[国体少年男子]大分県が周囲の評価覆すPK戦勝利!静岡県は初の2年連続初戦敗退・・・
[10.17 国体少年男子1回戦 大分県 0-0(PK5-4)静岡県 長崎県立百花台公園サッカー場(人工芝)]
第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」サッカー競技少年男子1回戦が17日に行われ、最多23回(選抜チームでは20回)の優勝を誇る静岡県と大分県との一戦は0-0でもつれ込んだPK戦の末、大分が5-4で勝ち、2回戦進出を決めた。大分は2回戦(18日)で石川県と対戦。一方、選抜チームでの出場が始まった1970年以降の全大会に出場している静岡県は初の2年連続初戦敗退となった。
両チーム無得点のまま突入したPK戦。先攻・静岡の5人目、AFC U-16選手権日本代表MF下口稚葉(JFAアカデミー福島U18、1年)のシュートを大分GK真木晃平(大分U-18、1年)が右へ跳んでストップする。そして直後、気合を前面に出してゴールを守る静岡GK水谷駿介(清水ユース、1年)に対し、「ここまで来たら楽しむしかないなと思っていた」という大分の5人目・CB小手川雄紀主将(大分上野丘高1年)が右足を振りぬく。この一撃がゴールネットを揺らすと、大分イレブンの歓喜の輪が広がった。首藤謙二監督(別府羽室台高)は「守備はよく集中していた。だいぶん勝負強くなってくれたなと思います」と選手たちに目を細めていた。
試合は立ち上がりから静岡がボールを支配する展開となった。個々の技術の高い静岡は下口や左MF立川嶺(磐田U-18、2年)が相手のプレッシャーをいなしながらボールを前へ進めていく。一方、大分は我慢の展開。ただ右SB広瀬椋平(大分西高1年)、小手川、戸高航汰(大分U-18、1年)、そして左SB上原成貴(大分南高2年)の4バックは集中力高く高いラインを維持。相手がボールを下げた瞬間に徹底して5m押し上げるなどコンパクトな守りを崩さない。また首藤監督が「中盤は取れないけれど追いかけてくれる。前に比べると地味だけれど、良くやってくれた」と評した中盤の選手たちも献身的な動きで奮闘。特に劣勢だった序盤を乗り越えると、その後は隙のない守備で相手に決定機をつくらせず、強豪に食らいついて行った。
我慢する時間が続いたことも影響したか、大分はボールを奪っても慌ててしまうシーンが散見し、思うようなボール回し、攻撃をすることができなかった。前半のシュート数はゼロ。それでも前半終了間際にはカウンターから上原が鮮やかに相手2人を抜き去り、逆サイドまで動かして右FW吉平翼(大分U-18、2年)がクロスへ持ち込むなどチャンスもつくった。後半もしたたかに1チャンスを待ち続けて、吉平の縦への突破やFW永松涼介(大分高1年)の右足ミドルなどでゴールを狙った。静岡は後半9分、破壊力のある突破を見せていたFW山田柊斗(清水桜が丘高2年)が中央突破して一気にPAへ入り込む。だが大分は懸命のクリアで得点を許さない。静岡は13分にも左FKからファーサイドのAFC U-16選手権日本代表CB森岡陸(磐田U-18、1年)がヘディングシュートを放つが、この日はゴール前の迫力を欠いたこともあってシュート数を増やすことができない。森岡と立田悠悟(清水ユース、1年)の両CBは高さ、カバーリングの面でも穴を見せなかったが、1点が遠かった。
後半終了間際はオープンな展開となって互いがチャンスをつくり合う。大分は後半35分、交代出場のMF末永佳希(大分U-18、1年)が左サイドを突破。その折り返しを吉平が合わせるが、静岡は左SB宮本英治(JFAアカデミー福島U18、1年)がブロックする。直後に静岡は下口の縦パスでFW中野優太(清水ユース、1年)が抜け出してGKと1対1となったが、大分GK真木がタイミング良く間合いを詰めてキャッチ。スコアは延長戦でも動かずにPK戦へ持ち込まれた。そして5人目の攻防で決着がついた。
大分の選手たちにとっては周りの評価を覆す会心の勝利だ。真木は「まさか勝てるとは思わなかった。行く前に『どうせ負けるやろ』と言われたりして、そういう意味では勝ちたかったです」と笑顔で語り、小手川も「(メンバーから落選して)ここに来たくて来れなかった選手たちのことを考えたら『キツイから走れない』とかいうのは簡単にはできない。周りの関係者からすると、静岡が勝つのが妥当だったと思います。でも自分たち失うものは何もなかったので、チャレンジャー精神で泥臭く、どんな形でもいいから勝てればいいと思ってやっていた。それが勝ちに繋がった。個で見たら静岡の方が上だったので全員で戦いました」と喜んだ。
サッカー王国・静岡に土をつけた喜びも束の間、18日には2回戦が行われる。小手川は「キャプテンという立場なので、自分が引いてしまったら終わりだし、自分が先頭に立って行くという強い意思を持っていく。(出られない選手たちから)『俺の分まで』というメッセージたくさんもらったので、応えられるように明日も身体張っていきたい」。静岡撃破の大分が、躍進へのスタートを切った。
(取材・文 吉田太郎)
