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[プレミアリーグEAST]新スタイル収穫の流経大柏と練習成果出た市立船橋、千葉名門対決は譲らずドロー

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[9.20 高円宮杯プレミアリーグEAST第14節 市立船橋高 1-1 流通経済大柏高 グラスポ]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEASTは20日、第14節を行い、5位の市立船橋高対7位・流通経済大柏高の千葉名門校対決は1-1で引き分けた。

 市立船橋のCB藤井拓主将(3年)が「ウチはふつうにプレミアの18分の1の試合という感覚でやっている。変に力んだりしないです」と語り、この日FWとして出場した流経大柏の注目DF小川諒也(3年)も「今週、あまり市船だからという意識ではなかったです。とりあえず、ここで負けたら降格がヤバイぞという感じの方が強かった。それが良かったんじゃないですか。今までは市船を意識しすぎてドタバタしていたところがあったので」と振り返る。互いにライバル心を強調することはなかったが、市立船橋は現在プレミアリーグ2連敗中で流経大柏も後半戦1勝3敗と苦戦。ともにプレミアリーグ残留が安泰と言える位置ではないだけに、ともに負けられない戦いは自然に激しさを増した。

 まずは6分、流経大柏は小川が左サイドを縦に突くと、ファーサイドのFW儀保幸英(3年)が頭で折り返し、MF松本雅也(2年)が飛び込む。対する市立船橋は7分に左MF鵜澤恵太(3年)の仕掛けからFW磯野隆明(3年)の落としをMF矢村健(2年)が左足で叩く。試合はよりセカンドボールを回収していた市立船橋がペースを握って進めていったが、流経大柏がファインショットで先制した。20分、流経大柏は左ショートコーナーから松本雅がPA後方で構えるMF新垣貴之(3年)へパスを送ると、新垣がダイレクトで左足を強振。強烈な一撃は名手・志村滉(3年、ジュビロ磐田内定)から遠ざかっていくような軌道でそのままゴール右隅へ突き刺さった。

 先制された市立船橋も23分にMF古屋誠志郎(2年)の右CKを矢村がダイレクトで合わせ、この日攻守両面で存在感を放っていた藤井のフィードからMF永藤歩(2年)が抜け出しかけるなどチャンスをつくる。だが、8月に本田裕一郎監督がゲーゲンプレッシングを学ぶために約3週間ドイツに滞在し、ドルトムントの練習場に通っていたという流経大柏は、不振脱出のためにこの一週間取り組んできたという新しいスタイルがディフェンスを安定させる。小川が「今週からドルトムントのサッカーの研究をしてビデオを見たり、ゲーゲンプレスのことをやってきた。守備で前線が追えるというのはディフェンス陣にとって助かるみたいで、相手がクリアするところもブロックしてくれたり、一つひとつすごく助かると言われた。一週間ではまだ全然できないですけど、これが上手くハマれば個々の能力の高い選手が揃っているのでいけると思う」と語った前線からのプレスと、奪った勢いでそのまま縦に入っていく攻撃。加えてこの日の流経大柏はこれまで先発に定着していた技術力の高い選手たちから、この日はより“頑張れる”選手たちで勝負していた。本田監督は「きょうはマジメに頑張っているヤツを出した。粘るよね、マジメなヤツは。攻撃の方はまだ。それはストレスになっているかもしれないけれど、とにかくDFからやり直そうということで。大分違和感なく、吸い込みは良かったかな」と語る。単調な縦、縦という攻撃だったが、それでも後半戦4試合14失点と崩壊していた守備面が、ひたむきに90分間徹底できる彼らの踏ん張りでこの日は立て直されていた。

 流経大柏は26分にも左サイドで混戦を制した小川が独走。最後の局面は逆サイドから猛烈なスピードでカバーに入った左SB杉岡大暉(1年)に阻止されたが、前から迷いなく追い続けるプレスで相手にビッグチャンスをつくらせない。そしてアディショナルタイム突入後の46分には再び左ショートコーナーから今度は新垣がグラウンダーのパスを入れる。スルーした選手の後方から絶妙なタイミングで飛び込んだCB山田健人(3年)がダイビングヘッド。ただ、決定的な一撃は志村が反応良く叩き落として得点にはならなかった。

