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[2014 Rookie League]力と技の好勝負、流通経済大柏対静岡学園はドロー決着

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[9.14 2014 Rookie LeagueAグループ第9節 流通経済大柏高 2-2 静岡学園高 時之栖裾野G]

 関東、静岡の強豪18校の1年生たちが優勝を争うU-16大会「2014 Rookie League」Aグループは14日、最終節1日目を行い、4位・流通経済大柏高(千葉)と5位・静岡学園高(静岡)との強豪対決は2-2で引き分けた。

 先制したのは静岡学園。前半12分、FW稲葉彰将のループシュートでリードを奪ったのに対し、流経大柏は14分にMF本田憲弥が右サイドからニアサイド隅に右足FKを決めて同点に追いつく。その後前半だけでシュート10本を放った流経大柏は非常に激しいディフェンスでボールを奪ってから縦に速い攻撃。本田とMF関大和を起点にボールを動かし、河内渉真と長尾周弥の両SBやMF富永和輝、FW中嶋成らが一気に前に出て静学ゴールに襲い掛かる。一方の静岡学園は怪我による長期離脱から復帰した注目ドリブラー、MF白川大吾廊の突破や抜群のセンスを持った左利きのゲームメーカー、MF戸田大智を軸に個々のキープ力の高さを活かして攻めて流経大柏に対抗していく。

 そして後半25分、静岡学園が勝ち越し点を奪う。直前の23分に戸田が放った左足FKはゴールマウスに弾かれたが、25分にゴール正面の位置でFKを獲得すると、戸田の左足シュートが再びポストを直撃。この跳ね返りをFW星野涼が頭で沈めて2-1とした。

 スピードと技術、そして1人1人のボールを奪うことに対する責任感の高さを感じさせる流経大柏と、相手の厳しいチェックをいなして攻める静岡学園。力と技がぶつかり合う好勝負は終盤、流経大柏がバイタルエリアで前を向く回数を増やしてチャンスをつくるもDF嶋一駿、佐野良伍、岡野悠太の静学3バックは堅く、最後のところで切り崩すことができない。それでも流経大柏は44分、左サイドのスペースへ飛び出した本田の左クロスを静岡学園DFがハンド。これを関が右足で狙うと、GK田原智司は反応したものの、ボールは身体をはじいてゴールマウスの中へ吸い込まれた。

 バックパスをほとんど使わせることなく、磨いてきたテクニックでチャレンジさせていた静岡学園の斎藤興龍コーチは「こういうゲームを通してビビらずにやれるようにすること」と語り、「技術をもっていても、(このような場で)臆せずにやるから上手くなる」。ただ、テクニックを磨くだけでなく、強豪とタイトルをかけて戦う中でその技を発揮することによってそれが「武器」になる。1年生同士の戦いとは言え、選手たちにとっては現状この上ない鍛錬の場となっており、実際、静岡学園の選手はこの中でテクニックとアイディアを発揮するなど成長を遂げていた。

 対して、「ハイスピードの中の技術」習得を目標に成長する流経大柏の手倉森賢太コーチは「夏まではダイレ(ダイレクト)。その後は前線のスプリント、そして縦につけてからワンツーや3人目の崩しの部分を意識して取り組ませている」という。加えて球際の激しさは参加チーム随一と言えるほどだった流経大柏だが、近年2年生が行っているイタリア遠征ではその激しさも「全然」なのだという。イタリア遠征に帯同している榎本雅大コーチや選手たちがそれを持ち帰り、チームに還元。世界の厳しさを知り、またW杯で優勝したドイツのつなぎの速さとショートカウンターでの数的優位をつくる部分など、本田裕一郎監督が海外基準で取り入れている速さと技術、激しさの中で1年生も成長を遂げている。現在トップチームに帯同しているMF中村翼のように1年生チームから巣立っていくか。「試合を通してトータルで戦う点が甘い」(手倉森コーチ)という課題などを突き詰め、内容と結果の両方を追求する強いチームを目指していく。

(取材・文 吉田太郎)
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