[国体少年男子]「ジャイアントキリング起こしてやろう!」6年ぶり出場の鹿児島県がV候補・埼玉県破る!
[10.17 国体少年男子1回戦 埼玉県 1-2 鹿児島県 雲仙市国見総合運動公園多目的芝生広場]
第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」少年男子サッカー競技が17日に開幕し、1回戦8試合が行われた。優勝候補の一角、埼玉県と鹿児島県との一戦は、2-1で鹿児島が勝利。鹿児島は18日の2回戦で福岡県と戦う。
昨年度の全日本ユース(U-15)選手権では浦和レッズジュニアユースが優勝し、大宮アルディージャジュニアユースが準優勝だった。そのメンバーたちが中軸を担う埼玉は優勝候補の一角。鹿児島にとっては「結構ビビッていました」と選手たちも振り返る難敵だった。だが、「間違いなく(格上)。技術的にも素晴らしい選手が多かった。(ただ)同じ15歳、16歳の選手だから思い切ってやれと言いました」という小久保悟監督(鹿児島城西高)の下、鹿児島イレブンは強気に戦うことを決意。そしてCB中島宏大(神村学園高2年)が「『絶対にジャイアントキリング起こしてやろう』『ぶっ潰してやろう』とミーティングから言っていた」と語ったように果敢なサッカーで対抗し、見事に黒星をつけた。
立ち上がりから攻勢に出たのは埼玉。ボールを支配し、左MF梁賢柱(東京朝鮮高1年)やAFC U-16選手権日本代表のFW渡邉陽(浦和ユース、1年)、MF小柏剛(大宮ユース、1年)がドリブル、シュートへ持ち込んでいくなど鹿児島に圧力をかける。だが小久保監督が「守備で頑張るのとセカンドボールに対しても、ルーズボールに対しても厳しくいくことができた」という鹿児島は、10分にFW向井遼児(鹿児島中央高1年)の折り返しからMF亀井海凪人(鹿児島城西高2年)が右足シュート。そして13分に先制した。セットプレー後のカウンターからMF橘田健人(神村学園高1年)が右サイドへ大きく展開。これをFW中村英貴(鹿児島城西高2年)がMF七呂拓実(神村学園高1年)へつなぐと、中央へ切れ込んだ七呂がヒールパスで橘田とスイッチする。そして橘田がスペースへ持ち出してからの右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。
前線から積極的にプレスをかけ、埼玉のポゼッションの時間を減らした鹿児島はDFが跳ね返したセカンドボールも収めてカウンター攻撃につなげる。24分には対人の強さを見せていた左SB後藤誠夢(神村学園高2年)のインターセプトから最後は向井がフィニッシュ。27分には左クロスをファーサイドで拾った向井が飛び出してきたGKを外してラストパスを送り、これを七呂が右足で叩く。ただ、埼玉も26分に早くも注目FW川上エドオジョン智慧(浦和ユース、1年)を投入。その川上がPAへ切れ込んでからの左足シュートを放つなど攻撃のギアを上げた埼玉は、30分にも川上の右アーリークロスをコントロールしたFW高橋利樹(埼玉栄高2年)が決定的な右足シュートを撃ちこんだ。前半のうちに追いつこうと勢いを増した埼玉に対し、鹿児島は前半終了間際に守備力の高いFW増田季也(鹿児島実高1年)を投入。「前半で追いつかれたら苦しくなると思った」という小久保監督の采配は、埼玉の勢いを止めたと同時に鹿児島に貴重な2点目ももたらした。
後半開始直後の2分、鹿児島は右サイドからのクロスボールが流れたところに走りこんだのは前半終了間際に投入された増田。左足ダイレクトで放ったシュートはGKが反応したものの、そのままゴールネットへ吸い込まれて2-0となった。厳しい展開となった埼玉だが、梁がドリブルシュートを打ちこむなど反撃。そして16分には根気強く攻め続けると、クリアボールを拾った渡邉のラストパスから梁が左足シュートを決めて1点差とした。
埼玉は直後に渡邉のスルーパスから高橋がPAへ侵入したが、鹿児島DFがスライディングタックルで阻止。埼玉は24分にも渡邉の右足ミドルがゴールマウスをかすめたが、鹿児島は運動量の落ちた終盤も必死の走りで埼玉にプレッシャーをかけ続ける。そしてDF背後へのボールに反応良く対応する中学生GK大迫敬介(FELICIDOD FC)や「ヘディングでは誰にも負けないと言う気持ちでやっていた。そこで負けていたら始まらない」という中島、CB西元耀星(神村学園高1年)らが集中力切らさずに守り続ける。逆に前がかりになった埼玉の背後を亀井や向井、そしてFW高橋大悟(神村学園中3年)が突いて追加点のチャンス。亀井のシュートが立て続けにGK正面をつくなど3点目を奪うことができなかったが、最後まで2点目を許さずに勝利の雄叫びを上げた。
鹿児島は小久保監督就任2年目の今年、6年ぶりに九州予選を突破。埼玉、そして九州予選で0-5で敗れている福岡県と優勝候補揃うブロックに入ったが、その中でまず1勝を勝ち取った。優勝候補をひとつ破ったチームは勢いに乗るか。福岡戦へ向けて中島は「九州ブロックでは0-5でやられている。でも、きょうのような戦いをすれば絶対に勝てる。気持ちを切り替えて臨みたい」と誓った。
[写真]前半13分、鹿児島は橘田が先制ゴール
(取材・文 吉田太郎)
