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J最年長出場記録更新も…FWカズ「納得できない」

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[8.17 J2第27節 横浜FC4-2讃岐 ニッパ球]

 試合の残り時間が短くなると、バックスタンドから子供たちの「カーズ!! カーズ!!」という大きな声が聞こえて来た。東日本大震災復興支援活動の一環として、チームが試合に招待していた福島県いわき市の約80人の子供たちによるものだった。4-1で迎えた後半43分、その声援に後押しされるようにFW三浦知良がピッチに現れた。先ほどまで声援を送っていた子供たちは、その雄姿を見ようと、最前列まで駆け下りていき、一列になって試合を凝視した。

「中(室内のウォームアップスペース)でアップをしていたので、(声援は)聞こえなかったのですが、チームメイトが『コールしている』と教えてくれていたので。非常に力強く感じましたし、嬉しく思います」

「試合には、スムーズに入れました」と振り返るカズは、懸命に前線を駆けた。アディショナルタイム3分には、MF小池純輝とパス交換し、前方へ抜けて行く。その後のビルドアップが相手DFに引っ掛かったが、チームメイトが中盤でボールを奪い返すのを確認すると、再び左サイドからPA内へ駆けて行った。相手守備に阻まれてボールに触ることはできなかったが、ファーポスト前のFWパク・ソンホにボールが入っていれば、折り返しのパスを受けられる位置に侵入していた。

 Jリーグ最年長出場記録更新については「あの5分で『記録』と言われても僕自身はまったく納得できない。先発して長い時間出たら、また記録も意識できると思う」と言うカズだが、ピッチに立てる喜びを噛み締めていた。

「今回、ケガが長引きましたし、4月くらいに試合に出られるところまで来たのですが、痛めた場所の近くを、また痛めてしまった。そこが自分の中では誤算というか、ここまで(欠場が)伸びてしまった一つの原因。ここにきて、この何か月かで良くなってきた。練習試合も多くやることで、サッカーのフィジカルの部分も良くなっていると思います。ケガの方は、多分、大丈夫だと思います」

 10戦無敗と調子が上向きのチームに、背番号11は更なる勢いをもたらすはずだ。それでも、カズは「プレーオフのことは、まだまだ考えるべきことではない。一つひとつ」と、目の前の試合に集中する。「10戦負けなし、と言っても引き分けがかなりある(5勝5分)。負けないことはいいことだけど、勝ち点1と勝ち点3ではだいぶ違う。2つ失うと順位が落ちるかもしれない。引き分けではなく、勝ち点3を取ることにこだわってやっていく」と、混戦となっているリーグで、勝ち続けることの重要性を強調した。

(取材・文 河合拓)

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