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[総体]ユース取材ライター・森田将義氏が選ぶ大会MVP、ベスト11、ベストマッチ

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平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技

ユース取材記者が選ぶ大会MVP、ベスト11、ベストゲーム(3)
(文・森田将義)

●MVP
MF赤木翼(東福岡高、3年)
「6試合26得点という圧倒的な破壊力を見せつけ、頂点に立った東福岡高の攻撃陣全員にMVPを与えたい所だが、中でも貢献度が高かったのは彼ではないだろうか。大会の序盤ではスピードを活かした仕掛けで周囲の活躍を引き出し、終盤は正確なシュートセンスを発揮。準決勝で2得点、決勝では同点を奪うなど、ここぞの場面での活躍が目を惹いた」

●ベスト11
「長崎海星高というサプライズはあったが、大津高、星稜高、前橋育英高、鹿児島実高、東福岡高、青森山田高、広島皆実高と8強には前評判の高かった名門校が名を連ねた。戦国時代と評される近年の全国大会で、ここまで順当に大会が進むのは稀で、実力のある高校、選手が持っている力を存分に出し切った大会と言えるかもしれない。今回、選んだ11人は全員が普段から力を発揮する真の実力者ばかり。これからクライマックスを迎える各種リーグや、選手権予選でも期待して欲しい選手たちです」

▽GK
廣末陸(青森山田高、1年)
「抜群のシュートストップと正確なキックが評価され、1年生ながらも強豪・青森山田の最後尾を託された守護神。今大会ではPK戦で無類の強さを発揮し、2回戦・帝京大可児戦では3本、3回戦・尚志戦では2本ストップ。黒田剛監督の『GKさまさま』との言葉通り、4強入りの立役者となった」

▽DF
河原創(大津高、2年)
「正確なキックと機を見たオーバーラップでサイド攻撃を支えた右SB。167cmと上背は無いが、粘り強さを活かした守備力も目を惹くモノがあり、決して派手ではないが、大津の躍進に大きく貢献した。決勝戦の後半に見せた“G線上のクリア”も見事だった」

小笠原佳祐(東福岡高、3年)
「2年時まではFWだったが、今年1月の選手権終わりに「監督から、このままでは試合に出れないぞ」と言われてCBにコンバート。日が浅いながらも、大声を発しながら繰り出すヘディングで相手攻撃をはじき返した。『小笠原がDFらしくなってきたのが大きい』とMF赤木翼が話すように、優勝に彼の存在は欠かせなかった」

倉本龍吾(大津高、3年)
「大津史上最高となる準優勝に大きく貢献した立役者。左足から繰り出すピンポイントなフィードが持ち味のCBで、最後尾から左右両サイドMFへ展開は大津の必殺技となっていた。相方の2年生CB・野田裕喜との息の合ったチャレンジ&カバーも光った」

渡辺星夢(前橋育英高、3年)
「身体能力の高さを活かした1対1が光った左SB。正確な左足キックとロングスローで攻撃の起点にもなった。得点力でチームを牽引した、もう一人のワタナベ・MF渡邊凌磨の活躍に目が行きがちだが、後方で攻守を支えた彼の存在も忘れてはいけない」

▽MF
鈴木徳真(前橋育英高、3年)
「絶妙なポジショニングを活かした守備と、柔らかいタッチから繰り出すパスが魅力のU-18日本代表。高校3年間で『人間的に一回り大きくなれた』と話す通り、緊張しがちな大会初戦から自然体のプレーを貫き、チームの4強入りを支えた」

増山朝陽(東福岡高、3年)
「人並み外れた身体能力の高さと抜群のスピードを活かし、右サイドを何度も切り裂いた高速アタッカー。大会前から、複数のJクラブ熱視線から集めるなど有力選手の一人として知られる存在だったが、今大会でブレークスルーし、一躍、全国区に躍り出た」

葛谷将平(大津高、3年)
「巧みな位置取りと身体使いでボールを引き出し、小回りの効いたボールキープとターンで力強く前進するアタッカー。バイタルエリアに入ってからは積極的なミドルシュートを狙うのも特徴で、4試合連続ゴールを奪って、大津の歴史を塗り替えた」

赤木翼(東福岡高、3年)
「東福岡伝統のサイド攻撃を支えた左ウイング。単騎で繰り出す突破はもちろんだが、『(中島)賢星が持った時に動き出す意識は持っているし、(増山)朝陽が持った時は中に入る動きを意識している』との言葉通り、周囲との阿吽の呼吸も目を惹いた」

▽FW
平野皓巴(長崎海星高、3年)
「スピードの加減速と強さを活かしたドリブル突破で、相手ゴールに向かうFW。大会直前まで股関節を痛めていた上、初戦では足の甲を負傷。本調子ではなかったが、準々決勝の仙台育英戦で4得点を奪い大暴れ。チーム初の8強入りに導いた」

前田翔吾(鹿児島実高、3年)
「INAC神戸の前田浩二監督を父に持つ191cmの大型ストライカー。デカいだけでなく、機動力も備えた好素材だったが、これまでは実戦で力を発揮出来ていなかったが、今大会ではポストプレー役としてしっかりと仕事をこなし、名門復活に大きく貢献」

●ベストマッチ
3回戦:初芝橋本高 2-3 大津高
「見事な逆転劇で東福岡高がタイトルを掴んだ決勝戦、ハイレベルな攻防が繰り広げられた準決勝の大津高対前橋育英高など熱戦が多かった今大会の中でも印象的だったのがこの試合。大津らしい巧みなパスワークからのサイド攻撃で前半のうちに2点先取するも、後半はMF渡辺淳揮、FW末吉塁の2枚看板を起点にイケイケの攻撃を繰り出した初芝橋本高が一気に同点に。最終的には大津が勝ち越しに成功したが、互いの持ち味と意地が感じられる見応えのある試合だった」

[写真]森田氏が東福岡で最も貢献度が高かったと評す赤木

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。
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【特設ページ】高校総体2014

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