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第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」特集ページ
第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」サッカー競技少年男子1回戦が17日に行われ、最多23回(選抜チームでは20回)の優勝を誇る静岡県と大分県との一戦は0-0でもつれ込んだPK戦の末、大分が5-4で勝ち、2回戦進出を決めた。大分は2回戦(18日)で石川県と対戦。一方、選抜チームでの出場が始まった1970年以降の全大会に出場している静岡県は初の2年連続初戦敗退となった。
両チーム無得点のまま突入したPK戦。先攻・静岡の5人目、AFC U-16選手権日本代表MF下口稚葉(JFAアカデミー福島U18、1年)のシュートを大分GK真木晃平(大分U-18、1年)が右へ跳んでストップする。そして直後、気合を前面に出してゴールを守る静岡GK水谷駿介(清水ユース、1年)に対し、「ここまで来たら楽しむしかないなと思っていた」という大分の5人目・CB小手川雄紀主将(大分上野丘高1年)が右足を振りぬく。この一撃がゴールネットを揺らすと、大分イレブンの歓喜の輪が広がった。首藤謙二監督(別府羽室台高)は「守備はよく集中していた。だいぶん勝負強くなってくれたなと思います」と選手たちに目を細めていた。
試合は立ち上がりから静岡がボールを支配する展開となった。個々の技術の高い静岡は下口や左MF立川嶺(磐田U-18、2年)が相手のプレッシャーをいなしながらボールを前へ進めていく。一方、大分は我慢の展開。ただ右SB広瀬椋平(大分西高1年)、小手川、戸高航汰(大分U-18、1年)、そして左SB上原成貴(大分南高2年)の4バックは集中力高く高いラインを維持。相手がボールを下げた瞬間に徹底して5m押し上げるなどコンパクトな守りを崩さない。また首藤監督が「中盤は取れないけれど追いかけてくれる。前に比べると地味だけれど、良くやってくれた」と評した中盤の選手たちも献身的な動きで奮闘。特に劣勢だった序盤を乗り越えると、その後は隙のない守備で相手に決定機をつくらせず、強豪に食らいついて行った。
我慢する時間が続いたことも影響したか、大分はボールを奪っても慌ててしまうシーンが散見し、思うようなボール回し、攻撃をすることができなかった。前半のシュート数はゼロ。それでも前半終了間際にはカウンターから上原が鮮やかに相手2人を抜き去り、逆サイドまで動かして右FW吉平翼(大分U-18、2年)がクロスへ持ち込むなどチャンスもつくった。後半もしたたかに1チャンスを待ち続けて、吉平の縦への突破やFW永松涼介(大分高1年)の右足ミドルなどでゴールを狙った。静岡は後半9分、破壊力のある突破を見せていたFW山田柊斗(清水桜が丘高2年)が中央突破して一気にPAへ入り込む。だが大分は懸命のクリアで得点を許さない。静岡は13分にも左FKからファーサイドのAFC U-16選手権日本代表CB森岡陸(磐田U-18、1年)がヘディングシュートを放つが、この日はゴール前の迫力を欠いたこともあってシュート数を増やすことができない。森岡と立田悠悟(清水ユース、1年)の両CBは高さ、カバーリングの面でも穴を見せなかったが、1点が遠かった。
後半終了間際はオープンな展開となって互いがチャンスをつくり合う。大分は後半35分、交代出場のMF末永佳希(大分U-18、1年)が左サイドを突破。その折り返しを吉平が合わせるが、静岡は左SB宮本英治(JFAアカデミー福島U18、1年)がブロックする。直後に静岡は下口の縦パスでFW中野優太(清水ユース、1年)が抜け出してGKと1対1となったが、大分GK真木がタイミング良く間合いを詰めてキャッチ。スコアは延長戦でも動かずにPK戦へ持ち込まれた。そして5人目の攻防で決着がついた。
大分の選手たちにとっては周りの評価を覆す会心の勝利だ。真木は「まさか勝てるとは思わなかった。行く前に『どうせ負けるやろ』と言われたりして、そういう意味では勝ちたかったです」と笑顔で語り、小手川も「(メンバーから落選して)ここに来たくて来れなかった選手たちのことを考えたら『キツイから走れない』とかいうのは簡単にはできない。周りの関係者からすると、静岡が勝つのが妥当だったと思います。でも自分たち失うものは何もなかったので、チャレンジャー精神で泥臭く、どんな形でもいいから勝てればいいと思ってやっていた。それが勝ちに繋がった。個で見たら静岡の方が上だったので全員で戦いました」と喜んだ。
サッカー王国・静岡に土をつけた喜びも束の間、18日には2回戦が行われる。小手川は「キャプテンという立場なので、自分が引いてしまったら終わりだし、自分が先頭に立って行くという強い意思を持っていく。(出られない選手たちから)『俺の分まで』というメッセージたくさんもらったので、応えられるように明日も身体張っていきたい」。静岡撃破の大分が、躍進へのスタートを切った。
(取材・文 吉田太郎)
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