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[総理大臣杯]連覇へ向けて逞しさ感じさせる一歩・・・流通経済大が福岡大撃破!

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[8.11 総理大臣杯全日本大学トーナメント2回戦 流通経済大 1-0 福岡大 ヤンマーフィー]

 夏の大学日本一を争う第38回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの2回戦が11日に行われ、ヤンマーフィールド長居では昨年度の王者・流通経済大(関東5)と31回という最多出場回数を誇る福岡大(九州1)が対戦した。

「こうなるのは想像していた。福岡大とは昨年の準決勝で対戦して、PK戦で勝利している。うちの学生以上に、福岡大の学生はリベンジしたいという思いが強いはず」という流経大・中野雄二監督の言葉通り、東西を代表する実力校同士の対戦は序盤から、激しいぶつかり合いを見せ、均衡した展開が続いた。

 名古屋グランパスでプロデビューしているCB大武峻(4年=筑陽学園高)を天皇杯2回戦(対広島)の退場処分のために出場停止で欠いた福岡大だったが、代役の中島大貴(2年=筑陽学園高)と武内大(4年=国見高)のCBコンビが、躍動感のあるFWジャーメイン良(1年=流通経済大柏高)を起点に仕掛ける流経大の攻撃陣に仕事をさせない。一方で攻撃陣は、奪ってからはロングボールからFW山崎凌吾(4年=玉野光南高)がチャンスを伺ったが、「今までの流経大は高さに弱さがあったけど、今年はタフに戦える選手が多いのでカバー出来ている」(中野監督)という流経大の粘り強い守備を崩せずシュートまで持ち込めない。

 スコアが動かないまま時計の針が進んでいくが、徐々に流経大が左サイドのMF中村慶太(3年=流通経済大柏高)を起点に好機を作り始め、29分には左サイドで浮き球を収めた中村がPAにパスを入れ、MF江坂任(4年=神戸弘陵高)が反応。このチャンスは福岡大DFに潰され、シュートまで持ち込めなかったが、めげずに左サイドから積極的に仕掛け続けて流れを引き寄せると、32分には左からのショートCKを受けた中村がPA左外から強烈なシュートを狙う。これはGKに弾かれたものの、こぼれ球をDF田上大地(3年=流通経済大柏高)が押し込んで、流経大が先制する。福岡大も40分にDFのクリアボールから山崎がGKと1対1の場面を迎えたが、飛び出したGK吉田一也(4年=奈良育英高)に阻まれ、流経大が1点リードのまま前半を終えた。
 
 後半からは逆転を狙いに出た福岡大が厚みのある攻撃を繰り出し、立ち上がりから押し込む展開となった。12分には右コーナーのこぼれ球をPA左で拾ったMF木本恭生(3年=静岡学園高)が狙ったが、惜しくも右ポストに直撃。20分にはクリアボールが前線に入り、山崎が突破に入るが素早く寄せたDFに阻まれ、シュートが打てず。それでも、強引に左へと展開し、MF川上竜(2年=福岡U-18)がシュートを狙ったが、またもやDFに阻まれ、ゴールが奪えず。「相手は攻撃の人数をかけてくるから蹴り所と、競る選手、カバーに入る選手の役割を明確にするように伝えた」(中野監督)というハーフタイムの指示が上手く機能した。

 残り10分を切り、福岡大は中島ら長身DFを前線に上げてパワープレーを開始。38分には右サイド高い位置でのスローインをゴール前に展開。フリーの木本が受けた瞬間に倒れ、ホイッスルが鳴る。PKかと騒然となる選手たちを余所に、判定はオフサイド。「ラッキーな部分はあったけど、あれだけ押し込まれてもピンチはほとんど無かったので、よくやれたと思う」と胸を撫で下ろした流経大が集中力を保ち、1-0で逃げ切りに成功した。

 連覇がかかった今年のチームについて、「昨年より、はるかに強い。メンバーが揃っている」と中野監督が口にするように確かな手応えを感じている。自信の源は232人の部員が生み出す競争力。今大会も事前の天皇杯予選で活躍したDF今津佑太(流通経済大柏高)、FW渡邉新太(新潟ユース)ら1年生を登録した一方、昨年の優勝メンバーだったDF川崎裕大(4年=成立学園高)、MF山岸祐也(3年=尚志高)、FW藤山凌(3年=東海大五高)らは登録から漏れた。怪我のため出場を回避したDF桜井将司(2年=流通経済大柏高)、1年生ながら10番を背負うMF野口翼(広島ユース)など、この試合から外れた選手にも実力者が多く、「思い切ってメンバーを代えていけるのが強みなので、うちはリーグ戦よりも集中開催のトーナメントの方が向いている」とも話す。しぶとく掴んだ初戦での勝利は決して派手さはなかったが、目標に掲げる連覇に向けて、逞しさを感じる一歩だった。

(取材・文 森田将義)
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