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奥氏を想い涙ぐむ横浜FC山口監督「常にオレの背中には大介がいる」

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[10.19 J2第37節 横浜FC 3-0 栃木 ニッパ球]

 横浜FCは19日の栃木SC戦3-0で快勝し、連敗を3で止めた。17日の早朝、かつて選手、強化部長として横浜FCに在籍した奥大介氏が、仕事に向かう途中の交通事故で亡くなった。2012年3月、サッカー解説者を務めていた山口素弘監督は、当時強化部長を務めていた奥氏からオファーを受けて横浜FCの監督に就任していた。

 試合後の会見で、山口監督は「今週はいつもより1日多く練習の日があって、しっかりと良いトレーニングを積んできました。それをゲームで発揮できたと思います。やってくれたかなと思うところもあるし、まだまだできるよと思うところも、当然あります。強調したのは、攻守においてしっかりとアクションを起こそうということ。そこを意識して取り組んで、非常に良かったんじゃないかなと思います」と、淡々と試合を振り返った。

 亡くなった奥氏への想いが、この試合に現れていたと、山口監督は目を潤ませながらコメントする。「このクラブにとっても、非常に多大な貢献をした男だと思うし。個人的にも今、こうやって記者会見をできているのも、彼がオレをこのチームに呼んでくれたから。2人とか、3人で酒を飲みながら、クラブのことについても話をしましたよ。当然、結果としてJ1に上げたいし、もっともっと先を見据えて、ぐでんぐでんになりながらもいろんな話をしました。サッカーが好きだったからね、あいつも。サッカーが好きだったし、このクラブをなんとかしたいと思っていたからね」

 横浜FCがJ1に所属していた2007年には、山口監督と奥氏は同じ選手という立場で1シーズン戦った。そのシーズン、チームはJ2に降格しており、2012年に監督、強化部長という立場でチームに戻ったときは、「魅力ある面白いサッカーをして、もう1回、お互いに監督、強化部長という立場でチームにJ1に上げよう」と誓い合っていたという。

 その後、奥氏は強化部長を退き、チームを離れることとなったが、山口監督は奥氏がチームを気に掛けていたことを知っていたという。「変装して試合に来たりしていたことも知っていますし、チームを離れてからも常に気に掛けてくれていた。去年の苦しい時期も、心配してくれていたことを聞いていた」。

 奥氏が導いてくれた監督という仕事を長く続けたいと山口監督は言う。「オレも今後、希望的には監督生活を長く続けたい。このチームに限らず、職業的にね。でも、スタートは何かというと、大介がオレに声を掛けてくれて呼んでくれた。それはもう本当に感謝しているし、こういうことがあっても、常にオレの背中には大介がいるようなもんだから。そのおかげでいるんだから。常に自分が監督として成績を上げれば、彼の評価にもなる。そう思ってやっていきます」と、誓いを立てた。

(取材・文 河合拓)
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