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[MOM1121]青森山田DF菊池流帆(3年)_攻守で輝いたエアバトラー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第12節 市立船橋高 1-2 青森山田高 船橋市法典公園(グラスポ)球技場]

 攻守両面でエアバトラーとしての能力の高さを見せつけた。青森山田高のCB菊池流帆(3年)は186cmの長身を持つ大型DF。この日、菊池にとってのターゲットは市立船橋高の185cmFW磯野隆明だった。「9番(FW磯野)が市船ターゲットマンということで自分が勝てば、チームも勢いづくし、相手の攻撃を止められると思った」。ともに進境著しい2人のエアバトルとボール、ポジションの奪い合い。その勝敗がチームの命運を握ることを理解していた菊池が試合開始直後に「自分でも焦りました」という一撃でチームに火をつける。

 前半50秒、菊池はMF山下優人の右CKにファーサイドで反応。「自分がターゲットでなくて、違うヤツがターゲットだったんですけど、いい感じでボールが来たので当てるだけでした」というヘディングシュートがゴールへ突き刺さる。「セットプレーが自分は得意。でも一発目で自分も焦りました。入っちゃった!みたいな感じで・・・」。ただこのゴールは自らの闘志にスイッチを入れるにも十分の一撃だった。歓喜の雄叫びを上げた菊池は前半、磯野をほぼ完ぺきに封じこむ。自分のタイミングで飛べないような状況もあったが、空中戦では中央、サイドにも飛び出していって相手に触らせない。後半はベンチで発破をかけられてきた磯野の巻き返しにあい、1点を失った。それでも「みんな頑張っていたので対人の面で絶対に抜かれないという事でやっていた」と必死の守り。相手に押し込まれた終盤も磯野に入ってくるボールに狙いを定めて何とか足に当て、空中戦では歯を食いしばって跳躍し、跳ね返した。「菊池も頑張って9番(磯野)を抑えた。日に日によくなっています」と黒田剛監督も目を細めた奮闘。攻守両面の活躍によって勝利の立て役者となった。

 最終学年になって初めて公式戦に出場したCBだが、8月の全国高校総体では4強進出に貢献して大会優秀選手にも選出された。「(課題の)ビルドアップは大目に見てくれているところがある。(黒田監督には)ヘディングと球際の強さは誰にも負けるなと言われてやっている」というDFは出番を掴むためにとにかく長身を活かしたヘディングを磨いてきた。「ヘディングは誰にも負けたくなかったのでヘディングばっかりやっていた。毎朝片足ジャンプ10本ずつを3セットやったり、両足ジャンプを3セットやったり、蹴ってもらってヘディング10本3セットだったりとか、ヘディングはかなりやっています。でもまだ伸ばしたい」。その成果が全国総体での活躍につながり「自分がいつも点決められるんで守らないと前に申し訳ない。(ただ現在は)優秀選手とか入って自信がつきました」と今は自覚と自信を持ってプレーしている。
 
 今後、チームが目標としているプレミアリーグ後期全勝や選手権日本一を達成するためには守備陣の成長が欠かせないという事を理解している。「プレミアは全勝して上位に入りたいですし、選手権では優勝したい。そのためにはバックが成長しなければダメ」。強豪との対決を通して自信を増しているエアバトラーが、貪欲な姿勢で成長を遂げてチームに新たな勝利をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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