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第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」特集ページ
第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」少年男子サッカー競技が17日に開幕し、1回戦8試合が行われた。優勝候補の一角、埼玉県と鹿児島県との一戦は、2-1で鹿児島が勝利。鹿児島は18日の2回戦で福岡県と戦う。
昨年度の全日本ユース(U-15)選手権では浦和レッズジュニアユースが優勝し、大宮アルディージャジュニアユースが準優勝だった。そのメンバーたちが中軸を担う埼玉は優勝候補の一角。鹿児島にとっては「結構ビビッていました」と選手たちも振り返る難敵だった。だが、「間違いなく(格上)。技術的にも素晴らしい選手が多かった。(ただ)同じ15歳、16歳の選手だから思い切ってやれと言いました」という小久保悟監督(鹿児島城西高)の下、鹿児島イレブンは強気に戦うことを決意。そしてCB中島宏大(神村学園高2年)が「『絶対にジャイアントキリング起こしてやろう』『ぶっ潰してやろう』とミーティングから言っていた」と語ったように果敢なサッカーで対抗し、見事に黒星をつけた。
立ち上がりから攻勢に出たのは埼玉。ボールを支配し、左MF梁賢柱(東京朝鮮高1年)やAFC U-16選手権日本代表のFW渡邉陽(浦和ユース、1年)、MF小柏剛(大宮ユース、1年)がドリブル、シュートへ持ち込んでいくなど鹿児島に圧力をかける。だが小久保監督が「守備で頑張るのとセカンドボールに対しても、ルーズボールに対しても厳しくいくことができた」という鹿児島は、10分にFW向井遼児(鹿児島中央高1年)の折り返しからMF亀井海凪人(鹿児島城西高2年)が右足シュート。そして13分に先制した。セットプレー後のカウンターからMF橘田健人(神村学園高1年)が右サイドへ大きく展開。これをFW中村英貴(鹿児島城西高2年)がMF七呂拓実(神村学園高1年)へつなぐと、中央へ切れ込んだ七呂がヒールパスで橘田とスイッチする。そして橘田がスペースへ持ち出してからの右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。
前線から積極的にプレスをかけ、埼玉のポゼッションの時間を減らした鹿児島はDFが跳ね返したセカンドボールも収めてカウンター攻撃につなげる。24分には対人の強さを見せていた左SB後藤誠夢(神村学園高2年)のインターセプトから最後は向井がフィニッシュ。27分には左クロスをファーサイドで拾った向井が飛び出してきたGKを外してラストパスを送り、これを七呂が右足で叩く。ただ、埼玉も26分に早くも注目FW川上エドオジョン智慧(浦和ユース、1年)を投入。その川上がPAへ切れ込んでからの左足シュートを放つなど攻撃のギアを上げた埼玉は、30分にも川上の右アーリークロスをコントロールしたFW高橋利樹(埼玉栄高2年)が決定的な右足シュートを撃ちこんだ。前半のうちに追いつこうと勢いを増した埼玉に対し、鹿児島は前半終了間際に守備力の高いFW増田季也(鹿児島実高1年)を投入。「前半で追いつかれたら苦しくなると思った」という小久保監督の采配は、埼玉の勢いを止めたと同時に鹿児島に貴重な2点目ももたらした。
後半開始直後の2分、鹿児島は右サイドからのクロスボールが流れたところに走りこんだのは前半終了間際に投入された増田。左足ダイレクトで放ったシュートはGKが反応したものの、そのままゴールネットへ吸い込まれて2-0となった。厳しい展開となった埼玉だが、梁がドリブルシュートを打ちこむなど反撃。そして16分には根気強く攻め続けると、クリアボールを拾った渡邉のラストパスから梁が左足シュートを決めて1点差とした。
埼玉は直後に渡邉のスルーパスから高橋がPAへ侵入したが、鹿児島DFがスライディングタックルで阻止。埼玉は24分にも渡邉の右足ミドルがゴールマウスをかすめたが、鹿児島は運動量の落ちた終盤も必死の走りで埼玉にプレッシャーをかけ続ける。そしてDF背後へのボールに反応良く対応する中学生GK大迫敬介(FELICIDOD FC)や「ヘディングでは誰にも負けないと言う気持ちでやっていた。そこで負けていたら始まらない」という中島、CB西元耀星(神村学園高1年)らが集中力切らさずに守り続ける。逆に前がかりになった埼玉の背後を亀井や向井、そしてFW高橋大悟(神村学園中3年)が突いて追加点のチャンス。亀井のシュートが立て続けにGK正面をつくなど3点目を奪うことができなかったが、最後まで2点目を許さずに勝利の雄叫びを上げた。
鹿児島は小久保監督就任2年目の今年、6年ぶりに九州予選を突破。埼玉、そして九州予選で0-5で敗れている福岡県と優勝候補揃うブロックに入ったが、その中でまず1勝を勝ち取った。優勝候補をひとつ破ったチームは勢いに乗るか。福岡戦へ向けて中島は「九州ブロックでは0-5でやられている。でも、きょうのような戦いをすれば絶対に勝てる。気持ちを切り替えて臨みたい」と誓った。
[写真]前半13分、鹿児島は橘田が先制ゴール
(取材・文 吉田太郎)
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