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シーズン10点を達成し、新人最多ゴール記録に迫るF東京FW武藤「あと2点は、取らないといけない」

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[9.27 J1第26節 F東京4-0柏 味スタ]

 プレッシャーとは、まるで無縁。はたからはそんな風に見えるFC東京のFW武藤嘉紀だが、「正直、プレッシャーはあって、気持ち良くはプレーできていなかったです」と、試合に入っていくときの心境を吐露する。その重圧から、彼を解放するものはゴールなのだと続ける。「得点することによって、サッカーをやっていて楽しく感じますし、今日に関しては、早い段階で得点できたことで、楽しく、自分のプレーを示せたんじゃないかなと思います」。

 開始早々の4分、F東京はDF徳永悠平が右サイドを突破し、ゴール前に低いクロスを入れる。ゴール中央に走り込んでいた武藤の前には、相手GKとDFがいたが、ボールは何かに導かれるように、その間を通り抜けた。「ボールが来るか、来ないかは5分5分くらいだと思っていたけど、とにかく押し込もうと思っていた」という武藤は、このボールを左ヒザで押し込み、先制点を記録。

 さらに前半アディショナルタイムには、高い位置でボールを奪ったMF河野広貴からスルーパスを受けると、GKとの1対1を冷静に「狙っていました」という浮き球のシュートで制した。この試合を視察した日本代表のハビエル・アギーレ監督も「日々進化している」と、その活躍に目を細めたという。

 武藤の魅力は、スピードや高い決定力だけではない。2ゴールを挙げてからも満足することなく、チームのために走り戦った継続性だ。象徴的な場面が後半5分、河野からのパスを受けたFWエドゥーのゴールシーンだ。河野にボールが入る前、武藤は中盤で相手のパスをカット、さらにボールを拾ったDF鈴木大輔にプレスをかけてパスをブロックし、河野にパスをつなげた。

「攻守において、最後に頑張れることは自分の良さだと思うので。マッシモ監督が自分を使い続けている理由も、そこにあると思うから。どれだけきつくても守備に回らないといけません。前半に関しても、守備で頑張っていたからああやって良いパスが来ますし、後半も自分が守備を頑張ったから、3点目につながった。守備から入ることが、やっぱり大事なんだと思います」

 エドゥーが得点を決めたとき、ガッツポーズを見せた武藤は「自分の得点も嬉しいですけど、ああやって影で人の得点に絡めることも、本当に得点と一緒くらい嬉しかったです」と、白い歯をこぼした。

 シーズン10ゴールという武藤自身が今季掲げていた目標を達成した今、周囲は次の記録達成を期待する。現在チームメイトでもあるFW渡邉千真が横浜FM時代の2009年に記録した新人最多ゴール数「13」の更新だ。武藤は「意識しないと言ったらウソになるかもしれませんが、チームが勝つために自分は得点していきます。最終的にゴール数が、いくつになるかわかりません。ただ、リーグ戦でチームが上位に食い込むためにも、自分のゴールは大事だと思うので、あと2点というのは、取らないといけないなと思っています」と、チームの勝利とともに、さらなるゴールを誓った。
(取材・文 河合拓)
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