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3番手から正守護神へ、松本GK村山「本当に感謝している」

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[9.6 J2第30節 湘南1-1松本 BMWス]

 体を張った守備で首位チームを相手に最少失点に抑えた。最後方からチームを支えた松本山雅FCGK村山智彦は1-1の引き分けに終わった試合を、「負けなかったのは大切だし、自分たちが今いる順位を考えると勝ち点ゼロではなく、勝ち点1を上乗せできたことが大事です。そこはポジティブに捉えたい」と振り返っている。

 前半は最終ラインを高い位置に設定して、全体をコンパクトに保ち湘南の攻撃をPA前でつぶしていた。「コンパクトに保つことで相手のクサビが入ったときにしっかりプレッシャーを掛けられていました。そこは徹底してやろうと話していたので、全体をコンパクトに保てるようにという意識でコーチングしていました」と村山が話したように、前半の守備は十分に機能していた。

 しかし、後半に入ると徐々に押し込まれ始め、防戦一方となる。前線に残るFW船山貴之以外のフィールドプレーヤー全員がPA付近に釘付けになるほどだった。「ボールの出どころにプレッシャーを掛けられずに後手を踏んでしまいました」と話したように村山にとっても想定外の状況となったが、「それでも最後のところでやられないように話をしていて、ゴール前でしっかり体を張ってシュートコースを限定できたし、押し込まれながらも後半に失点しなかったのは良かったと思います」と守備陣の踏ん張りに十分な手応えを得たようだ。

 2年前、所属していたSAGAWA SHIGA FCがJFLを退会し、村山はプレーの場を失いかけた。「最初に話を聞いたときは『ヤバいな、どうしよう』と思いましたし、悲壮感が漂っていました」と苦笑したが、「でもサッカーは辞めないと決めていたし、ありきたりの言葉ですけど、ピンチをチャンスと捉えるようにして、前向きに考えるようにしました」。すると松本から誘いがあり、昨季からチームに加入した。

 加入初年度はGK白井裕人、GK野澤洋輔の壁をなかなか越えられずに出場機会をつかめない日々が続いた。しかし、第32節にJデビューを先発出場で飾ると、第35節からは先発の座を守り続けてシーズンを終えた。「チーム加入当初は3番手という立場だったので、一からやっていかないといけないと思っていました。でも悲観的にはならずに、いつ自分にチャンスがきてもいいようにと準備をしていたので日々の練習を楽しめましたし、サッカー選手として成長できたと思っています」。一歩ずつ階段を登った男は、今季は開幕から先発フル出場を続けているように絶対的な守護神へと成長した。

 松本への移籍を「ステップアップの移籍でしたし、非常にいい機会を与えて頂けたので本当に感謝しています」と語ると、「フィールドプレーヤーが、僕がいるから安心して攻撃できるというくらいの存在感を持ったGKになりたいと思っているので、もっと一つひとつのプレーに対して責任感を持ってやらないといけません。GKは守備の中心にならないといけないので、もっともっとチームの中心的な立場になれるように成長していきます」とさらなる成長を誓った。

(取材・文 折戸岳彦)

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