 後半も小川と藤井の注目選手同士が激しいマッチアップ。流経大柏が縦パスを多用したため、空中戦の回数が増えた。リードされた市立船橋にとっては攻めても押し戻される流れの悪い展開だったが、高い集中力で存在感を発揮した藤井と杉岡をはじめ、右SB打越大樹(3年)やMF椎橋慧也(2年)が相手の攻撃を跳ね返していく。そして市立船橋は13分、鵜澤の左クロスをファーサイドで受けた永藤が縦に仕掛けて中央へラストパス。決定的なシーンだったが、ここは流経大柏守備陣がゴールを死守して得点を許さない。

 その直後に市立船橋はCFの大型FW磯野隆明(3年)と鵜澤に代えて、ともに縦への突破力に秀でたMF小林瑞知(3年)とMF高橋陵(2年)を同時投入。すると、いきなり同点ゴールが生まれる。14分、市立船橋は右サイドでボールを持った藤井が逆サイドの小林へ素晴らしい展開。この一本のパスで局面が変わった。上手くコントロールした小林がスピードに乗ったドリブルで一気にPAまで持ち込み、右足シュート。これはGKに阻まれたが、判断良くゴール前に詰めていた古屋がこぼれ球を押し込んで同点となった。

 市立船橋は前節、鹿島ユースに0-3で敗戦。藤井は「アントラーズ戦は押し込めていたけれど、自分らがボールを持っている時に縦パス入れて引っ掛けてカウンターで失点だったり、自分らからのミスが多くて、試合を壊しにいくということをチームとしてやっていなかった。みんな今週の練習では、綺麗に意図的に崩しにいくというよりはDFラインの背後に落として、それにプレッシャーをかけて奪い返して点につなげたりという“壊し”に行くこと、サイドアタッカーが裏取ること、オフェンシブ(MF)が裏取ることをやっていた。(同点ゴールの起点となった対角線のフィードはCBでコンビを組む)白井とも一緒に逆サイドへのボールを練習しようと、アントラーズ戦から毎日練習していた形だった」と説明していたが、鹿島ユース戦の反省を活かして綺麗に崩すのではなく、相手の隙を突いて「壊しに行った」結果、生まれた同点弾だった。

 流経大柏は直後の16分に再びCKのサインプレーから右SB本村武揚(2年)が決定的な左足シュートを放ったが、これはサイドネット。市立船橋は31分に永藤が完全に抜け出すと、対応したDFをかわして決定的なシュートを打ちこむ。だが、これは流経大柏GK鳥井翔太(3年)がビッグセーブを見せて得点を許さない。流経大柏は33分に交代出場のMF久保和己(3年)がクリアボールを右足で狙ったが、左外。矢村、藤井が試合終盤に立て続けに負傷退場した市立船橋に対し、流経大柏はPAへロングボール、クロスボールを入れていくが、これを確実にキャッチしてしまう志村の前に2点目を奪う事はできなかった。

 勝つことはできなかったが、チームとして上手くいかず、暗雲漂っていた流経大柏にとっては一歩前進の勝ち点1獲得。本田監督は90分間やり抜いた選手たちへ向けて「褒めてやったんだけど、1点は取られたけれど惜しかったなと」。自信をつけた“頑張る”選手たちと技巧派の選手たちが、この名門対決をきっかけにどうチーム力を高めていくか。一方の市立船橋・朝岡隆蔵監督は「ゲーム自体いろいろな問題があったけれど、トータル的には引き分けで良かったと思います。力関係とか、相手の力量とか考えた時には勝ち切るだけの強さをちゃんと持たなきゃと思いますが、(現状は)精一杯です」と苦笑していたが、アタッカーのジャッジの向上、ゲームに対する気迫、集中力の部分など選手たちに現状よりももっともっと多くのものを期待する。下級生が多く先発している中でも強さも見せている市立船橋だが、高い目標を達成するためにはここからもう一段階成長しなければならない。藤井、矢村とキーマンが離脱濃厚なのは痛手だが、志村が「チームが成長するチャンス」と語ったように、柱が不在の中で選手権へ向けて個々、チームがどう変化を遂げるか注目だ。

(取材・文 吉田太郎)

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