡高(福岡)との決勝に臨む。

 歴史が変わった。近年、数々のタレントを擁して全国舞台に臨んできた大津だが、優勝、ファイナル進出は過去一度もなし。08、09年の全国総体ベスト4が最高成績だった九州の雄が、ついに日本一に王手をかけた。公立校の大津を20年かけて全国レベルの強豪へ育て上げてきた平岡和徳監督は「選手一人ひとりが自信を持って、相手もいいチームでしたけれど、1対1、個対個の中で本当に物怖じせず、準決勝はなかなか難しい場所ですけれど、その中で子供たちが本当に素晴らしいパフォーマンスをしてくれたと思います」と選手たちに目を細めつつ、「満身創痍でしょうけど、まだまだもう1試合残っていますから、新しいものつくってもらえればいい」と期待した。

 この日戦った前橋育英は5年前の全国準決勝で敗れている因縁の相手。MF鈴木徳真主将、MF渡邊凌磨(ともに3年)というU-19日本代表コンビや4試合連続ゴール中のFW青柳燎汰(3年)らを擁する前橋育英と、こちらも4戦連発中のMF葛谷将平やMF坂元大希(ともに3年)らタレント揃う大津との対戦は予想通りに1点を争う好勝負となった。立ち上がりは大津がプッシュする。3分に左サイドから仕掛けた坂元の折り返しをMF古庄壱成(3年)が決定的なシュート。これはGK吉田舜(3年)に阻まれたものの、直後には葛谷が右サイドから左足シュートへ持ち込む。前半、攻撃のポイントとなった坂元がドリブルでの仕掛け、外からのクロスでチャンスメーク。12分にはインターセプトした右SB河原創(2年)の対角線のクロスボールをファーサイドの坂元が左足ダイレクトで合わせた。
 
 ポゼッションを展開しつつ、ディフェンスラインからSBの後方に長いボールを入れてくる大津に対し、前橋育英は7分に鈴木がインターセプトから右足ミドルを打ち込むなど、切り替えの速い攻守からシュートシーンをつくり出そうとする。右MF坂元達裕(3年)がキレのあるドリブルで局面を打開していたほか、正確なつなぎを見せたMF小泉佳穂(3年)や鈴木を起点に渡邊らがテンポの速いパス交換でDFを剥がそうとする。注目MF渡邊が強引にDF間を割って入ろうとするシーンもあったが、前半は互いに守備のバランスを崩さなかったこともあり、大きな波のない、拮抗した35分間となった。

 0-0で突入した後半開始直後、前橋育英にこの日最大のチャンスが訪れる。右オープンスペースへ飛び出した青柳が中央へラストパス。大津の守備の乱れを突いたエース渡邊が右足で狙ったが、大津はGK井野太貴(3年)がビッグセーブで阻止して危機を逃れる。後半に入ってSBを起点とした本来の攻撃を見せ始めた前橋育英に流れが傾きかけたが、大津も葛谷が果敢な仕掛けからシュートへ持ち込むなど譲らない。今大会、そのパフォーマンスについて平岡監督が「満足している」と語る倉本龍吾(3年)とこの日「身を挺してやってくれた」と指揮官が目を細めた野田裕喜(2年)のCBコンビをはじめ、中盤の守備で奮闘するMF田原悟とMF平岡拓己(ともに3年)のダブルボランチ、獅子奮迅の動きを見せる葛谷ら大津の好守、そして気迫が先制ゴールを生み出した。

 10分、大津は田原からバイタルエリアに侵入した葛谷へボールが入ると、葛谷が左サイドから飛び込んできた坂元の前方へすぐさまスルーパスを通す。DFの背後を取った坂元がSB岩浩平(3年)のスライディングタックルよりも一瞬早く右足を振りぬき、先制ゴールを流し込んだ。「今年のホットライン」(平岡監督)という葛谷と坂元のコンビで奪った先制点。控え部員たちの歓声が響き渡る中、右手人差し指を掲げながらゆっくりと走り出した坂元は、会心の表情でチームメートの祝福に応えていた。

 前橋育英はすぐさま反撃に転じ、PAまでボールを運んだが、大津は倉本と野田に加え、大塚椋介(2年)、河原の両CB含めてディフェンスラインが非常に集中力高くゴールを割らせない。それでも前橋育英は22分にMF関戸裕希(3年)がDFを上手くかわしてPAへ侵入し、27分には渡邊が思い切ったバイシクルシュートを狙う。鈴木の正確なボールコントロールやDF下山峻登(3年)のロングスロー、左SB渡辺星夢(3年)の高精度キックも交えた攻撃で大津DF陣にプレッシャーをかける。終盤、CB宮本鉄平(3年)も前線に上げて反撃した前橋育英だが、大津の堅い守りに跳ね返され、逆に相手のDF2人を引き付けてボールを収める大津FW一美和成(2年)に苦戦。CB上原大雅や渡辺星、吉田の必死の守りで2点目は許さなかったものの、一美にクロスから決定的なシュートを放たれるなど、何度も押し戻された前橋育英は最後まで1点が奪えなかった。

 大津にとって初のファイナル進出を告げる試合終了の笛。だが、選手たちの喜びは意外にも控えめだった。平岡監督の息子であるMF平岡は「全国制覇のチャンスがつかめて本当に嬉しいです。勝ったのは嬉しかったんですけど、まだチャンスができただけなので、次やってやろうという感じです」と決勝へ向けて気を引き締め、殊勲の坂元も「決勝行くのが目標じゃないので応援のヤツらも満足していないと思うし、東福岡には九州大会も負けているのでしっかりと勝てるように準備したいです。次があるという感じです」と満足していなかった。そして葛谷は「あとひとつまで来て、上手くやるよりも、全力でみんなでひとつになってやっていくことが大事なので、きょうは休んで、頭を少しずつ切り替えてあすしっかり勝てるようにしていきたいです」と宣言。歴史を変えたイレブンだが、目標は「もう1勝」だ。悲願の頂点に立った時に、本当の笑顔を見せる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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