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[総体]“西の横綱”堂々の戴冠も、森重監督「まだまだ成長できる」

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[8.8 全国高校総体決勝 大津高1-4(延長)東福岡高 中銀スタジアム]

 東福岡高(福岡)にとっては17年ぶりとなる夏の日本一。優勝候補として大会に臨み、各校からターゲットにされる中、初戦で作陽高(岡山)を6-0、続く神戸弘陵高(兵庫)にも8-1とプリンスリーグ勢に大勝した東福岡は、開催地第1代表の山梨学院高との優勝候補対決を1-0で制すと、復活を果たした伝統校・鹿児島実高(鹿児島)を4-2、プレミアリーグ勢の青森山田高(青森)にも3-1で勝った。そして決勝では6月の九州大会決勝でも戦っている{{c|大津高}(熊本)相手に後半終了間際に追いついて延長戦の末、逆転勝ち。初戦から全てが大一番とも言えるような非常に厳しいトーナメントを“西の横綱”は「強い」「別格だ」という評価の中、6試合26得点という驚異的な記録で堂々と勝ち抜いて頂点に立った。

 東福岡の森重潤也監督は「このヤマは厳しかったなと思う。最後ももっといいサッカーができると思っているんですけど、そういう苦しいヤマを乗り越えて、最後内容は乏しかったかもしれないけれど、結果が出たことに対して逞しさを感じたし、彼らは強いなと感じます」と目を細めた。同じく優勝候補として臨んだ昨冬の選手権では同じく1、2回戦を快勝したものの、3回戦で日章学園高(宮崎)にPK戦で敗退。イレブンは全国大会で頂点に立つことの難しさを肌で味わっていた。それでも今大会、チームは圧倒的な攻撃力を示す一方、山梨学院戦はMF中島賢星主将(3年)のスーパーゴールとGK脇野敦至(2年)のPKストップによって接戦を制し、鹿児島実戦では2度の失点直後にいずれもゴールを決めて突き放すなど勝負強さが光っていた。

 先を見ることなく、目の前の試合に集中してその試合に勝ち続けた結果掴んだ日本一。右SB堀吏規伸(3年)が「レギュラーだけでなくて、もし自分がベンチでも、チームとして勝てたらそれが日本一なので嬉しいです」と語ったようにチームとしての一体感もあった。そしてMF近藤大貴(3年)は「勝負強くなりました、この大会通して」と語り、中島は「(決勝では)先制されて焦る部分もあったんですけど、追いついて、追い越すことができたのは自分たちの自信になったと思うんで、この優勝は凄く大きかったかなと思います」とチームの成長を実感していた。

 今後は夏の全国王者として、福岡県内、そして全国のライバルたちからまた狙われる立場となる。2年生GK脇野は「次の選手権へ向けて日本一を狙っていかないといけないと思いますし、自分たちの代にもつなげていかないといけない」。頂点に立ったこれからが大事。貪欲に成長を目指し、また新たな白星を一つずつ掴み取っていく。森重監督は「(チームは逞しくなったが)まだまだボクは行けると思っている。まだ成長できると思っているし、そこをしっかりと伸ばして卒業させてあげたいと思います」。“西の横綱”は今後立ち向かってくる相手を打ち倒していく実力、逞しさをより身に着けて、あまた強くなる。

(取材・文 吉田太郎)
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