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[関東1部]王者・専修大、4連覇の偉業なるか?エース仲川「達成することが選手の成長にも繋がる」

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 1日、JR東日本カップ2014 第88回関東大学サッカーリーグ戦後期の記者会見が行われた。関東リーグ最大の注目点は、1部3連覇中の専修大が4連覇を達成できるかどうか。専大は前期8勝2分1敗の成績で2位・順天堂大に勝ち点2差をつけて首位ターン。昨年のリーグ得点王であるFW仲川輝人(4年=川崎F U-18)と右SB北爪健吾(4年=前橋育英高)の13年ユニバーシアード日本代表コンビや前期得点ランキング首位のFW前澤甲気(4年=清水商高)、U-20日本代表GK福島春樹(3年=静岡学園高)らを中心に勝ち点を重ねてきた。大学サッカー界を代表する強豪は1955年~58年に早稲田大が達成して以来、戦後2度目となる偉業を成し遂げるか――。

 この日記者会見に出席した仲川ははっきりと4連覇という目標を口にし、「4連覇がかかっているので、一戦一戦準備を怠らず、ベストのパフォーマンスができるようにしていくことが大切だと思っています。4連覇することは凄く難しいし、大変なことだと思うんですけど、(今)自分たちしかできないことですし、それを達成することが選手としても成長できることに繋がると思います」と偉業達成への意欲を見せた。

 1年時からレギュラーを務める仲川は、現在ケルンでプレーするMF長澤和輝とダブルエースとして幾度となく専大にゴールと勝利をもたらし、全日本大学選抜でも10番を背負った大学ナンバー1アタッカー。その大学4年間は専大の勝利の歴史とともにあった。仲川は川崎フロンターレU-18に所属していた高校3年時に当時関東2部だった専大のリーグ最終戦を観戦。「凄くいいチームだなと感じて、そこで(専大への進学を)決めた」という仲川の入学とともに、それまで関東1部6位が最高成績だった専大の勝利の歴史が始まる。

 「攻撃的で美しいサッカー」というコンセプトのもと、それまでも見せていた破壊力抜群の攻撃が11年からは結果も伴っていく。「スーパールーキー」と呼ばれ、ゴールを連発した仲川の活躍もあり、11年は後期を8勝2分1敗で駆け抜けて2部からの昇格1年目で初優勝。直後の全日本大学選手権でも4戦18発の攻撃力で初出場初優勝の快挙を成し遂げると、その後全国最激戦区の関東1部リーグでの連覇を3へ伸ばした。そして今年、仲川ら専大の4年生は関東1部で「優勝しか知らない世代」となることが現実味を帯びてきている。

 仲川には大学4年目で立場、役割が変わる中で心がけていることがある。「責任感を持つこととか、4年生になってはじめて感じることが多かった。人として成長できたと思います。自分は4年間で先輩方に凄く助けられてきた部分がある。1年生の時だったら庄司(悦大)クンと(町田)也真人クン、2年だったら(鈴木)雄也クンと栗山(直樹)クン、そして3年だったら(長澤)和輝クンと(下田)北斗クンと、自分のことを尊重してやりやすいサッカーをするための環境をつくってくれたので、今年は自分が後輩たちにそうさせるというか、やらせてあげること。なおかつ、自分は点を取ってチームの勝利に結びつけることを目標としている」

 仲川は8月の日本代表メンバー発表から刺激も受けた。それは同じ大学サッカーの舞台で戦ってきた選手たちの日本代表選出だ。「日本代表に自分と同じ年のよっち(武藤嘉紀、慶應義塾大→F東京)だったり、(1学年上の)皆川(佑介)クン(中央大→広島)が入っている。Jで結果出すことでも代表に入ることが見えてきたし、あの2人が証明してくれた。自分も早くプロでやりたい気持ちが高まってきたのは事実です」。武藤や皆川以上と言えるほど、大学リーグの各試合で別格のスピード、技術を見せてきた仲川にはJ1数クラブからのオファーに加え、長澤と同じように、大学生ながら海外からも熱視線を浴びている噂もある。「(国内と海外との希望を)半々くらいでは持ってはいますけれど、近いうちに何かしらのアクションを起こせればなと思います」。長澤ら含め、大学サッカーの戦友たちの活躍が自身の「将来」への意欲を高めている。

 まずは大学ラストイヤーで専大を4連覇へ導き、その中心となる。仲川は前期、負傷離脱したこともあってわずか4得点。本人は全く満足していない。だからこそ、後期は得点ランキング首位の前澤らと切磋琢磨しながら自身、チームのゴール数を増やすつもりでいる。残りわずかとなってきた大学サッカーでのプレーへ向けて「自分はトラップだったり、シュートだったり、ドリブルだったり見ている皆さんを楽しませることを意識しながらも、チームのために汗をかくというか、必死になるということが4年生になって強く芽生えてきたので、そこを見てもらうこと。そして2年連続で得点王になるという目標を忘れてはいけない」。注目FWは専大の偉業達成に最大限貢献し、さらに全日本大学選手権で優勝を果たして、次のステージでの歩みを始める。

(取材・文 吉田太郎)

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