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[選手権予選]破壊力示した名門・奈良育英、3年ぶりの全国へ好発進:奈良

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[10.26 全国高校選手権奈良県予選2回戦 奈良育英高 6-1 天理教校学園高 奈良学園高グラウンド]

 第93回全国高校サッカー選手権奈良県予選の2回戦が26日、奈良学園高グラウンドで行われ、13度の全国大会出場を誇る名門・奈良育英高が天理教校学園高を6-1で下し、3年ぶりの優勝へ向けて、幸先の良いスタートを切った。

 開始早々、奈良育英はDF中村麻紗也が右前方へフィードを送り、PA右外でMF森本光樹が競り勝ち、中央にボールが入る。ゴール前で混戦となったこぼれ球をMF辻泰志が拾い、ミドルシュートを狙った。ゴールこそ奪えなかったものの、切れ味鋭い攻撃で大量得点の予感を感じさせたが、「選手権がかかったトーナメントなので相手も負けたくないと思う。守られるのは想定していたが、思っていた以上に相手が集中力を保っていたし、身体を張っていた」(上間政彦監督)との言葉通り、中盤と最終ラインがきっちりとブロックを形成する天理教校の守備に苦戦。中村と堀内颯人のCB2枚を中心にパスでピッチの左右へ揺さぶり、速さのある左SB島田拓海と右の森本の突破を引き出したものの、中央の厚みが足りず、天理教校のDF影山貴之、GK和田道弘らの好守に阻まれ続けた。

 しかし、指揮官の細かい指示と配置転換が奏功し、26分には左サイドに開いてパスを受けたMF辻泰志がゴール前にクロス。このボールに飛び込んだFW細野仁が相手GKにヘディングで競り勝ちネットを揺らすと、38分にも右サイドを破った森本のパスをゴール前で細野が合わせるなど良い流れのまま前半を終えた。

 後半からは完全に奈良育英のペースとなり、2分には細野からの右クロスを入ったばかりの1年生FW大野寛世が合わせて突き放しに成功。ハーフタイムに上間監督が選手たちに語り掛けた「先に2点獲ってしまえば試合を終わらせる事が出来るので、なるべく早めに奪いに行こう」という狙い通り、この1点で試合の大勢を決めると、9分にMF片山太征、13分にはFW加賀友基が加点。その後も大野、FW澤田祐輝が得点し、6-0までスコアを広げた。試合終了間際の37分には天理教校FW齋藤大暉のドリブル突破をPAで倒し、PKを献上。これをMF本多健士に決められたものの、終わってみれば6-1というスコアで3回戦進出を決めた。

「奈良ではどこのチームも出来ないサッカー。常に高いレベルを求めているし、今日のようなサッカーを見せて全国で勝ちたい」と上間監督が顔を綻ばせたようにスコア以上に収穫のある試合だった。特に後半は速さのある両サイドを活かし、相手の意識をサイドに持っていくと、次はボランチの攻め上がりによって、手薄になった中央を攻略。常に相手の裏を突くスタイルで大量得点に結びつけたように、攻撃の破壊力は高い。指揮官が「まだまだ精度が低いので、ここから一戦一戦見えてくる課題を修正しながら、上を目指していきたい」と続けたように、修正点もあるが手応えは十分。夏の高校総体に続く全国の舞台を掴むための大きな一歩を奈良育英が踏み出した。

[写真]奈良育英は6発発進。右サイドから再三チャンスを作り出した森本

(取材・文 森田将義)
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