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[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手vol.9」_旭川実高(北海道)

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特集企画[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手」

 ゲキサカでは「選手権予選 全国9地域の注目校・選手」と題し、佳境に突入している全国高校選手権予選から各地域の注目校や注目選手を紹介。ユース年代を主に取材するライター陣に北海道、東北、関東など各地域から、選手権予選へ臨む注目校や注目選手を紹介してもらいます。最終回は、12年度に高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグEASTにも参戦している実力派、2年ぶりの全国選手権出場を狙う旭川実高(北海道)です。

 一昨年、高円宮杯プレミアリーグEASTを戦い、全国高校選手権でもベスト16に入った北海道の強豪は、今年は思うような結果を残せていない。

 全国高校総体予選は、準々決勝で優勝した駒大苫小牧高に0-3の完敗を喫し、プリンスリーグ北海道でも勝ち点1差で、北海道大谷室蘭高に優勝をさらわれた。無冠のままでは終われないという思いを持つ旭川実は、富居徹雄監督の下、メキメキと力をつけてきている。

 富居監督は「徐々に良くなってきている。去年、型にはめて失敗したので、今年は個々の発想を大事にしているのですが、それがうまく出ている。チームとしての形を強く打ち出さずに、攻撃面では決めごとを少なくして、選手の判断にゆだねる。ボールを取られないことをベースに、即興性を大事にしている」。

 攻撃は右のアタッカー、池田紘大とボランチの千葉暁登の2人が中心となって、バリエーション溢れる攻撃が見られるようになった。千葉が広い視野と豊富なアイディアを活かし、左右縦にボールを供給すると、池田は自慢のスピードで相手をかく乱。さらに夏まではレギュラー外だった右SBの3年生・武藤が急成長。彼がアタッカー陣を活かすオーバーラップやクロスを駆使し、攻撃にアクセントを加えている。

 さらに高校総体予選の屈辱的な敗戦を機に、メンタル面も逞しく成長を遂げたことも、調子を上げている一因となっている。「夏を境に、自主性が強くなった。言われたことをきっちりやる姿勢から、プラスアルファが出てきた。それまでも選手たちが自主的にミーティングを開くことはあったが、開いて終わりだった。でも、夏以降はそれで出た意見を、自分たちスタッフにぶつけるようになってきた。スタッフとのミーティングのキャッチボールが出来るようになった」(富居監督)。

 夏を経て、チームは大人になった。だが、これで勝ちきれるほど、選手権は、選手権予選は甘くはないことを、指揮官は重々承知している。「選手権予選のこれまでの戦いは悪くない。でも、やっぱりもうひと伸びが欲しい。準々決勝の北海戦では、2-0になってから追加点がとれず、逆に1点を返された。そこの詰めの甘さが課題。準決勝以降はそこを直したい」。

 25日の土曜日には、プリンスリーグ北海道最終節で3-2の勝利を収めている東海大四高との準決勝に挑む。「一昨年に選手権ベスト16に入って、プレミアに出ていろいろ考えることが出来た。そこからバランスを崩しても良いから、いろいろトライしようとやってきた2年間。そろそろ結果を出したい。これまでのトライしてきたことの成果を出すのが選手権です」(富居監督)。2年ぶりの選手権全国大会まであとふたつ。今こそ成長したチームが力を見せつけるときだ。

(取材・文 安藤隆人)
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