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[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手vol.6」_香川西高(香川)

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特集企画[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手」

 ゲキサカでは「選手権予選 全国9地域の注目校・選手」と題し、佳境に突入している全国高校選手権予選から各地域の注目校や注目選手を紹介。ユース年代を主に取材するライター陣に北海道、東北、関東など各地域から、選手権予選へ臨む注目校や注目選手を紹介してもらいます。第6回は8年連続で選手権香川県予選を制している名門、香川西高です。

 83年に大浦恭敬監督が監督に就任して以来メキメキと力をつけ、05年からは8年連続で選手権出場。プリンスリーグ四国でも優勝1回、準優勝2回の成績を残すなど、四国を代表する強豪が香川西だ。

 香川西の強さを語る上で欠かせないのが大浦監督の存在。昨年4月からはサッカー部の監督を続ける事を条件に校長に就任した。業務は多忙を極め、練習に顔を出せる時間は減ったものの、選手を見守る視線に変わりはない。「うちに来る選手はそんなにレベルが高くない」と話す香川西が全国の常連でいられるのも指揮官の手腕によるものだ。目指すサッカーは堅守速攻。「やるべき事を徹底しないとうちらのレベルでは勝てない」と話すように粘り強い守りからの鋭い攻撃が全国の強豪と互角の戦いを続ける源になっている。

 しかし、今年の全国高校総体予選の決勝では坂出商高をシュート0本に抑えながらも、1点が奪えずPK戦で敗れ、昨年に続き夏の晴れ舞台出場を逃した。敗退以降、大浦監督が行ったのは「一度、チームをぐちゃぐちゃに壊す」という作業。長年標榜してきたカウンタースタイルではなく、選手たちが望んだ”繋ぐサッカー”でプリンスリーグ四国に挑んだが、「うちらのレベルでは、相手の前では繋げるけど、相手の背後では繋げない。ポゼッション率で上回る事が出来たけど、怖さはまったく無かった」と大浦監督が振り返るように総体明けの3試合でも2分1敗と結果を残せなかった。

 それでも、大浦監督は「なぜか繋ぐサッカーが良いという感覚の選手が多い。繋いでも、ゴール前に出ないと意味がないし、そのためにはどこかでスピードを上げないといけない。止めてパスを繰り返す各駅停車だと、今はどこのチームもサッカーの知識が高いので、ブロックを敷かれたら、うちらのレベルでは崩す事が出来ないという事が分かる良い機会だったと思う」と意に介さない。

 思えば昨年も同じだった。同じように全国総体予選を落としながらも、紆余曲折を経て最終的には3年生が”繋ぐサッカーには適していない”という自分たちの現在地を受け止めた。その結果が香川西流の縦に速いカウンターサッカーで掴んだ選手権だった。「彼がいればボールが収まるし、得点も決めてくれると思う」と大浦監督が信頼を寄せるFW藤岡航世を筆頭に、1年生だった昨年から重宝されたMF秋山和大蓮井翔と攻撃には楽しみな存在が揃う。守備でも2年生CB藤元将平や185cmの大型GK近藤雅紀など期待の出来る選手がいる。後は今年も選手たちが縦に速いサッカーを選手たちが受け入れるかどうかが連続記録を伸ばせるかの鍵となるだろう。

 筆者が話を聞いた6月末、帰り際に大浦監督は「ひと夏を超えれば、大丈夫でしょう」と言い切った。吸いも甘いも知った名伯楽には全国への道筋がすでに見えている。”香川=香川西”という選手権の方程式の正しさを証明する時期が来た。

[写真]9年連続の選手権出場を狙う香川西の蓮井

(取材・文 森田将義)
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