beacon

[総理大臣杯]怒涛の6ゴールで4強進出も「甘っちょろさが出た」関西学院大

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.13 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準々決勝 青山学院大 2-6 関西学院大 J-GREEN堺]

 夏の大学日本一を争う第38回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの準々決勝がJ-GREEN堺で行われ、青山学院大(関東4)と関西学院大(関西1)が対戦した。

 出場停止の明けた全日本大学選抜FW呉屋大翔がスタメンに復帰した関学に対して、青学大はいつもの4バックではなく、3バックに布陣を変えて試合に臨んだ。相手にボールを持たれた際は5バック気味に守る戦い方は、相手を分析した結果だ。DFの枚数を増やして、まず失点せずに試合を進める――それが青学大の狙いだったが、その目論見は開始5分で崩れてしまう。右サイドのMF泉宗太郎からのクロスをMF徳永裕大がヘッドで合わせた関学大に先制点を奪われてしまった。

 想定外の失点を食らった青学大に対して、関学は攻勢に出ると、34分に左サイドのMF小幡元輝からのクロスを、ゴール前でMF小林成豪が相手DFと競り合いながら頭一つ抜け出す跳躍力の高さを見せ付けるヘディングシュートて2点目。さらに40分には再び左サイドの小幡からの折り返しを、今度はゴール前で呉屋が押し込んで3点目を決める。青学大はたまらず、42分にDF諸井孝太を投入して4バックに布陣を戻してハーフタイムを迎えている。

 後半の立ち上がりも関学が攻撃を仕掛けるなど流れは変わらないかに思われたが、青学大は前半の交代出場で左SBに入った諸井が反撃の狼煙を上げる。11分、MF伊藤光輝からのスルーパスを最終ラインの背後に抜け出して受けると、GKとの1対1から左足のシュート。前半から攻撃に出た際は敵陣深くまで迫るシーンを作り出していた青学大が、ようやくゴールネットを揺らした瞬間だった。勢いにのる青学大は23分、こちらも途中出場のMF恵龍太郎が「ベンチで見ている時からイメージしていた形。逆サイドから(ゴール前に)入って来てくれると信じていた」と放ったクロスにMF荒木大吾がヘッドで合わせてみせた。

 関学にとっては、3点差から一気に1点差まで迫られる嫌な展開。そんな悪い空気を払拭したのが呉屋だった。25分、前線でフリーとなってDF岡山宗星のパスを受けてゴール前へ持ち込むと、前に出たGKをあざ笑うかのようなループシュートでスコアを2点差に広げた。2失点目から僅か2分後。試合の流れを変えるゴールは、まさにエースの仕事と呼ぶに相応しい。左SBを務める主将・福森直也も「チームが“ヤバい!”というところで決めてくれたのはホンマにありがたかった」と振り返っている。関学はその後も27分に小幡、37分にMF福冨孝也が追加点をあげ、最終的には6-2と大差をつけた関学が準決勝進出を果たした。

 最終的には点差を開けての勝利だったが「ゴールは嬉しいが、2失点は隙が丸出しで悔しい」と話す関学・成山一郎監督の表情は緩んでいなかった。「“3-0だからこれでいいだろう”というのが端々にあった。目に見えない甘っちょろさが出た」と後半の戦いに厳しい言葉を投げかけている。大会初戦となった2回戦(vs高知大)でも試合の入り方が良くなく、そうした部分は準決勝に向けての課題と言えそうだ。

 一方でシュート22本で6得点を奪った攻撃力は魅力だ。関西学生リーグ1部で15得点(9節終了時点)で得点ランキング首位を独走するエースストライカーの呉屋に加えて、2列目には小林、小幡、泉とタイプの違うアタッカーが顔を並べる。ボランチから最終ラインにかけても実力者揃い。この日は交代出場からボランチを務めた岡山や、右サイドに入ったMF森俊介ら控えの選手も持ち味を発揮して相手に脅威を与えていた。

 準決勝の相手は流通経済大。準々決勝で阪南大に3-1で勝利した試合は、同会場の第1試合として行なわれており、観戦していた福森は「流経大はセカンドボールをどんどん拾ってくる。阪南大はそこでリズムを作れなかった」と分析。「相手のパワーは強いけど、うちもそこでは負けたらあかん」と言い切った。また、流通経済大柏高から関学へ進学した呉屋は「高校で一緒にやったメンバーと準決勝の舞台で戦えるのは嬉しい」と公式戦での再会が待ちきれない様子だ。共にハードワークを軸として戦うチーム同士の東西対決は注目の一戦。昨年敗れたベスト8の壁を破った関学は、止まることなく頂点を目指す。

[写真]関西学院大のエース・呉屋は嫌な流れを断ち切る2ゴール

(取材・文 雨堤俊祐)
▼関連リンク
【特設ページ】第38回総理大臣杯

TOP